シンガポールに拠点を置くPirate3D社は、3Dプリンターを使って、視覚障害者向けに、写真や絵画をベースにしたリアルな3Dオブジェを製作している。

「もしも写真に触れることができたら…」この製品のキャンペーン映像では人生の途中で目の見えなくなった5人と彼らが各自の"思い出に触れた"時の様子が公開された。

目が見えない人にとって写真は何の思い出にもならない。だが手に触れその形を実感することができる立体オブジェは、彼らが心に刻んだ思い出を鮮明に呼び起こしてくれるようだ。

出典 YouTube

動画には、12年前に失明したにもかかわらず、定期的に映画製作に励む撮影ディレクターのガボールが登場する。この前はボリビアでロケを終えたものの、それを見ることは叶わないと語る彼。そんなガボールが今も鮮明に心に残る思い出のシーンのレプリカに触れる。

彼はオブジェの細かい部分までチェックする。例えばテーブルの位置、そして椅子に座る女性はどんな感じなのか、という風に。視聴者は彼の記憶が完璧に再現されているミニチュアに驚くだろう。

また、そこには緑内障で視力を失ったミュージシャンのマリオも登場している。彼の思い出は友達がデザインしたアルバムの表紙をプリントしたものだ。マリオにとって他の人から見た自分自身の外見を知るのはこれが初めての経験だ。

このプロジェクトに携わるフレッド・ボッシュはその実験の素晴らしい効果について、以下のように話している。

「非常に長い沈黙の間に時を遡り、感動の波に飲み込まれる彼らの様子を目の当たりにしました。彼らの表情から伝わってくるんです。とくにダニエラはすごかったですね。彼女は自らが選んだ思い出により、子供時代だけでなく家族とスキーをした冬休みの時点まで引き戻されました。さらにこのオブジェに触れたことをきっかけに、当時かぶっていたニット帽やブーツで雪の上を歩いた時のパリパリという音など、彼女自身も忘れていた細部の記憶まで思い出したのです。」

彼らの反応を見ればわかるように、この技術が目の見えない人々のアルバムの役割を果たしてくれることだろう。その昔ルイ・ブライユの発明により世界に広まった点字同様、3Dプリントは情報の吸収や共有手段に再び変化をもたらすのだ。

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