記事提供:日刊サイゾー

延坪島の目と鼻の先にある長在島では、兵士たちが自活している。

大陸間弾道ミサイルの発射や水爆実験を立て続けに実施し、軍事力を誇示する北朝鮮だが、最前線の島を守る朝鮮人民軍の兵士たちは、本土からの補給がないため野菜作りに励んでいるという、涙ぐましい実態が明らかになった。

かつて北朝鮮からの砲撃で火の海になった韓国・延坪島(ヨンピョンド)から、巨大なビニールハウスの撮影に成功した。

「腹が減っては戦ができぬ」とは、いにしえからの戦訓だが、野菜の栽培、家畜の飼育、さらに漁業と、兵士たちは戦争をする暇がないほど、メシの準備に忙しそうだ。

延坪島は対岸の北朝鮮からわずか15kmしか離れておらず、島全体が韓国・海兵隊の要塞となっている。

2010年11月には対岸や北朝鮮領内の島から大量の砲弾が撃ち込まれ、軍陣地のほか、住宅街も火災となり、計4人が死亡した。この奇襲砲撃を計画・指揮したのが、金正恩党委員長とされている。

正恩氏は、数少ない“戦功”を成し遂げた砲撃部隊を、こよなく愛している。砲撃から1年を迎えた11年11月を皮切りに、計7回も部隊を現地指導(視察)。

特に延坪島から7kmという至近距離にある要塞島、長在島(チャンジェド)には、わざわざゴムボートや小舟で乗りつけて上陸し、守備隊を慰労しているほどだ。

左からビニールハウスと太陽光発電、そして風車。

直近では、今年5月に現地指導したほか、8月26日には延坪島占領を想定した特殊作戦部隊の大規模な攻撃訓練を誇示してみせた。そんな中、「今年に入って長在島の真ん中に、異様にデカい建物が建設された」と、延坪島住民は不気味そうに語る。

ビニールハウスを現地指導して満足そうな正恩氏(「朝鮮の今日」から)。

望遠レンズで長在島をのぞくと、不審な建物は二等辺三角形のような屋根で、南側を向いている。建物のすぐ近くには小さな風車や太陽電池パネルが確認できる。

電力は、自然エネルギーを利用して自家発電しているようだ。5月に正恩氏が現地指導した際の複数の写真と照合すると、三角屋根の建物は、野菜のビニールハウスと特徴が一致した。

当局の発表によると、守備隊は「ビニールハウス内では、トマト、キュウリ、カボチャ、ネギを栽培している」といい、島内では豚やウサギ、ニワトリも飼っているそうだ。また、党の恩情で、飲料水を確保するための海水ろ過装置を設置したそう。

さらに漁業にも励み、大漁となった日の水揚げを見た正恩氏は「『陸の兵士たちが、うらやましがる』と明るく笑った」とのこと。

小さな島で自給自足生活とは、近代の軍事組織で極めて珍しいが、正恩氏の発言から「陸の兵士」たちは、もっと待遇の悪いことが推察できる。韓国側の延坪島にはコンビニまである現実を、北の兵士たちは知っているのだろうか?

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