音楽フェス、盆踊り、花火大会…日本の夏には、歴史と伝統を感じる祭礼から、新しくお目見えしたものまで、さまざまなイベントがあります。世界を見渡しても、ここまで多様化している国は少ないのではないでしょうか。

そんな中、日本では見受けることのない、“あるイベント”が毎年世界で盛り上がりを見せていることをご存知でしょうか?

大迫力!公道で行われるモータースポーツ『WRC』

そう、それが公道を舞台としたモータースポーツWRC(FIA World Rally Championship)』です。

一年をかけてヨーロッパを中心に世界で行われ、鋭利な岩石、泥や土埃に覆われた未舗装の公道、雪と氷、アスファルトに覆われた公道を走行するなど、環境はまさにタフのひと言。「公道を舞台にした最も過酷なモータースポーツ」とも言われています。

響きだけでも「見てみたい…」とワクワクしてきますが、海外の人を惹き付ける魅力は何よりその「迫力」にあります。

出典 YouTube

どうでしょうこの近さ!サーキットを舞台にした『F1』とは異なり、フェンスも無い中を時速百数十キロのマシンが通り過ぎます。こちらはWRC第9戦ラリー・フィンランドでの光景なのですが、地元の方や隣国・エストニアの方など多くの観客が訪れていました。

開催地の人にとってWRCは「街のお祭り」

その参加している人たちを見ていると、お酒を飲みながら、ラジオを聞きながら、または大声をあげながらと、それぞれが好きなスタイルでお気に入りの国やマシンを応援。フィンランドの雄大な草原も相まって、まるで日本の野外音楽フェスのように緩やかな空気が流れていました。

こちらは地元のご夫婦。二人揃ってトヨタのファンだそう。

酔ったテンションで声をかけてくれた地元のおじさん。「トヨタ イズ ザ ベスト!」と、こちらもトヨタ愛を伝えてくれました。

そしてこちらは日本の国旗を掲げている地元の若者3人組。「こっちでは街の祭りみたいなものだね」と、WRCのイメージを語ります。

今年は日本からトヨタが18年ぶりとなる参戦。おなじみのコンパクトカー『Vitz』をラリー仕様にした『ヤリスWRC』で街を駆け抜けます(『ヤリス』は『Vitz』の欧州での名称)。

『ヤリスWRC』

この過酷なWRCで戦うためには、部品の堅牢性・耐久性はもとより、軽量かつコンパクトでパワフルなエンジンや、どんな悪路にも耐える頑強な足回りが必要に。こうした「勝つためのクルマ」の生産が、市販車の品質向上と効率的なエンジンの開発に繋がっていくのです。

実際にラリーカーに乗ってみた

そんな『ヤリスWRC』に今回特別に試乗させてもらうことが出来ました。運転はなんと今回のフィンランド戦で3位に輝いたTOYOTA GAZOO Racingのドライバーであるユホ・ハンニネン。筆者は乗る前に「多少の重力がかかるかな」というぐらいの予想だったのですが、いざ走り出すと…それをはるかに超える体験が待っていました。

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まずこちらが車外の映像。観客として横で見ているスピードよりはるかに速い!

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そしてこちらが車内の映像。情けないことに最初から目をつぶりまくり!何せとにかく速くてコワいんです…。

人生で死を覚悟したことはあまりありませんが、この時ばかりは「とにかく自分はいまヤバい状況に置かれている」と終始思っていました。これを一日中繰り返しているなんて、ドライバーの方はスゴいとしか言い様がありません。

ふと、ここまで体験して頭によぎったのが「なんで日本では知名度が低いんだろう」という思いです。

「とにかく生で見る機会を作ることが大事」

事実、日本でも以前は北海道でWRCが行われていたことがありましたが、その後は開催されておらず、なかなか定着が難しい状況にあります。TOYOTA GAZOO Racingのドライバーとして参戦した、ヤリ=マティ・ラトバラは、今後の日本でのWRC普及についてこうアドバイスします。

ヤリ=マティ・ラトバラ

「まず一番いいのは、日本でWRCを開催して存在を“知ってもらう”ことが大事だと思う。そうすれば日本の人たちが色々な情報を得られるからね。だけど、今回のトヨタのように、日本のメーカーが参加してくことでも世界的にニュースになって、やがて日本でも知る機会が増える。だからこうしてはるばる君たちメディアも実際に来てくれただろう?」

ラリーの観戦は、日本においてはまだまだ「敷居が高い」と思われていたり、どのように楽しめばよいのか分からないという印象を持っている人が多いように見受けられます。

それはやはり、自国・日本で見たり体験できる機会が無いからではないでしょうか。今回心から思ったのが「シンプルで熱い要素が詰め込まれているこのイベントは、一度見れば日本の誰しもが楽しめる!」ということ。

毎日新聞によると、近い将来、日本にWRCが誘致される可能性があるとのことで、このド迫力体験が出来るのもそう遠くはなさそうです。

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