運転免許の更新に行くとよく聞く、事故を未然に防ぐための「かもしれない運転」。入浴でも同じ「かもしれない」で未然に危険を防ぐことが重要のようです。

メルマガ『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』の著者で元大手旅行雑誌編集長の飯塚さんは、江戸時代から続く「入浴法」と「かもしれない運転」を掛け合わせた、「かもしれない入浴法」をオススメしています。

“かもしれない入浴法”とかけ湯

昨日、免許証の更新をしてきた。

例によってもう何度も見たような「かもしれない運転を心がけるべし、というビデオを見て、そのような内容の講義を2時間聴いて帰ってきた。

で、ふと、これは温泉入浴にも当てはまりそうだな、などと思った次第だ。

前述の「かもしれない運転」というのは、ま、皆さんご存じだろうが、つまり停車中のバスの前から歩行者が飛び出してくる「かもしれない」、路肩に駐車をしている車の死角から何一つ注意もしない馬鹿げた人が出てくる「かもしれない」、目の前を走るクソ自転車が後方を一切確認せずに道を横切る「かもしれない」という前提で運転をしなさい、というものだ。

しかし、これらの例で事故が起きて、運転者の責任が大きいという今の日本の状況も考えてみるべきだとは思うのだが。

それはさておき、これを入浴に当てはめると次のようになる。

温泉に浸かったら、血管が詰まって心筋梗塞を起こすかもしれない」、同じようにドロドロ血の影響で脳梗塞などを起こすかもしれない」、浴槽の底や浴室の床が滑って転倒、後頭部を強打して死ぬかもしれない」、湯上がりに立ちくらみを起こして転倒し、同様に頭を打って死ぬかもしれない」などなど。

これは案外冗談ではなくて、実際に起こりうる入浴事故であると思う。

その「かもしれない」を常に頭に置いて入浴するということも重要だと思う。

「かもしれない運転」では、徐行や減速などをして注意をする、ということだが、入浴の場合には、そのような「かもしれない」が起こらないように、事前に対策をしておく、あるいは知識を持っておく、ということになる。

入浴で一番重要な対策って何?

一番重要なのは入浴前の水分補給及びしっかりとしたかけ湯であろう。

僕が通っている草津の時間湯湯治では、必ず500mlペットボトル飲料を用意し入浴前に水分をとらないと、お湯に入れてもくれない。

入浴前には手順があり、まず足先だけに手桶で20-30杯かけ湯をし、さらに頭にタオルをかぶせて、頭だけに手桶で30杯かけ湯をする。しかるのちに、下半身の前と後ろを清めつつ、5杯ずつ程度のかけ湯をする。

これだけしっかりとかけ湯をしないと、湯長さんは入浴させてくれない。それだけ、入浴のリスク、つまり「かもしれない」を減らすべく、効率的に編み出された入浴法なのである。

しかも、3分間の入浴ののち、湯船から上がった際も、いきなり立ち上がると叱られる。

全身が水圧から解放されることで、血液が頭から下半身などに移動するために、脳貧血を起こして転倒する可能性があるからだ。よって、湯から上がっても、浴槽の縁にしゃがんで20秒くらい休むことになっている。

たった3分間だけの入浴とは言っても、なにしろ48度近い激アツ湯である。

江戸時代末期から脈々と続けられてきた歴史の中には、事故を未然に防ぐ「かもしれない」入浴法が確立しているのである。

入浴事故の多くは冬に起こっている。これからの時季、大いに注意したい。

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