一時期、航空会社の対応トラブルが話題になった時期がありました。バッシングを受けるようなひどい対応をする乗務員がいる一方、多くの素晴らしい乗務員もいます。

この夏、クレームを受けたサウスウェスト航空のある乗務員の行動が素晴らしいと賞賛の声を集めています。

この日、乗客であるステーシー・ハートさんは、航空会社のトラブルにより、当初の予約を変更してナッシュビルからピッツバーグへ直航便で向かうことになりました。しかし航空会社のミスで、ステーシーさんの預けたキャリーバックは乗り継ぎ便に乗せられたまま運ばれてしまったのです。

そのことに気がついたステーシーさんは、とても混乱してしまいます。なぜなら、そのキャリーバックの中には翌日までに絶対必要なものが入っていたのです。

ステージ4のがん患者だったステーシーさん

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※画像はイメージです

乗り継ぎ便にのせられたまま運ばれたキャリーバックの中には、抗がん剤治療の副作用を抑えるための薬が入っていました。実はステーシーさんはこの翌日から抗がん剤治療を受けることになっており、翌朝までにその薬が必要だったのです。

すぐにサウスウエスト航空へ電話をし、自分はがん患者であること、バックの中にどうしても翌朝までに必要な薬が入っていることを説明しました。軽いパニック状態になったステーシーさんは、話しているうちに思わず涙が溢れてきてしまいます。

実は、ステーシーさんが混乱してしまったのは、薬が手元にないという理由だけではありませんでした。過酷な治療を続けるステーシーさんにとって、心のささえとなっているラッキーアイテムのロザリオもキャリーバックの中に入って運ばれてしまっていたのです。

「薬は病院で替わりのものを処方してもらうこともできます。けれど、3年前にがんと診断されて以来、51回の苦しい化学療法を続けてきている私にとって、ラッキーアイテムは他には代えがたい重要な意味を持っているのです」

ステーシーさんからの電話を受けた乗務員のサラさんは、事情を聞いて必ず届けると約束します。しかし、ステーシーさんのキャリーバックが最寄りの空港に到着した時には、すでに午前1時30分をまわってしまっていました。

「このままでは間に合わない」サラさんのとった行動は

手続きを終え、荷物をピックアップしたものの「航空会社の配送システムを利用していては、翌朝の治療には間に合わない」そう思ったサラさんは、自分の車にステーシーさんのキャリーバッグを積み込み、20マイル以上離れたステーシーさんの家まで車を走らせました。

しかし到着するのは真夜中の3時すぎ。そこで玄関のポーチに1枚のメモをつけて置いておくことにしたのです。

翌朝、玄関を開けてキャリーバックを見つけたステーシーさんは、そこに添えられたメッセージを読み、溢れる涙を抑えられませんでした。

「ステーシー 荷物が届くのが遅くなってしまって本当にごめんなさい!私とサウスウエスト・ファミリーは、あなたの幸運を祈っています。ガンなんかやっつけちゃって!心をこめて サラより」

「サラさんが書いてくれたこのメッセージは、不安でいっぱいになっていた私の心を落ち着かせて、安心させてくれたんです。彼女は本当に素晴らしい人よ!」

そして自身のFacebookに「すばらしい顧客サービス」というコメントと共に、このメモの写真を投稿。多くの人がサラさんの思いやりあふれる行動とメッセージに心打たれ、この投稿は世界中にシェアされました。

「ステーシーさんのおかげで行動を起こせた」

ABCニュースの取材に答え「一番大事なことは、ステーシーさんの治療に間に合うように荷物をお届けすることでした。そのためなら、私の帰宅時間がちょっと遅くなることは大したことではないと思ったんです」と語ったサラさん。実はサラさん自身も、6年前に父親を白血病でなくしており、他人事ではないと感じていたのだそうです。

「それに、ステーシーさんはとてもストレスフルな状況の中で、丁寧に落ちついて状況を説明してくれました。私が行動を起こせたのも、ステーシーさんのそんな素晴らしい人柄のおかげだと思うんです」

後日、どうしても感謝の気持ちを伝えたいと花束を抱えてサウスウエスト航空のカウンターを訪れたステーシーさん。お互い涙を浮かべながら抱きしめ合いました。

この様子は、サラさんのメッセージと共にサウスウエスト航空の公式フェイスブックに投稿され、多くの人からサラさんの行動への賞賛の声と、ステーシーさんへの応援のコメントが書き込まれています。

闘病中で不安なステーシーさんのために、自分の帰宅が遅くなるのもかまわず真夜中に車を走らせたサラさん。大切な荷物が手元になく不安な気持ちに押しつぶされそうな状況でも、航空会社のミスを責めずに丁寧に状況を説明したステーシーさん。2人の相手を思いやる気持ちが、世界中の人の心に大きな感動を与えてくれたといえるでしょう。

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