記事提供:AbemaTIMES

今、銭湯業界がピンチに陥っている。平成元年には全国に約1万2千件軒あった銭湯だが、現在は3分の1まで減少している。

この非常事態を何とかしようと立ち上がったのは、何と20代から30代の若者たちだ。AbemaTV『AbemaPrime』では、銭湯の再生・普及に奮闘する彼らを取材した。

出典 YouTube

■Twitter、Instagram、Facebookで発信

埼玉県川口市にある喜楽湯に住み込みで運営しているのは、中橋悠祐氏(31)と湊研雄氏(25)。

中橋氏は20代から30代の銭湯好きで立ち上げた、日本全国の銭湯を取材し紹介するウェブサイト「東京銭湯」に執筆している。

「東京銭湯」は、銭湯とモデルをコラボさせた「『ゆ』はかわいい」など、銭湯のPRに若者目線を入れた企画を数多く打ち出してきた。

同サイトの後藤大輔氏は「自分たちと同じ年代が銭湯に行かない。そもそも知らない」と話す。

中橋氏と湊氏は50年以上前から続く喜楽湯を2016年に引き継ぎ、若者が来やすい雰囲気に作り変えた。

「香りがいいから」と、薪で湯を沸かす昔からの手法はそのまま。古くてもいいものは、そのまま残す。

Twitter、Instagram、Facebookを通じて情報を毎日発信、さらに近所の学生寮などにチラシを配るなど精力的に活動した結果、若い客が徐々に増えていったという。

■建築学科卒業の“リケジョ”が「恩返し」

東京・高円寺にある小杉湯は80年続く老舗銭湯だ。特製のクリーム状の入浴剤入り“ミルク風呂”が名物だ。スイーツのような甘い香りで、肌がつるつるになると女性に大人気。今年から社員として働いているのが塩谷歩波氏(27)。

塩谷氏は早稲田大学建築学科卒業の“リケジョ”。建設会社で働いていた時の技術を活かし、都内各地の銭湯の内部を細やかなタッチで図面化した“銭湯図解”を待合室に展示した。

「営業前に伺って、店主さんにインタビューさせて頂いて、写真とあれば図面を借りて、仕事の合間に番台で描いている」。ネットで公開したところ、思いもよらない大反響があった。今では都内26の銭湯を描きあげた。

「おばちゃんたちが背中を向かい合わせにして話すというのがすごく面白くて。体験した一瞬一瞬を描きおこしたい。建物だけじゃなくて、人がどういうふうに過ごしているのかを描くのが大切かなって思って」。

前の職場で過労によって倒れた時に支えとなったのが銭湯だった。その人気を復活させ、恩返しをしたいという思いがあるという。「絵を描いてみたり、別の切り口でやっていくというのが若い人ならではかもしれない」。

■「はだかの学校」で交流

「明治の頭か江戸の終わりくらいからあったんじゃないかと言われている」というのが、東京・上野にある日の出湯。オーナー・田村祐一氏(36歳)によると、「古代ヒノキという、樹齢1000年以上といわれるヒノキ」を使った浴槽が自慢だ。

今年から日の出湯では「はだかの学校」というイベントを開催して若者を集客している。

銭湯を学校に見立てて、先生も生徒も裸で授業を行うというユニークな取り組みだ。先生役は地域の人が中心で、内容は人生経験や雑学、落語と様々だ。

田村氏は「今の若い人が銭湯に行くことはそんなにないと思う。イベントを通して銭湯に行く理由というか、行くきっかけになったらいいなと思って」と話す。若い人と年配の人が交流することで地域が活性化し、客も増えているという実感もあるようだ。

温浴施設経営コンサルタントの太田広氏は銭湯業界の現状について「厳しい。まず後継者がいない。経営にも結構、体力がいる。それで本当にやっていけなくなって廃業するオーナーもいる。そういう中で、20代、30代が頑張ってくれているのはすごくいい」と若者たちの取り組みを評価した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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