新大関・高安が誕生し、初お目見えとなる七月場所の番付が26日に発表。大相撲はますます盛り上がりを見せそうだ。

新大関のほか、稀勢の里などの横綱陣に注目が集まりやすいが、ここ最近はまさに群雄割拠。じつは勢いのある力士が目白押しなのだ。

目移りするほどタレントが豊富だが、とくに誰に注目するべきか、次の大関候補として有望な3人の力士を相撲ジャーナリストの荒井太郎氏に教えてもらった。

【3つのポイント】

1. 30歳を超えて開花。モンゴル出身の苦労人「玉鷲」
2. 押して良し、組んで良しの若手実力派No1「御嶽海」
3. 将来性はピカイチ!横綱も狙える逸材「北勝富士」

1. 30歳を超えて開花。モンゴル出身の苦労人「玉鷲」

先場所までの成績から現時点で最も大関に近いのが、モンゴル出身の32歳、玉鷲(片男波部屋)だ。

今年の一月場所に新関脇に昇進したが、2004年に初めて土俵を踏んでから所要77場所は史上5番目の遅さだった。それから、東の関脇として3場所連続で勝ち越しており(9勝、8勝、10勝)、今場所が大関取りへの大きな一歩となりそうだ。

30歳を過ぎてから目覚ましい進化を遂げている最大の理由は、立ち合いの威力が格段によくなったことです。バーンと強く当たって右のど輪(右手で相手ののどを押えること)、左おっつけ(相手の肘を外側から下から上へ押えること)で相手を挟んで突き放す。19歳で入門した当初から徹底的に仕込まれてきた突き押し一本の相撲が、ようやく花開きました。

幕内と十両を何度も行き来した苦労人ですが、本人はいたってひょうひょうとしていて、気持ちも体も20代に負けないくらい若い。今後は、横綱・大関相手にも自分の相撲を迷わずに貫けるかがポイントになるでしょう。琴光喜の31歳3カ月を上回る史上最年長新大関に、ぜひなってほしいですね」

2. 押してよし、組んでよしの、若手実力派No1「御嶽海」

続いては、長野県出身の24歳、御嶽海(出羽海部屋)。学生横綱&アマチュア横綱のダブルタイトルを引っさげ、初土俵(2015年)から所要2場所で新十両、4場所で新入幕、10場所で新三役と出世街道まっしぐら。東の小結で2場所連続勝ち越し中で、このたび新関脇に昇進した。先場所は鶴竜、日馬富士の2横綱を破るなど、上位陣にも太刀打ちできる若手の急先鋒だ。

「大卒力士にありがちな変なクセがなく、基本に忠実な質のよい相撲を取っていて、まだまだ伸びしろが感じられます。押し込まれても決して崩れず、相手が引いたところを一気に攻める押し相撲が持ち味ですが、左四つも得意で、寄り身のうまさもある。まったく物怖じしない性格で、ここ一番の集中力も素晴らしいです。

欠点らしい欠点は見当たりませんが唯一、挙げるなら古量の少なさ。本番に強いタイプなので今は勝てているけれど、大関・横綱を目指すならば、もっともっと精進して今の相撲をさらに磨いてほしいと思います」

3. 将来性はピカイチ! 横綱も狙える逸材「北勝富士」

3人目は、埼玉県出身の24歳、北勝富士(八角部屋)。昨年の十一月場所に初土俵から所要10場所という史上2位(年6場所制となった昭和33年以降、大卒タイトル所持者が得られる特別待遇を除く)の早さで新入幕を果たし、本名の「大輝」から「北勝富士」に改名。先場所は幕内で初の2ケタ勝利(10勝5敗)を上げた。御嶽海とは同学年、同期入門のよきライバルだ。

「中学生の頃から注目され、高校横綱、学生横綱を経て、ここまで期待通りに成長してきました。身長183cm、体重163kgの堂々たる体格、素質にも恵まれていて、横綱も狙える力士としては最有力です。

非常に頭もよく、ケガをしない体の作り方や動かし方、ケアの仕方なども熟知しており、勉強は相当していますね。相撲内容も、相手を見て攻め方を変えるなど、実に理知的。今は突き押し主体ですが、四つに組んでも取れる。

また、勝っても負けてもよくしゃべるという力士には珍しいタイプで、その雄弁さは、八角部屋の後援会会長である鈴木宗男氏から『政治家にしたい!』と言われたほどです」

7月9日(日)に初日、23日(日)に千秋楽を迎える七月場所。この3力士を注目してみれば、楽しみが倍増することは間違いないはずだ。
(菅原悦子)

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