『革命のファンファーレ』(西野亮廣/幻冬舎)

お笑い芸人・キングコングの西野亮廣さんが出版した絵本『えんとつ町のプペル』(幻冬舎)は炎上騒ぎを勃発させながら、計32万部の大ヒットとなった。

クラウドファンディングで5000万円以上を調達したこと、無料公開したこと、他にも様々な新しい挑戦によって生み出されたこの絵本は、絵本業界やクリエイター業界に風穴を開けたと言っても過言ではない。

『革命のファンファーレ』(西野亮廣/幻冬舎)は、なぜ『えんとつ町のプペル』が成功したのか、これからの時代、どのように仕事やお金と付き合うべきかについて語った1冊だ。本記事では本書の内容の一部を要約してご紹介したい。

■クラウドファンディングとは信用を現金化する装置

『えんとつ町のプペル』の制作において、クラウドファンディングで資金を集めたことが話題になった。西野さんによると、クラウドファンディングとは信用を現金化する装置だそうだ。そして本書が説く「信用」とは、ウソをつく人かどうか。

たとえば、ゲス不倫で話題になったベッキーさん。彼女が「絵本を作るためにクラウドファンディングします!」と宣言しても、それほどのお金は集まらないだろう。しかし西野さんが同様に宣言すると、また数千万単位でお金が集まる可能性がある。

この違いを簡単に言えば、彼女に信用がないから。そして西野さんには絵本を作った実績と行動力があり、普段からウソをつかない芸風を見せているからだそうだ。「西野ならきっと本当にやってくれる」という「信用」がお金に変わる。

■フリーミアム戦略

『えんとつ町のプペル』の無料公開は、クリエイター業界から大きな反発があった。無料公開に反発した人々の意見の大半は、つきつめればお金が稼げなくなるというもの。しかし『えんとつ町のプペル』は売り上げを大きく伸ばした。

その理由は、無料公開をすることで、絵本を購入してくれる絶対数を増やしたことだ。

「無料」の代表的な存在である民放テレビは、スポンサーがTV局に制作費を投じ、その代わりスポンサーの商品を宣伝し、売り上げを伸ばしていく。Twitterも同様にユーザーにアプリを無料DLさせ、広告宣伝などでお金を回収していく。

価値がないものを無料で提供してもお金は発生しない。価値があるもの(無料ではないもの)を無料で公開するから、ファンや消費者が生まれ、巡り巡ってお金が落ちる。

入り口を無料にすることで、さらに大きな見返りを狙っているのだ。時間差でお金を発生させるこの戦略を「フリーミアム戦略」という。

西野さんが言うには、絵本と「フリーミアム戦略」の相性は良く、『えんとつ町のプペル』もまさに「フリーミアム戦略」によって大ヒットにつながった。

■アンチを手放してはいけない

西野さんといえば、アンチと闘い続ける姿を思い出す。『えんとつ町のプペル』でも大量のアンチと闘って疲れ果てただろう…と思っていたが、どうやら違ったようだ。

確かにクラウドファンディングや無料公開に踏み切ったことで、様々な場所で炎上した。しかし西野さんはこの炎上をむしろ利用した。たとえば、Twitterでアンチコメントが寄せられると、早々にリツイートしてシェアしてしまう。

批判する人々に「同じ声を上げている仲間がいますよ」と知らせて、徒党を組ませてしまうのだ。議論ほどコスパの良い宣伝はないし、感情に任せた下手な批判は西野さんが手を下さなくても自然淘汰される。

後ろめたいことを一切していなければ、反対派のエネルギーほど使えるものはない。アンチさえも利用して『えんとつ町のプペル』を大ヒットにつなげたのだから、西野さんの肝の太さに舌を巻く。

良い作品を作れば勝手に売れる時代は終わった。「良い作品を作るのは大前提で、それを売り出す導線を作るまでが作品制作の1つだ」と西野さんは言い切る。作品の育児放棄をしてはいけない。

今までの様々な行いもあって、西野さんに悪いイメージを抱く人も多い。しかし『えんとつ町のプペル』については、どれだけ批判にさらされようが、金字塔を打ち立てた紛れもない成功だ。

その裏には、成功するために本気で考え出された戦略と行動力があり、クリエイターを目指す人や仕事に悩む人は本書を読んでおいて損はないはず。アンチのみなさんもぜひ本書を読んでほしい。炎上させるかどうかは…読者の良心に従ってほしいが…。

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