記事提供:日刊サイゾー

6月16日、JR有楽町駅前広場で、プロレスラーの蝶野正洋氏が代表を務めるNWHスポーツ救命協会が主催する都市型・地域防災イベント「STOP THE RISK有楽町~安心・安全な街づくり~」が開催され、途中、認知科学者の苫米地英人氏が出席して、蝶野氏と「災害時のサイバー防災」について熱いトークショーを行った。

有楽町駅前に巨大リング!

有楽町駅前広場に巨大なリングを設置し、半日に渡ってリング上で、防災予防の大切さをさまざまなプログラムを通じて訴えた蝶野氏。

プロレスラーの活動と並行して、かねてから「消防応援団」として普段から地域防災啓発活動に積極的に取り組んでおり、苫米地氏は「蝶野君の社会貢献活動が素晴らしいんで応援したい」とそんな蝶野の活動を絶賛。

2人はTOKYO MXで放送中のバラエティ番組『バラいろダンディ』でも共演しており、トークが始まると息もぴったり。

苫米地氏の話に蝶野も興味津々。

世界的な情報セキュリティの研究組織であるカーネギーメロン大学の「cylab(サイラボ)」のフェローも務める苫米地氏。

2007年頃からサイバーセキュリティに関わる活動を積極的に行っており、イベントに集った消防関係者らや街行くサラリーマンを前に「サイバーセキュリティは消防の分野でも必要。みなさんの意識をもっと高めて欲しい」と呼びかけ。

苫米地氏は「サイバー攻撃は攻撃の側が防衛の側の1,000倍有利。世界中のサーバーだったりパソコンの常時接続されているものが乗っ取られたりすると、全世界から攻撃できるわけですから、それを守ることはものすごく困難なんです」とコメント。

「北朝鮮から発進された、『ビットコインを払え』と身代金のように要求する『ランサムウェア』攻撃が問題となっていますが、イスラム国もサイバー攻撃を研究中。北朝鮮に限らず、シリアなど、サイバー攻撃はどこからでもやってくる。日本のサイバーのリスクはますます上がっている」と警鐘を鳴らす。

その上で「サイバーに関して皆さんは、ほとんどSFのような世界だと思っているでしょうが、実際に起きていること。その気になれば原子力発電所なんかもサイバー攻撃の脅威の下にある。ビルのシャッターが突然止められる、病院の電気が突然止められる。そういうことが起きるリスクがあり、そのリスクを考える時代がもう来ている」と続けた。

熱弁を振るう苫米地氏。

プロレスの時とは違って優しい表情の蝶野氏。

また、コンピューターウィルスが発見されると、『CERT(Computer Emergency Response Team)』という組織にまず登録され、企業の管理者はそれを常にチェックし、アップデートを行っていくというが、『ゼロデー(zero-day)』攻撃など、CERTと連絡を取り合った企業が防げない攻撃が主流になっており、防衛がますます困難になっている、と苫米地氏。

「『日本は大丈夫ですか?』と聞かれて『大丈夫です』としか公には言うしかない。でも本当を言うと、サイバーは攻撃の側が1,000倍有利なわけですから、守りきれない。企業の中に『CSIRT(Computer Security Incident Response Team)』のようなものを作っていく必要がある」とメッセージ。

蝶野氏のほうは苫米地氏の話に「防ぎようがないようにも感じるのですが」と心配そうに話したが、苫米地氏はこれに「防ぎようがないのは地震が止められないのと同じ」と切り返し、「我々は地震を止めようと研究開発しているわけじゃない。地震が起きるという可能性があるということを認識し、最後は止められないということをわかった上で準備することが大切なんです」と話し、蝶野氏を感心させていた。

そのほか、苫米地氏は脳科学や認知科学の専門家として、災害時に起こりうる集団や個人、それぞれでのレベルでの心理的リスクを紹介。

「クライシスサイコロジー」と呼ばれる、災害時における心理的危機管理術の重要性についても駆け足で解説していた。

一見、異色の組み合わせの対談だが、有楽町駅前を行き交う多くの人々が足を止めて、2人の話に耳を傾けていた。

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