記事提供:日刊大衆

「政権をど真ん中で支える」と公言してきた麻生氏に“謀反”の兆候あり。苦楽を共にしてきた名コンビに何が!?

閣議ではいつも隣同士、国会では顔を近づけてヒソヒソ談笑――。自他ともに認める“政界の仲良しコンビ”の安倍晋三首相と麻生太郎財相の間に、盛夏を前に秋風が吹き始めている。

その証拠に、「6月に閉幕した国会終盤には、2人のおなじみのやり取りが見られなくなった」(全国紙政治部記者)という。

これまでは、安倍首相が答弁を終えて閣僚席に戻ってくると、隣に座る麻生氏が、安倍首相の椅子をクルンと回すのが定番だった。

「首相が答弁から席に戻って来た際、麻生氏は必ず首相のために、座りやすいように椅子を回してあげていたんです」(前同)

そんな麻生氏の姿が“ダンディ”だとして、一部で話題となったこともある。ところが、蜜月関係にあった両者には、秋風どころか、「亀裂が生じている」(自民党関係者)という声が出始めているのだ。

それが顕著になったのは、森友・加計学園問題が政権を直撃し、支持率が急落してからだった。

安倍政権に寛容とされる『読売新聞』の世論調査でも、最新の内閣支持率は36%と、5月の調査時から25%も下げている。これは奇しくも、2008年10~12月にかけての麻生内閣の支持率の下げ幅(46%から21%)に匹敵する。

「麻生内閣では、支持率を大きく下げた半年後に“麻生降ろし”が始まり、1年持たず政権が崩壊してしまいました。支持率は40%を下回ると危険水域とされるため、安倍政権は発足以来、最大の危機にあると言えるでしょう」(前出の記者)

安倍政権も麻生政権と同じ道をたどることになるのか?そのカギを握るのは、他でもない安倍首相の“仲良し”麻生氏だという。

「今年2月、日米首脳会談で渡米する際、安倍首相と麻生さんは、同じ政府専用機に乗り込みました。麻生さんは副総理です。政府首脳が同じ専用機に同乗して、万が一のことがあれば大問題なので、麻生さんには首相とは別の政府専用機に乗ってもらうのが常識です。ところが、麻生さんは“俺は安倍と同じ機に乗る”といって譲らず、“もし俺(麻生氏)と安倍が(事故で)死んだら菅(義偉官房長官)の天下になっていいじゃねえか!”と笑っていましたからね。本当に仲がいいんだなと思いましたよ」(通信社記者)

そもそも、2人には共通点が多い。

「安倍首相は成蹊大学卒で、麻生さんは学習院大学の出身。ともに有名私大ですが、東京大学や私学の雄である早稲田、慶應大学よりは格下と言えます。2人とも、学歴には若干コンプレックスを感じているようですね」(前出の自民党関係者)

ただ両者とも、毛並みの良さでは折り紙付き。安倍首相が岸信介元首相、麻生氏が吉田茂元首相を祖父に持つ政界のサラブレッドだ。

「ウマも合うんでしょうね。1993年に安倍さんが衆院に初当選して以来、派閥こそ違うものの、20年以上の長きにわたって、交流が続いています」(前同)

しかも、安倍首相と麻生氏は親戚同士。麻生氏の祖父である吉田茂元首相の娘を通じて、麻生家と安倍家はつながっているのだ。

「舌鋒鋭いガキ大将タイプの麻生さんは、敵を作りやすい。片や安倍さんはおっとりしたお坊ちゃま気質で、人に合わせることが得意。その意味で言うと、永田町広しといえども、“安倍・麻生”に勝るコンビはいませんよ」(同)

政治評論家の有馬晴海氏が続ける。

「麻生氏は06年の自民党総裁選に立候補しますが、当時、官房長官だった安倍氏に敗れました。ところが、第1次安倍政権で麻生氏は全面協力を約束し、引き続き外務大臣を務めました。このとき、2人の関係がより深まったと言えます」

第1次安倍政権を契機に固い契りを交わした両者。その後、麻生氏が08年の総裁選に勝利し、麻生政権が発足。ただ、1年で民主党(現・民進党)に政権を奪われることとなる。

「第1次安倍政権も1年で退陣に追い込まれていますから、政権運営に苦労したという意味でも両者の境遇が似ています。このことが、より親近感を抱かせているんでしょう」(前同)

そして迎えた12年の党総裁選。ここで安倍首相は、戦前の下馬評を覆して総裁に返り咲き、その後、第2次安倍政権を発足させるが、このとき麻生氏は、高村正彦氏(現・副総裁、現在は麻生派に合流)とともに安倍支持に回っている。

以来、麻生氏は4年半の長きにわたり、安倍政権を支え続けてきた。その2人の蜜月関係が崩れたのは、昨年10月のこと。鳩山邦夫衆院議員の急逝に伴う、福岡6区の補選だったという。

「麻生氏は日本獣医師会会長・蔵内勇夫氏(福岡県議)の長男を推し、一方、菅官房長官は邦夫氏の弔い合戦を掲げる次男の二郎氏の応援に入り、自民党の分裂選挙となりました。結果は、トリプルスコアの大差をつけて二郎氏が圧勝。麻生氏はここで、菅官房長官はもちろん、自分の味方をしてくれなかった安倍首相に不信感を抱いたんですよ」(事情通)

