フリーアナウンサーの長谷川豊です。

メディアを信用し過ぎない姿勢を身につけましょうね、と書き綴っていたところ、こんな質問が来ました。

「じゃあ、どうやって見分ければいいんですか?」

お気持ちは分かるんですが、基本的にはそれは自分でもつけるものだと思います。僕の場合は大学でメディアリテラシーを専攻していたので、メディアの成り立ちから社会的影響力、アメリカで横行しているメディア戦略などを勉強していたので、ハナから日本のメディアに対してもそういう目で見る癖をつけていました。

なので、テレビも新聞も「最初から信じ過ぎずに一歩引いた目で見る方がずっと役に立つし楽しい」という事を提唱し続けています。僕の本にもその理由や具体的な事例がたくさん書いてあります。

思うに、朝日新聞の誤報に怒ってる人たちって、結局、「依存」してたんだと思います。その「自分の信じていた対象」が実は「大ウソつきだった」と分かっちゃったので、ギャースカ怒ってるんですけれど、多分その本当の正体って、「だまされてたカッコ悪い自分に対するいらだち」なんじゃないかって思います。

だって、冷静に考えれば、朝日、取らなきゃいいだけだし。

で、なんでこんなに簡単に日本人は情報を信じ切っちゃうのかって話なんですが、それは恐らく教育の問題のはずなんですけれど、それはまたおいおい書いていくとして、まずはですね…人から「いい人」って言われてるそこのあなた、

「それっぽい」言動

に気をつけるようにしましょう。これなら明日からできる事ですから。

僕たちアナウンサーの基本訓練の一つで、「5秒まとめ」「15秒まとめ」「1分まとめ」ってのがあるんですけれど、どんな訓練かっていうと、

1. ニュース原稿を下読みするんです。と、言うか新聞記事が多いんですけれど、その日の1面に乗ってたような大き目なニュースの記事を読み込みます。

2. で、その記事内容を皆さんの前に行ってまずは5秒でまとめるんですよね。

3. 次に15秒で、その後1分でフリートークをしたり。

神戸市長田区の事件では…

・神戸市で6歳の女の子が誘拐され殺害されました。(←5秒バージョン)

・神戸市長田区で6歳の女の子が誘拐され、殺害される事件がありました。逮捕されたのは近くに住む○○容疑者43歳で、遺体を遺棄した袋の中に入っていた診察券などから身元が判明したという事です(←15秒バージョン)

で、1分バージョンでは、少しだけ自分の意見を入れながら話さないと時間が持ちませんから、今回の事件を受けて

・女の子を持つ父親としてはどう思うのか?とか、

・逮捕された容疑者は知的障害がある、と伝えられたので、刑法39条問題について、とか

何かしらの自分の意見を交えてその事件を紹介する、とかね。

こういう訓練を政治のニュースなどにも活用していくと、「読み解く力」がとてもつくようになります。というか、読み解けないと5秒バージョンも1分バージョンもなかなか出来ないんですよね。

皆さんもやってみます?そこそこ難しいですよ?政治のやつとか。政治系の1分バージョンってなかなか知識が必要でね。最近の若いアナウンサー、この訓練、あんまりやってないけど。で、この訓練をやってると気付けることが沢山あります。例えば…

A. 分かりやすい言葉を使って話していても…
B. 難しい言葉やデータを使って話していても…

実は、言葉のセレクトが違うだけで、意外と大差のない話ってあるんです。これによって皆さん、けっこう気持ちいいほど騙されちゃったりします。特に日本人は。理由としては語彙が多すぎて「言葉の持つ力」に騙されるからなんですけれど、とにかく、「それっぽくしゃべる人」の話に騙されない方がいいと思うですよね。

ライブドアのブロゴスさんに僕のブログを転載するって話になった時にブロゴスの当時の担当の方にも何度も言ったんです。

「僕のブログ、アメブロ的な書き方をするので、合わないと思いますよ」って。

でも、ブロゴスの方も、僕みたいな書き方をする人の意見も欲しいって口説いてくださったので、現在、こんな感じでちょっと雰囲気に合わない書き方をしています。もともとの古くからのブロゴスファンの方には

