記事提供:wezzy from messy

女子高生をはじめとする18歳未満の女子児童に、男性客へのよる密着したサービス(リフレ、見学、撮影、コミュ、カフェ、散歩)を行わせる「JKビジネス」

東京都では、JKビジネスを取り締まる「特定異性接客営業等の規制に関する条例」が7月1日より施行された。

中には裏オプ(裏オプション)と呼ばれる性的サービスが存在する店舗もあり、児童が犯罪に巻き込まれる危険性が指摘されてきた(いわゆる“福祉犯”の温床となり得る)JKビジネスだが、しかし営業店舗が風俗店・飲食店ではないことも多く(風俗営業法違反に当たらない)、取り締まりが困難なのが現状だった。

そんな現状を打破すべく、今回条例の制定・施行の運びとなったと思われる。

ところが、条例施行に先立って先月、東京都が、青少年向けに開設したJKビジネスの危険性を伝える情報サイト『STOP JKビジネス!』は、あらゆる疑問符が付く内容だった。リーフレット印刷され、東京都内の高校で配布されるというが…。

まず、東京都の説明は、こうだ。

いわゆる「JKビジネス」や「自画撮り被害」など、青少年の性被害等が社会問題となっています。

東京都では、青少年の被害の実態を知ってもらうとともに、性被害などから自身を守る力を身につけてもらえるよう、様々な情報を発信していきます。(東京都HPより)


そこには「性被害などから自身を守る力を身につけてもらえるよう」とあるが、18歳未満の児童に対して「自分の身は自分で守れ」と言ってしまうのは、あまりにも浅慮ではないだろうか。

どこかで見た覚えのある構図だと思ったが、厚生労働省が作成した『ゴムを使う100の方法 女子のための the 100 ANSWERRS』という女性向けリーフレットと似たようなシチュエーションだ。

ゴム(コンドーム)を実際に装着するのは男性なのに、男性がゴムを使う気になるよう女性が働きかける方法を100通り挙げていた、啓発リーフレット。

今回の『STOP JKビジネス!』もまた、JKビジネスは大人が発信するサービスであり利用者は成人男性であるにもかかわらず、児童に「近づかないようにね」とアドバイスしている。

やっちゃダメなのは「大人」では

東京都が作成した青少年向け(つまり18歳未満の児童向け)情報サイト『STOP JKビジネス!』のキャッチコピーは「ほんっとにヤバイよ。そのバイト。」。イメージキャラクターとしてタレントの藤田ニコル(19)が起用されている。

サイトTOPには大きな文字で「ほんっとにヤバイよ。そのバイト。藤田ニコルは許さない!」と釘打たれているが、ニコルが許さないとしているのは、誰のことなのだろうか?

さらに下を見ていくと、今度はニコルによる直筆での児童たちへのメッセージ「絶対にやっちゃダメ。藤田ニコル」。どう考えてもおかしい。なぜ、児童たちが「絶対にやっちゃダメ」というメッセージを受け取らねばならないのか。

このメッセージを送るべき、受け取るべきなのは、大人たちではないのか。JKビジネスを「絶対にやっちゃダメ」なのは、大人たちだ。

なぜJKビジネスがあるのか。それは、JKビジネスをサービスとして発案・実施する大人(供給)がいて、さらに金を払ってそのサービスを受けようとする大人(需要)がいるからだ。JKビジネスにおける需要と供給も、そして責任も、すべて大人側にある。

間にいる児童は商品なのである。

たとえ自ら進んでJKビジネスの商品になろうとする児童がいたとしても、それをOKする大人がいなければ成立しないことだ。

また、児童に対して、保護者や身近な大人が個人的に「絶対にやっちゃダメ」と伝えるのと、公的機関などが「絶対にやっちゃダメ」と注意喚起するのとでは、わけが違う。

小池都知事「性被害から自分自身の身を守る、その力を付けてほしい」

『STOP JKビジネス!』では、JKビジネスのリスクや被害事例を挙げ、7月施行の条例で禁止されることも記される。それはいいと思うが、私がぞっとしたのは、啓発サイト上の一番最後の項目<将来のリスク>だ。そこにはこう記されている。

<将来のリスク>

・そんなつもりじゃなかったのに…
・インターネット被害(UPされちゃったらずっと残る)
・売春や危険ドラッグにつながる(危ない商売はつながっている)
・進学や就職に悪影響…?(やりたいことできなくなるかも)(東京都HPより)

JKビジネスのバイトをした結果、インターネット上に当人の望まない写真や情報が残っても、売春やドラッグを強要されたり、自分の希望する進路に進めなかったとしても、それが現実だし仕方のないこと、と突き放していいはずがない。

救済せずすべて自己責任だとみなしてしまうのか。JKビジネスをやった子なんて将来がめちゃくちゃになってもしょうがない、と?

国や自治体、そして大人たちがすべきなのは、むしろ上記のようなリスクから児童を守ること、上記のようなリスクをなくすこと、であるはずだ。自衛を促すだけで問題は解決しようがない。

東京都は、「自画撮り被害」に対しても、やはり藤田ニコルを起用して同様の情報サイトを開設しているのだが、こちらも「裸の写真を撮ったり、メールしたりとか、絶対にしちゃダメ!!」「将来にも影響しちゃうよ!絶対、気軽にやらないで!」と児童に注意喚起。

確かに裸の写真データなど気軽にネットワークに載せるべきではないのだが、恋人などに脅されたり「嫌われたくない」気持ちでしてしまうなどのケースは、こうした警告ではおそらく防げない。データを悪用する側を取り締まっていく必要がある。

小池百合子東京都知事は6月16日の定例会見冒頭、『STOP JKビジネス!』をはじめとするに東京都の取り組みについて、「将来の不安がずっと残るんだということをよく理解してもらうような、そういう機会にしてもらいたいと考えております。こうした取り組みを通じまして性被害から自分自身の身を守る、その力を付けてほしいということでございます」と発言している。

判断力や経済力が乏しく大人に頼らないと生きていけない児童に、性被害から自身を守る力をつけることを要求する。このような考えが周知され、浸透してしまうのは、逆に児童を危険に晒し続けることだと私は考える。

未だ蔓延するセカンドレイプのように、性被害に遭った人は自分の身を守れない愚かな人である、という考えを児童に植え付けられれば、もし自分が性被害に巻き込まれた時に「自分が悪い」と自責の念を抱き、適切な支援を受けることが出来にくくなる。

家族や恋人が性被害に遭った時に「自分の身を守れなかったあなたが悪い」と責めるかもしれない。

JKビジネスにしろ性被害にしろ売春にしろインターネット被害にしろ、それに関わることで心や体に傷を負う可能性は確かにある。リスクを知らず気軽に手を染めてしまう児童もいるのかもしれない。

しかし、そういう事態が起きた際の責任はどこにあって、誰が悪いのか、誰が絶対にやっちゃダメで、誰が気をつけるべきなのか。

繰り返すが、大人の責任であり、悪いのは加害者であり、買春やJKビジネスのユーザーであり、絶対やっちゃダメだと自覚すべきは大人たちである。

今現在、児童である子どもたちも、数年後には成人する。そのとき加害者側にならないよう、また、身近な児童から被害を相談されたときに突き放すことないよう、「大人のルール」こそ周知させるべきではないだろうか。

大人への啓発こそがもっとも必要とされている。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

Twitter:@pinkmooncandy

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