国会では森友学園問題が先に弾けるが、政権内では順序が逆。実は、福岡6区補選の前から、加計学園の獣医学部新設問題が懸案事項になっていたのだ。

『総理のご意向』と書かれた文部科学省のメモには、麻生氏を名指しし、「獣医学部新設に強く反対している議員がいる中で、党の手続きをこなすためには(中略)少なくとも、衆院福岡6区を終えた後」まで待つべきだと記載されている。

自民党・獣医師問題議員連盟会長である麻生氏は、蔵内氏(前出)が獣医師会の会長に就任した記念祝賀会で発起人を務める間柄。むろん、獣医師会は新設に反対の立場だ。

さらに、例の文科省メモでは「自分(麻生氏のこと)は本件関係で総理から何もいわれていない。この話を持ち出されたこともない。だからもう(やらない方向で)決着したのだと思ってたくらいだ」という麻生氏の感想も綴られている。

「つまり、獣医学部新設問題で麻生氏は腫れ物のように扱われ、蚊帳の外に置かれていたということ。今年の春先からは、安倍首相が兄貴分の麻生氏に相談をする回数がめっきり減ったそうですが、これは、福岡の補選を機に両者の間に隙間風が吹き始めたからでしょう」(前出の事情通)

そこに、森友学園問題が炸裂する。

「森友学園の国有地払い下げ問題では、財務省理財局が迅速に認可するように大阪府へ圧力をかけたことが“忖度だ”と批判されました。財務省は、自分たちの不祥事をあえて外部に漏らしたわけです。これは、安倍首相を窮地に追い込みたいからに他なりません」(全国紙政治部デスク)

佐川宣寿理財局長は、資料は破棄したの一点張りで野党の質問をかわし、その論功行賞で国税庁長官に抜擢されたが、「彼が守ろうとしたのは官邸ではなく、財務省」(前同)だったという。

つまり、安倍政権への攻撃材料をリークしたものの、財務省まで国民の批判の矢面に立たされそうになったため、急いで幕引きを図ったというのが森友学園問題の真相だというのだ。

「安倍首相が財務省の強い怒りを買っているのは、消費増税を2回も延期したからです。その点、麻生氏は“官僚のイエスマン”として霞が関では有名で、官僚受けは抜群。財務省は、神輿に担ぐには麻生氏が適任と考えているんですよ」(財務官僚OB)

こうした事情が曲解されてか、「森友・加計騒動の黒幕は麻生氏」という報道もみられるが、これは事実とは異なる。

「麻生氏は、官僚たちの悪だくみを静観しているだけです。麻生さんの狙いは、第1次政権のときのように、安倍首相の体調が悪化したり、政権を投げ出さざるをえなくなった場合に禅譲を引き出そうとしているにすぎません」(前出のデスク)

そこは、「何があろうとも安倍をど真ん中で支える」と、政権発足以来、周囲に宣言し続けてきた麻生氏のこと。“安倍降ろし”に積極的に加担することを潔しとしなかったのだろう。

ところが、都議選に惨敗し、政権支持率が40%を割り込むのを目の当たりにして、その心境に変化が見え始めたという。77歳の麻生氏が、「俺は80歳まで議員を続ける」と周囲に公言し始めたというのだ。

「財務省にしてみたら、消費税率引き上げ延期の期限である19年10月に予定通り増税するには“麻生首相”が理想的。麻生氏も官僚に乗せられ、消費増税に消極的な安倍首相に代わり、自分が首相になって増税を確実に断行しようと思い始めているようです」(同)

これは、安倍首相にしてみれば“麻生氏の裏切り”に他ならないが、その動きが具体化するのは、次の内閣改造後になるという。

「内閣改造と党人事は8月中旬過ぎの予定でしたが、支持率が急落したため前倒しされ、8月3日が最有力。財務相の麻生さんは留任。官房長官は小泉進次郎君のサプライズの線も残りますが、菅さんの留任が濃厚です。稲田(朋美)防衛相と金田(勝年)法相はクビが確定です」(自民党関係者)

争点になりそうなのが、党の三役人事だ。

「岸田(文雄)外相が閣外に走り、幹事長職を要求しているようです。ただ、安倍首相は“敵に回すと厄介”という理由から、二階(俊博)さんの続投を決めており、岸田さんは政調会長が有力。ハト派の岸田さんに改憲議論を取りまとめさせると都合がよいからです。問題は、麻生さんが甘利(明)元経済再生担当相の幹事長起用を求めていること。甘利さんは仲間4人を引き連れて麻生派入りしてくれたため、麻生さんとしてはその功に報いる必要があるからです」(前同)

ただ、甘利氏は政治と金の問題で閣僚を辞任した経緯があるため、世間の評判は芳しくないはずだ。

「そこで、安倍さんは甘利さんを総務会長に据える意向のようですが、麻生さんがこれをどう思うか。先日、山東派を吸収して59人に膨れ上がった麻生派(志公会)は、党内第2派閥になった。麻生さんは甘利さんの起用以外にも、派閥メンバーに閣僚ポストを要求し、安倍首相に“踏み絵”を迫るはずです。もし意向が通らなければ、改造後の秋口からは、派閥をあげて露骨な“安倍降ろし”に舵を切るはずです」(同)

“政権の要”である麻生氏の心をつなぎとめることができるか――ここに、安倍政権の命運がかかっている。

権利侵害申告はこちら