日本経団連が2017年夏季ボーナス平均総額の調査結果を6月上旬に発表。前年比4.56%減の91万7906円となり話題を呼んだが、この数字に実感がわかない人も少なくないだろう。

それもそのはず、この調査は東証1部上場で、従業員500人以上のいわば“大手”企業を対象にしたもの。中小企業を含めた“リアルな数字”とは開きがありそうだ。

では、実際のボーナス平均額はいくらになるのか? みずほ総合研究所の経済調査部エコノミスト、上里啓さんに聞いた。

【3つのポイント】

1. 中小企業も含めた夏季ボーナス平均額は約36万9000円
2. 非製造業が好調。夏季ボーナスの伸び率UP
3. 中小企業好調の背景には“人員不足”の落とし穴

1.中小企業も含めた夏季ボーナス平均額は約36万9000円

中小企業を含めた産業全体のボーナスについては、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」がひとつの指標になる。上里さんによれば、これをもとに計算すると、2017年の夏季ボーナスについても実態に近い額を算出できるという。

2016年度の厚労省調査では、中小企業も含めた夏季ボーナスの1人あたりの平均支給額と平均支給月数(月給の何ヵ月分が支給されたか)は以下のとおり。

・平均支給額…36万5000円
・平均支給月数…1.03ヵ月

ここからわかるのは、ボーナス支給時期における1人あたりの月給(=支給額÷支給月数)。その額は「35万4400円」となる。

みずほ総研の調査によると、2017年度上期の所定内給与(残業代などを含めた給与)は前年比約+1%で上昇しているが、支給月数は2016年度から横ばいの見込みだという。よって、2017年夏季ボーナス支給時期の平均月給額は、

・月給額(予測)…35万7900円(35万4400円×1.01)

となり、(中小企業も含めた)2017年夏季ボーナスのおおよその平均額は、

・36万9000円(35万7900円×1.03ヵ月分)

といえそうだ。やはり、経団連の調査とはかなりの開きがある。

2.非製造業が好調。夏季ボーナスの伸び率UP

なお、経団連調査の報道では、夏のボーナスが「前年比4.56%減少」したことが注目された。しかし、中小企業を含めた試算では、前年度と比べて平均1万円以上の増額。これはいったいなぜなのか?

「中小企業のボーナスが増加の見込みとなったことが要因です。ボーナスの支給月数は売上高経常利益率(売上高に対して、経常利益が占める割合)と連動する傾向にあります。

2016年度下期に、宿泊・飲食サービス業や医療・福祉業などの利益率が前年度と比べて改善したことで、中小企業では支給月数も増加したと考えられます」(上里氏)

一方で、3月に賃上げやボーナスを決める多くの大手企業については、2016年後半に円安が進行したことで経常利益は持ち直したものの、海外経済の先行きが不透明だった。これにより、3月時点ではボーナスの増額に踏みきれなかったようだ。

3.中小企業好調の背景には“人員不足”の落とし穴

所定内給与の上昇率が大手企業を上回るなど、勢いがあるように見える中小企業。ただし、その背景には大きな問題が見え隠れすると上里氏。

「人手不足が深刻な中小企業は、人手を確保するため所定内給与を引き上げています。必ずしも収益がいいから給与が上がっているというわけではありません。今後、企業の利益を伸ばせるような方向でなにかしらの取り組みができないと、このまま給与額の上昇傾向が続くのは難しいと思います」(同)

Licensed by gettyimages ®

中小企業は猫の手も借りたい状況のよう…

ボーナスが上がるのは素直にうれしい。けれど、それは会社が無理をしている側面もあるのかも。リアルな平均額を探ってみたら、ちょっと切ない実態を知ることになってしまった。

<取材・文/周東淑子(やじろべえ)>

【取材先・参考資料】

この記事を書いたユーザー

Spotlight編集部 このユーザーの他の記事を見る

Spotlight編集部の公式アカウントです。

権利侵害申告はこちら