記事提供:おたぽる

『メアリと魔女の花』公式サイトより。

7月10日、興行通信社より同月8、9日分の週末映画興行成績が発表。

『借りぐらしのアリエッティ』(10年)や『思い出のマーニー』(14年)の監督で知られる米林宏昌監督をはじめとする、元スタジオジブリのスタッフが多く集結し制作された『メアリと魔女の花』の初週末映画興行収入は、2日間で動員32万4,000人、興収4億2,800万円。

前週公開の『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』に大差をつけられての2位発進という、大ヒットとも大コケともいえない微妙なスタートとなった。

米林監督の過去作品では、『借りぐらしのアリエッティ』は初週末で興収約9億円(最終興収約92.5億円)、『思い出のマーニー』は初週末が約3億7,900万円(最終興収約35.3億円)といった数字を残している。

一部スポーツ紙などで、8日午後時点の数字を取り上げ「興行収入50億円狙える好スタート!」といったニュースを報じたメディアもあったが、過去作品の推移を考えれば50億の大台到達は厳しくはないだろうか。

それでも最終興収約35.3億円だった『思い出のマーニー』の初速は上回っている。『マーニー』を基準に考えれば40億円ちょっと程度の興収は見込めそうで、本来ならば充分ヒット作といえる。

だが、『メアリと魔女の花』は全国366館458スクリーンで封切と、なかなかの大規模上映。

あわせて日本テレビ系のバラエティー番組へ、主演の杉咲花神木隆之介が多数出演して作品を宣伝していたこと、さらに特番までもが放送されてたいたことを考えると、やや物足りない数字だ。

「作画や美術、音楽などは非常にクオリティーが高いのですが、“ポスト宮崎駿”“ポストジブリ”という色メガネで見るからでしょうか、過去のジブリ作品の良いトコどりを狙った作品と感じました。

また、物語はきれいにまとまっていますが、その分ワクワクするものがないというか…。

宮崎駿監督の過去ヒット作にはシナリオ上での無理が多少ありましたが、ワクワクするシーンを優先するために、無理を押し通していましたし、スタッフにムチャも要求していました。

そういったアクの強さが、穏やかで優しくて常識人な米林監督には足りないのかもしれないと、個人的には思います」(アニメ誌ライター)

なおSNS上では『メアリと魔女の花』観賞後の感想として、“ジェネリックジブリ”という単語がプチ流行中だ。「一般的な」「ブランドに囚われない」といった意味の英単語ジェネリック。

「ジェネリック医薬品」(「新薬」の特許が切れた後に販売される、成分・効果は「新薬」同様ながら廉価な医薬品)を連想する向きも多いだろうが、つまり「ジブリらしい要素が多いが、ジブリの看板は掲げていない。後発でやや安易に感じられる作品」といった意味合いがこもったネットスラング。

こんな感想がファンからもれてしまうのも、それだけ“ポスト宮崎駿”“ポストジブリ”のハードルは高かった、ということだろう。

とはいえ、一本の長編アニメ映画として見れば、『メアリと魔女の花』はクオリティーも興行収入も充分合格点の作品だ。幅広い層に受けいれられそうな内容で、これから夏休みシーズンに入ることを考えれば、大きな伸びを見せる可能性もあり得る。

7月15、16日の週末興行収入ランキングが気になるところだ。

加えて、8日に行われた初日舞台挨拶では、「宮崎駿監督から学んだことなどが大好きで、それと同時に宮崎監督を越えていかなければならないと思っていた。スタジオジブリを乗り越えていく気持ちで作った」と、考えてはいても、なかなか口に出せないコメントを米林監督は残している。

未見のファンは、重すぎる看板を背負ったクリエーターの覚悟がこもった一作をチェックしてみてはどうだろうか。

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