記事提供:日刊サイゾー

この神社に参拝すれば、チケットが当選する――。

ジャニーズアイドルをはじめ、競争率の極めて高いライブやコンサートのチケットを求めるアイドルファンの中で、そんな御利益のある神社がウワサされている。

それが、東京は新大久保駅の近くにある皆中稲荷神社。戦国時代からの由緒ある神社が、なぜ「チケットが当選する」神社となったのか?そして、本当に参拝するとチケットが当たるのか?本当のところを聞いた。

神社の由緒によれば、この神社の創建は天文2(1533)年。現在の新宿区百人町にあたる武蔵国躑躅ヶ丘に稲荷之大神が出現し、人々に祭られたのだという。

以来、地域の氏神として発展してきた神社で、御利益が話題になったのは江戸時代に入ってからのことである。

江戸時代の寛永年間、この地には江戸警備の役目を担う鉄炮組百人隊が駐屯しており、鉄炮組の与力に射撃の腕を上げるのに精魂を傾けていた者がいた。しかし、思うようにいかない。そんな煩悶としていたある晩、夢枕に稲荷之大神が立った。

翌朝、お礼参りに参拝した後で射撃をしたところ、見事に百発百中。それを見た旗本たちが自分たちも霊符を受けたところ、やはり百発百中。そのウワサは江戸市中に広がり、多くの人が霊験あらたかな神社であると参拝するようになった。

人々は神社を「皆中(みなあたる)の稲荷」と呼び、いつしか神社は「皆中稲荷神社」と呼ばれるようになり、それが時代を経て、その御利益は射撃だけでなく、さまざまな開運へと広がっていったというわけである。

さて、取材に訪れたのは平日の日中。にもかかわらず、境内には参拝する人の姿が絶えることがない。そんな神社の絵馬掛けで目立つのは、各所でウワサされている最新の御利益を願うもの。

ジャニーズグループや韓流アイドルなど、さまざまなライブ・コンサートやイベントのチケットに当選することを願うものは特に目立つ。

これもファンゆえなのか、「○○さんたちと今年も縁が結ばれて当選しますように」とチケットの当選を願いつつ、応援しているグループの活躍も合わせて祈願しているものもある。

一方で、古くから知られる神社の御利益である射撃の腕の向上、そして宝くじの当選を願う者も…。この神社、現在はチケットが当選する御利益をよく聞くが、実はそれ以前から、宝くじが当たる神社としても知られていた。

「以前から、パチンコとか競馬とか、ギャンブルの御利益があると参拝される方もいらっしゃいました。ここ数年、宝くじが当選する御利益もあるということで参拝される方も増えてきました…そういうものばかりというのも、神社参拝の本来の主旨からはいかがかという思いもあるんですけどね」

そう話すのは、同神社権禰宜の鶴田裕信さんである。

取材の前に調べてみたところ、新聞や雑誌で「宝くじ」の御利益があると報じられるようになったのは1990年代中頃から。21世紀に入り、次第にその御利益を紹介する記事が増えている。

「それ以前は、神社の名前のように『<みなあたる>開運の神社』ということで参拝されていました。稲荷神社そのものが、元は農業の神様からさまざまな産業に御利益があると広がっていったものなんですよ」

その「みなあたる」というところが広まって、開運の中でも特に当選系のものに御利益があるという形で広がっていったようだ。

「チケット当選の御利益を求めて、参拝される方が目立つようになったのは、ここ2~3年ほどでしょうか」

■やっぱり!欲得だけで参拝しても御利益は得られない

そこでやはり聞いてみたいのは、実際に御利益を得た人のこと。宝くじに当たったりしている人はいるのかと、尋ねてみた。

「宝くじで高額当選されたと、お礼参りにいらっしゃる方もおられます。絵馬を見ても、当選のお礼を書いている方が何人もいらっしゃいますね」

と、ここまで読んだ人は「ちゃんと御利益を得ている人がいるのか。自分もお参りして高額当選、あるいはチケットを…」と考えるかもしれない。でも、参拝したら、たちどころに当選するなんてことはない。鶴田さんは、参拝と御利益の関係をこう説明する。

「本来、参拝とは神様に感謝して、家族や地域、国の繁栄や自分の健康を祈るもの。参拝する皆さんが、崇敬の気持ちを念ずることによって、神様も威を増します。その結果として、さまざまな御利益に繁栄されるんです。特に崇敬も何もなく<このチケット、宝くじを当てて下さい>では、叶わないことなんですよね」

これまでもいくつかの神社を取材しているが、どこでも共通して語られるのは、まず地元の氏神様をお参りすること。

常に、神様への感謝を忘れないことによって、初めて御利益を与えていただけるというわけ。結局は、日頃の行いというのが、もっとも大切だということだ。

今では地域の名物行事(神事)である「鉄炮組百人隊出陣式」も、先代宮司と町の人々が共に復興したもの。そうした神社に奉仕する人々の努力が、ご神徳に反映しているのだろう。近年は外国人の参拝客も絶えないというにぎやかな境内を見て、そう思った。

権利侵害申告はこちら