記事提供:AbemaTIMES

3機のヘリコプターを用いて、24時間体制で遭難救助にあたっている埼玉県の防災航空隊。2018年から、山岳救助における防災ヘリの出動が有料化されることになった。

今年3月、埼玉県議会が全国に先駆けて、防災ヘリによる山岳遭難救助を有料化する条例を可決した。2018年1月1日からの施行を目指しており、県は救助された人から燃料代として1時間当たり5万円程度の手数料を求めるという。

きっかけとなったのは、7年前に秩父市で起こった墜落事故だ。遭難者の救助活動中に事故が発生し、乗員5人が死亡した。この事故を受けて、埼玉県では防災ヘリの負担を減らそうと有料化を検討してきた。

埼玉県消防防災課の市川善一課長は、「山岳救助というのは、防災ヘリの活動の中でも危険度が大きい。無謀な登山が減って、結果として山岳遭難が減ることを期待している」と話す。

警察庁によると、2016年の登山遭難者は約3000人。有料化は無謀な登山を減らす目的もあるという。

防災ヘリの救助は、機長、整備士のほか、救助や山の斜面を見張る隊員など合わせて6人が息を合わせなければならず、1回の出動で大きな負担がかかる。

埼玉県防災航空隊の内田雅章体長は、「山岳救助では、我々が空を飛ぶ救急車代わり。最後の砦として防災ヘリが呼ばれる」と述べた。

有料化については、専門家の間でも賛否両論の声がある。

山岳ライターの羽根田治氏は「(防災ヘリを)タクシーの代わりに使うようなケースも散見されると聞く。起こさなくてもいい遭難事故を起こして、登山者は自分たちの首を絞めていると思う」と指摘する。

一方で、日本勤労者山岳連盟の川嶋高志事務局長は、「有料化自体については反対。けがをするとか具合が悪くなった時は、できるだけ早く救助要請したほうがいい。お金が必要だという話になれば、救助要請をためらうことになるではないかと思う」と話した。

10日の『けやきヒル'sNEWS』(AbemaTV)では、沖縄県・竹富島の救助体制の問題を取材したハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎氏が、「もう少し検証が必要だと思う」と見解を述べた。

総務省・消防庁によると、「救急車の出動件数」も右肩上がりで増えており、2016年は約621万件となった。救急車についても、簡単に呼ぶことで“必要な人が使えない”ことが議論になる。

竹下氏は「難しいのは、有料化に賛成する人は“歯止めになる”という考えだが、歯止めになる金額は人それぞれ。いくらだったら軽症の人がためらうのか、その基準はよくわからない。また、軽症か重症かの判断も難しい。頭が痛い時に、それが単なる頭痛なのか脳の病気なのか。お金を払うことでためらう人が増えると、後々深刻なことになる」と指摘した。

さらに、「逆にお金を払えば呼べるんだと捉える人が出てきて、『お金を払ったんだから優先しろ』という富裕層のモラル崩壊が生まれないか心配。もう少し検証が必要だと思う」とコメントした。

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