『怒りを鎮める うまく謝る(講談社現代新書)』(川合伸幸/講談社)

相手の言動についカッとなってしまう。そして「これを言ったら絶対ケンカになる」という一言を相手に吐き出せば、家族・恋人・友人関係はこじれてしまうもの。

相手との衝突もコミュニケーションの一つ。お互いの意見をぶつけ合うことは良いことだ。そう割り切ればいいのかもしれないが、余計なケンカはできる限りしたくない。そのように考える人は少なくないはず。

今回紹介する『怒りを鎮める うまく謝る(講談社現代新書)』(川合伸幸/講談社)は、心理学・神経科学・経済学といったあらゆる分野の実験結果に基づいた、怒りを鎮める方法と効果的な謝罪方法について書かれている。

つまり、本書を読み、自分の怒りをコントロールできるようになれば不要な争いが避けられる可能性が高くなるということ。

さらに、友人や恋人を怒らせてしまった場合の謝罪方法について学べるため、ケンカが長引き冷戦状態が続く…ということもなく、関係修復を図ることもできるのだ。

そもそも人はどのような時に怒りを感じるのだろうか。人に馬鹿にされた時、大事だと思っていた人に裏切られた時、食べようと冷蔵庫にしまっておいたプリンが食べられてしまった時、など様々だ。

本書によれば「生命と身体」「名誉」「家族」「移動の自由」「自分の属する社会集団」「なわばり」「友人」「資源」「社会的正義」といった9つが脅かされた時、つまり自分を含めた周囲の環境・人間が脅威にさらされた場合に怒りを感じるのだという。

自分の怒りを鎮める方法の一つに「怒った自分を客観視すること」が挙げられている。自分は今、どの項目で脅威にさらされているのか。そもそもなぜ怒っているのか。そのように客観視することで怒りを抑えることができるそう。

先ほど挙げた怒りの原因はどれにあたるのかを、まずは考えてみるといいだろう。本書には、他にも自分を客観視する方法として「自分の気持ちを書きだす」「誰かのために祈る」という方法が紹介されている。

「誰かのために祈る」というのは少しハードルが高そうだが、「気持ちを書きだす」であれば、すぐに実践できそうだ。

また、お腹が空くとイライラするという人が身近にいないだろうか。私はその一人で、空腹を紛らわすため、飴やガムを常備している。本書によると血糖値が低い、つまり空腹状態であると攻撃性が増すという。

この血糖値の理論を応用すれば、怒っている人にいきなり謝るのではなく、甘いお菓子やジュースを差し入れし、飲食してもらってから謝罪をするのが効果的なようだ。

次は効果的な謝罪方法について。まずは悪い謝罪の四つの要素を紹介したい。

・不快な行動や失言を正当化する(正当化)
・被害者を批難する(逆ギレ)
・弁解をする(弁解)
・事態の最小化をはかる(矮小化:たとえば、「ほんの冗談だった」というなど)

出典『怒りを鎮める うまく謝る(講談社現代新書)』(川合伸幸/講談社)

さらに、以下は良い謝罪の要素の一部。

・自責の念の表出(悔恨)
・責任の自覚(責任)
・補償の申し出(解決策の具体的な提案、補償)

出典『怒りを鎮める うまく謝る(講談社現代新書)』(川合伸幸/講談社)

これまで、謝罪をしたにもかかわらず「誠意が足りない」「反省の色が見られない」と火に油を注いでしまったことがないだろうか。

上に挙げた悪い謝罪でいうと、私は自分を守るために「弁解」をしてしまい、「責任の自覚」を謝罪に組み込んでいないことが多いと感じた。謝罪をする場面がないことが理想ではあるが、もし機会があれば、この二つを注意し、良い謝罪の要素を組み込みたい。

謝罪をすれば、相手の不満が0になる訳ではない。あくまでも、こちらへの攻撃性を低下させるものだという。要するに謝罪の後が本当の勝負。相手が抱いた“不満”を“信頼”に変えるための行動が求められているのだ、と本書を読んで感じた次第だ。

この記事で紹介した書籍

権利侵害申告はこちら