『50年の名門料理教室の確かなワザとレシピ180 きちんと切ると料理はもっとおいしい』(田中伶子クッキングスクール校長・中村奈津子/主婦と生活社)

家で食べる毎日のごはん。ワンパターンになりがちなおかずに変化を加えようと、レパートリーを増やすのもよいが、ちょっとした手間をかけるだけで、定番のメニューがグーンとおいしくなるのなら、やってみたいもの。

そこでオススメなのが、『50年の名門料理教室の確かなワザとレシピ180 きちんと切ると料理はもっとおいしい』(田中伶子クッキングスクール校長・中村奈津子/主婦と生活社)だ。

ここ最近、自身が校長を務めるスクールを通じて、著者自ら実感しているという「正しく切ること」の大切さ。

一般的なレシピ本でも、単に“せん切り”“そぎ切り”などと書かれているものの、「どうやって切るのか」「なぜそう切るのか」がおろそかになっているような気がする、と話す。

そんな著者は、素材や味つけに適した切り方の基本を知れば、いつもの料理が3割増しでおいしくなる、という。

本書では、包丁の持ち方、立ち方にはじまり、素材の繊維の見極め方、切り方を写真とともにわかりやすく解説しながら、レシピを紹介する。だからといってプロのような華麗な包丁使いを学ぶというものではない。

誰でも簡単にできる切り方の基本を知ることで、料理上手に近づけるというのが本書の醍醐味だ。その中から、実際に3品作ってみた。

1. 口あたりのよさ抜群!細切りを極め、素材の食感を最大限に引き出すチンジャオロースー(p.16)

【材料】

焼肉用牛もも肉、ピーマン、赤ピーマン、たけのこ(水煮)、サラダ油、調味料A〈酒、しょうがの絞り汁、片栗粉、塩〉、調味料B〈しょうゆ、酒、オイスターソース、砂糖、片栗粉、水〉

【作り方】

(1)牛肉を細切り(*1)にする。カットした牛肉に調味料Aをまぶし、下味をつける。

(2)ピーマン、赤ピーマンを細切り(*2)にする。たけのこは、外側だけを使用し細切り(*3)にする。

(3)フライパンにサラダ油を入れ中火で熱し、牛肉を入れてサッと炒めて取り出す。続いて再びサラダ油を入れ中火で熱し、ピーマン、赤ピーマン、たけのこを入れサッと炒める。

油が回ったら牛肉を戻し入れ、調味料Bを加え、全体を手早くからめたら完成。

【切り方ポイント】

*1 牛肉の繊維が走っている方向を確認し、繊維に対して直角に包丁を入れ、繊維を断ち切るように5mm幅に切っていく。

*2 ピーマン、赤ピーマンの上下を切り落とし、縦半分に切って種とワタを手でちぎって除く。取り残したワタは包丁でそぎ切って除き、口あたりをよくする。そして繊維に沿って(縦に)3mm幅の細切りにする。

*3 たけのこは2~3mmの厚さでかつらむきのようにむいて、端から3~4mm幅でカットする。(今回使わない芯に近い部分は、粗いみじん切りにしてチャーハンやみそ汁に利用するのがおススメ)

食材のサイズを揃えているため、シャキシャキとした野菜は口あたりがよく、繊維を断ち切った肉は柔らかく、すべての食感がいい。

これなら白いごはんが何杯もイケそうだ。いつもなら考えなく、ザクザクと細切りにしていた野菜が、切り方ひとつでこんなにもおいしく変わることに終始感動してしまった。

2. 食材のサイズを揃えるだけで、ふだんと格段に違う!歯触りよく、調理時間も短縮できるワザありの豚汁(p.50)

【材料】

豚肉(薄切り)、大根、にんじん、ごぼう、玉ねぎ、油揚げ、ごま油、だし汁(※)、みそ、七味唐辛子

※書籍の別ページで、和風だしのとり方、インスタントを使用する際のポイントを詳しく解説。

【作り方】

(1)豚肉をひと口大に切る。大根、にんじんは、短冊切り(*1)にする。ごぼうは包丁の背で皮をこそげ、斜め薄切りにしてサッと水にさらす。玉ねぎは薄切り(*2)にする。油揚げは熱湯でサッと煮て油抜きをし、開いて短冊切りにする(*3)。

(2)鍋にごま油を入れ中火で熱し、大根、にんじん、水けを切ったごぼう、玉ねぎを入れて炒める。油が回ったらだし汁を加える。煮立ったら豚肉と油揚げを加え、ひと煮立ちしたらアクを除く。

(3)具材に火が通ったらみそをのばす。器に盛り、七味唐辛子をふればできあがり。

【切り方ポイント】

*1 大根、にんじんを長さ(縦)4cmに切り皮をむく。幅(横)1.5cmの板状に切り、幅(薄さ)2mmくらいに切っていく。

*2 玉ねぎの茶色の皮をむく。半端に茶色い皮が残った場合は、その部分に切り目を入れ、はぎ取る。縦半分に切り、断面を下にして芯の部分に三角の切り目を入れて、芯を取る。端から繊維に沿って薄く切る。

*3 縦半分に切り、切り口に包丁を入れて切り裂く。2枚になった油揚げを重ねて、端から1.5cm幅に切る。

短冊切りでサイズを揃えた大根にんじんは歯触りがよく、味がしっかりと染みている。大根やにんじんは短冊切りにすることにより、噛んだ時の抵抗がなく、繊維に沿うようにスーッと口の中で崩れる。

いつもなら袋状のまま使用することの多い油揚げも、開いてから短冊切りにすることによりモサモサとすることなく、しっとりとした食感で食べやすい。

3. あっという間に味が染みる!お酒にぴったりの病みつきになる、じゃばらきゅうりのねぎだれ和え(p.72)

【材料】

きゅうり、調味料A〈酢、砂糖、ごま油、しょうゆ、塩〉、長ねぎ、にんにく(すりおろし)、塩水

【作り方】

(1)きゅうりをじゃばら切り(*1)にして、塩水につけ、しんなりとさせる。

(2)5分経ったら、搾るようにして水けを切り、1.5cm幅に切る。

(3)ボウルに調味料A、みじん切り(*2)したねぎ、にんにくを加えて混ぜる。きゅうりを加えて5分ほどおいたら完成。

【切り方ポイント】

*1 きゅうりの厚みの半分くらいまで、1~2mm間隔に斜めに切り目を入れる。裏返して同様に同じ角度で斜めに切り目を入れる。このとき、切り離さないように注意する。

*2 ねぎは使う分の長さに対し、回転させながら繊維に沿って縦4本の切り目(断面からみると、放射状の8等分になる)を入れ、端から切ってみじん切りにする。

じゃばら切りにすることで、短時間できゅうりにタレを染み込ませることができた。噛んだ瞬間、花びらが開くように口いっぱいにごま油とねぎの風味が広がり、病みつきになるおいしさだ。お酒とともに楽しみたい、乙なひと品ともいえる。

本書では、食感や味に差がつく“基本的な切り方”の他にも、見た目が美しく、箸もすすむ!“飾り切り”や定番料理が驚くほどおいしくなる!“隠し味”を取り入れたレシピを紹介し、ふだんの食卓をより豊かなものにしてくれる。

たかが“切る”、されど“切る”。おいしい食材が出回るこれからの季節、本書を参考に素材のおいしさを最大限に活かし、“食欲の秋”をめいっぱい味わい尽くしてみては?

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