コンビニ業界で断トツ1位の座に君臨し続けているセブン-イレブン。しかし、その後を追うファミリーマートも決して手をこまねいている訳ではありません。

今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では、最近のファミリーマートの売上アップに大きく貢献する「中食改革」について、著者の佐藤昌司さんがプロの視点で解説しています。

ファミマの中食が好調。「中食改革」で日販差13万円以上のセブンを追撃

ファミリーマートで「中食構造改革」が実を結んでいます。

ファミマの2017年3~8月期決算によると、ファスト・フード(FF)の売上高が前期比28.5%増の725億円でした。全体の増加率が17.9%だったなか、特にFFが大きく伸長した形です。

ファミ横商店街」と命名されたレジ横にあるFF売り場で6月から「焼き鳥を販売開始しました。年間の販売目標を2億本に設定しましたが、わずか6日で1,000万本を超え、発売から約1カ月で3,000万本を突破したといいます。

06年の発売から累計10億個以上を販売したフライドチキン「ファミチキもファミ横商店街で販売しています。6月にはファミチキを擬人化したキャラクター「ファミチキ先輩」をテレビCMなどに投入し訴求しました。

8月には新たなラインナップとして「ファミ横商店街 おでん処」と銘打ち、新作のおでんを展開しました。また、「中華まん」を刷新し、同じく8月から「ファミ横中華街」と銘打ち、販売を強化しています。

ファミマはファミ横商店街などのFFや米飯といった「中食を強化することで、先頭を走るセブン-イレブンを追い抜きたい考えです。

ファミマの中食構造改革とは

経営統合により「サークルK」と「サンクス」が加わったことで、ファミマはグループで全国に約1万8,000店を展開するにまでなりました。2万店弱のセブンに国内の店舗数では肉薄しています。

しかし、売上高などでは大きく引き離されています。

16年度のセブンのチェーン全店売上高は4兆5156億円でファミマ・サークルK・サンクス(3兆96億円)の1.5倍です。営業利益は5.7倍にもなります。セブンがファミマを圧倒している状況です。

日販(1日あたりの平均売上高)も大きく水をあけられています。

17年3~8月期の1店あたりの平均日販はセブンの66.3万円に対し、ファミマは53.1万円、サークルK・サンクスは39.5万円にすぎません。日販差は13万円以上もあり、大きく引き離されている状況です。

日販を引き上げるには中食の充実が欠かせないとファミマは判断しています。特にファミマはFFが弱点でした。16年度のFFの売上構成比はわずか5.7%にすぎません。セブンの29.9%と比べるとファミマのFFの弱さが際立ちます。

そうしたなか、今回の決算でFFが大きく伸長したことは、推進している「中食構造改革の成果の賜物といえそうです。

ファミマは「中食構造改革委員会」を立ち上げ、14年の春ごろから弁当や総菜、FFなどの中食の充実化を図ってきました。そのために工場の再編を打ち出し、総合工場を「米飯専門」「チルド専門」といった温度帯別工場へ順次切り替えていきました。

これにより製造品目数を削減することができ、商品品質の向上と製造の効率化が可能となったのです。

14年3月には「サンドイッチを刷新しています。丸刃スライサーで1枚ずつスライスした食パンを使用し、なめらかな口当たりにしました。

サンドイッチはその後も刷新を重ねています。今年3月に刷新したサンドイッチは発売開始から7日間で600万個を販売し、売上高は前期比で120%を超えたといいます。

おにぎりも進化しています。15年7月に約2年ぶりとなる全面的な刷新を行いました。ご飯の炊飯、海苔の焼き方、具材の選定から調理方法に至るまで、全ての面を見直しています。

おにぎりはその後も改良を加え続けています。

16年3月に使用する塩をマイルドな味が特徴の「藻塩」に変更しました。その後も改良を重ね、今年4月に刷新して発売したおにぎりは一時期、前期比で140%を超えるなど過去最大の売り上げを記録したといいます。

総菜の販売も強化しています。16年8月からは冷蔵オープンケースで展開する総菜「ファミデリカ」の販売を開始しました。ガス置換充填のトレイパック商品「ひじき煮」や「銀鮭の塩焼き」などを発売しました。

今年9月からはファミデリカを進化させた冷蔵総菜売り場「お母さん食堂」の本格展開を開始しました。「母親がつくるような総菜」をコンセプトとし、「切り干し大根」や「ハンバーグ」などを取り揃えています。

ドンキとの提携も追い風に

ライザップとのコラボ商品も話題を集めました。16年11月から発売した「糖質を抑えながらもおいしさにコミット」した商品9種類は、累計販売数が発売16日間で300万食を突破しました。

特に女性から支持が得られ、当初計画を大幅に上回る販売になったといいます。

好調な販売を受け、ライザップとのコラボ商品をその後も続々と投入し続けています。合わせて、話題性のあるプロモーションも行なっています。

今年6月から約2カ月間、ファミマやサンクスで働く従業員がライザップとのコラボ商品を食べて、食生活の改善に取り組む「ファミマでライザップ」を開始しています。

16年9月に新たに導入した加盟店とのフランチャイズ契約も中食の販売を後押ししそうです。ロイヤルティ(経営指導料)は高くなりますが、その代わりに食品の廃棄ロスと水道光熱費の一部を本部が負担します。

これはセブンの契約に近い形です。これにより、加盟店は廃棄を恐れずに中食を発注するようになると考えられます。中食の販売機会ロスが減ることが期待されます。

ドン・キホーテとの提携も追い風になりそうです。ユニー・ファミリーマートホールディングス傘下のユニーの株式をドンキホーテホールディングスが40%取得すると8月に発表されました。

業務提携の一つとして、商品の共同開発が盛り込まれました。両社共同で中食を含めたオリジナルの商品を開発しファミマで展開することが考えられます。

ドンキはかつて、弁当・総菜店「オリジン弁当」を運営する企業を傘下に収めることを企図したことがあります。傘下に収めることで中食が充実した「次世代コンビニエンスストア」の確立を目指しました。

買収は失敗
したため実現は叶いませんでしたが、代わりに自社の食品を充実化させることで中食の強化を図っています。

ドンキの小売事業における食品売上高の構成比は、13年6月期は29.6%にすぎませんでしたが、17年6月期には34.2%にまで拡大しています。一部の店舗ではドンキオリジナルの弁当を200円で販売するなど中食にも力を入れています。

こうした中で培ってきたノウハウを生かし、ファミマとコラボした中食商品などをファミマで展開することが考えられます。

ドンキの既存商品をファミマで展開することも考えられるでしょう。競合のローソンは傘下に収めた成城石井のワインをコンビニで販売しています。

ワインに合う菓子やつまみの共同輸入や共同開発も行なっています。ローソンのように、ドンキの商品をファミマで展開することが考えられます。

ファミマが中食の充実化に向けて慌ただしく動き出した感があります。ゆっくりやっていてはセブンとの差が縮まらないという焦りと意欲が突き動かしているようにも見えます。

いずれにしても、ファミマがセブンの追撃に本腰を入れてきました。差は縮まるのか、逆に広がっていくのか、注目が集まります。

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