「なんだ?このふざけた書き方は?」

って思った方もいらっしゃるかもしれないんですけれど、これはあえて、こういう書き方をしているんです。

難しそうな書き方をして、偉そうな言い回しをしていると、人間、それっぽく聞こえちゃうから不思議なんですけれど、例えば…ブロゴスとか見てると原発関連の話とかで

「現在の福島は…!」

とか熱く語ってるブログとかあるんですよね?ものすごい数のデータとか出して。

で、僕、すでに100回近く福島に行ってた人間として言えることがあって、そもそも原発の問題で

「福島は…」

って言ってる人って、そもそも何も分かってないです。断言しときますけど。絶対その人、

福島、行ったことない人です。

ネット叩いて、適当なデータを見つけてきて、上から目線であーだこーだと論じてる自分に酔ってるだけの人です。あのね、これは以前、「スリーマイルの真実」というブログの時にも書いたんですけれど、

福島、めちゃ広いですから。

福島と郡山なんて、もうね、別の県ですよ、あれは。実際にテレビの支局も「郡山支局」ってのが別にあるくらいです。あの広すぎる「福島」をひっくるめて話し始めてる段階で、全然その人、土地勘ないし、分かってないのがまるわかりなんです。これは福島に住んでる人ならみんな分かるはず。で、そんな人に限って

もう福島は人の住める土地じゃないんですよ!

とか知ったかぶりで語ってるんです。そもそも最低限の現場を取材もせずに、人々の話も聞かずにネット上の情報を表面だけ見て論じてる人の文章って…

ブラジルに一度も行ったことのない人の語る『ブラジル経済の今後について』

という論文と一緒です。お前、知らないだろってね。でも、そういう人に限って偉そうにそれっぽく言うんだって。ホントに。

ブロゴス上にも、いまだにネット叩いて、そこに書かれたことを信じ込んで、なんも知らんまま僕の悪口書いて満足してるバカも何人もいるでしょ。何か言いたいことあれば、僕に話くらい聞きに来ればいいのにね。

その人たち、いまだに僕が「会社で問題をおこして辞めさせられた」とか、2ちゃんねるレベルの話を本気で信じてる連中なんだと思うんです。それで勝手に僕を批判する文章を書いて喜んでるんだと思うけれど、こういう人が冤罪事件で被害を拡大させるんだろうね。

僕は人様に恥ずかしいと思われるような行動は一度も取っとらんわ。そもそも、「辞めさせられて」なんかいないわ。

話を戻しますが、政治家とかでも「それっぽい話し方」をする人は大勢います。代表的な例が

「遺憾に思います」

ってやつね。

僕も仕事柄、政治家の飲み仲間が何人もいますが、彼らと飲んでいても「遺憾ですよね~」なんて言葉使い、一度も聞いたことありません。カメラの回ってない所だと、ベテラン議員もそんな喋り方しません。

要は「政治家っぽい言葉を使ってる」自分が大好きなだけで、一言で訳しちゃうと「ダメよ~ダメダメ」って言ってるだけです。

「この度の中国の声明に対しては政府として遺憾に思う所存で…」

ってのは要は、

「中国ってば、超やな感じ~」

って言ってるのと、何にも変わらないんです。なのに、日本人は単語とか、しゃべり方とかで、上の言い方だとすっかり信じますし、下の言い方だと「アホだ、こいつは」という偏見で見るんです。これをやめましょう。

ちゃんと内容を見る癖をつけるんです。
全体的な意味合いをとらえるんです。
そうすれば、「実はたいしたことない」話が日本には蔓延していることが分かってきます。

ね?結局、色々と書いてますけど、今日の僕のブログも、この↑3行だけ読めば十分でしょ?実は文章ってそんな程度のものだったりします。

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