記事提供:日刊サイゾー

イメージ画像(Thinkstockより)。

今年もプロ野球のペナントレースが終わりを告げた。まだまだポストシーズンの戦いがあるとはいえ、試合のないオフシーズン、ストーブリーグの季節も意外ともうすぐそこにある。

ただ、試合はなくとも、別角度から野球を楽しめるのがオフシーズンの醍醐味。そのひとつが、密着ドキュメントだ。シーズン中に放送される場合もあるが、オフのほうが選手の内面や私生活、家族を巻き込んだ企画が増えて、見応えあるものが多い。

この分野で一日の長があるのは、なんといってもTBS

年末恒例の『プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達』、最近、放送回数が増えてきた『壮絶人生ドキュメント プロ野球選手の妻たち』、そして間もなく迎えるドラフト会議当日には『ドラフト緊急生特番!お母さんありがとう 夢を追う親子の壮絶人生ドキュメント』と、おなじみの企画が目白押しだ。

この「野球ドキュメンタリー」の分野で、TBS以外で新たな鉱脈を見つけたのがフジテレビ。今年3月に放送された新企画『プロ野球選手の子供に生まれて』。その第2弾が10月2日、早くも放送された。

3月放送の第1弾では、テニスに打ち込む石井琢朗コーチ(広島)の娘、父と同じ野球の道を選んだ前田幸長氏、元木大介氏(ともに元巨人)の息子たちを取材。

それぞれの親子の関係性、注目を集めやすい「プロ野球選手の子ども」という境遇・環境だからこその悩みなどを描いた。

今回放送の第2弾では、石井親子のその後、そして新たな親子として、3兄弟がJリーガーという高木豊(元横浜)親子、オヤジ超えを目指して英才教育を施す度会博文(元ヤクルト)親子が登場。

「プロを目指すなら、今のうちに負けを経験しておくこと」と語る石井。

「(スポーツ界では)オヤジの名前なんて通用しない。自分の実力で切り開かなきゃいけない」と高木。大舞台に挑む息子に「きっと誰かが見ている。だから、いつも、全力で」とメッセージを送った度会と、三者三様の“オヤジの背中”はそれぞれ温かく、そして味わい深かった。

これほど早く第2弾が制作されたのは、よほど第1弾の評判と数字がよかった、ということのはず。その成功の要因のひとつは、なんといってもナレーションを元三冠王・落合博満の息子にして声優の落合福嗣が務めたことだ。

声優として確固たる地位を築きつつある福嗣の声はとても聞きやすく、そして番組コンセプトにこれほど合致し、話題性を生む人選はなかったはず。むしろ、福嗣ありきの企画だったのでは?と思えてしまうほど、この番組には欠かせない要素だ。

それにしても…かつて、名著にして怪著『フクシ伝説 うちのとーちゃんは三冠王だぞ!』(集英社)を刊行し、ある意味、「プロ野球選手の息子」を肩書に生きていた感すらある“フクシくん”が、こんなに立派になって…という感慨深さは、2回目でも収まらなかった。

そして第2弾を見て思ったのは、成功する企画には“見えざる力”が働くものだな、ということ。

たとえば、今回取り上げた3組の親子のうち、度会の息子は中学生最後の全国大会で大活躍し、見事に全国制覇。その活躍が認められて、U15の侍ジャパンにも選出された。

また、第1弾で「プロになんてなれっこない」と父から断言されていた石井の娘は、海外武者修行を経て、全国大会で準優勝。こうした“結果”は、どんなに番組スタッフが努力したところで実現できるわけではない。

むしろ、うまくいかないケースのほうが多いはず。その半面、番組自体の勢いや時流とのマッチングが強い場合には、自然と結果が結びつくからなんとも不思議だ。

ちなみに、今回の番組最後で「ユニフォームを脱いで、(テニスでプロを目指す娘と一緒に)海外を回りたい」と語った石井。

するとこの数日後、今季限りでのカープ退団を発表。記者会見で「一番の理由は、東京にいる家族です。『戻って来てほしい』と…」と発言していたが、番組を見た人はきっと、テニスに打ち込む娘の姿を思い起こしたはず。

こうした積み重ねで、番組ファンは着実に増えていくのではないだろうか。

恐らく、遠くない時期に第3弾も放送されるであろう、『プロ野球選手の子供に生まれて』。期待したいのは、落合博満・福嗣親子の物語も見てみたい、ということ。

くしくもこの夏、福嗣は自身のTwitterで、父・博満と野球観戦したことをツイートしていた。

《63年弱生きてきて産まれてはじめて野球場の客席でお酒を飲む。ずーっと夢だったんだって。ほら、いつだって野球は『仕事』だったからさ》

あの博満の意外すぎる“小さな夢”をかなえた息子、福嗣。とんねるずナインティナインにも暴言を吐いていたあの子が、本当に立派になったなぁ…。

権利侵害申告はこちら