私たちの身近にあるコンビニの知られざる裏話を、業界の内情に詳しいライターの日比谷新太さんが紹介していく当シリーズ。

前回の「本部による加盟店へのサポート格差」に続き、今回取り上げるのは「コンビニに日本人アルバイトが集まらない」という問題です。

コンビニの裏側を知る日比谷さんは、ここ最近の外国人アルバイトの増加と日本人アルバイト減少の背景、また外国人ならではのトレーニングの難しさなどについて、様々なデータを交えながら解説しています。

なぜ日本人バイトが集まらないのか?

コンビニの店先に貼られている「アルバイト募集」のポスター。よく見かける光景かもしれませんが、実のところ最近のコンビニ業界は、近年稀に見る人手不足に悩まされていることを、皆さんはご存知でしょうか。

・外国人留学生の採用強化=人手不足に対応、海外で研修も―コンビニ(時事ドットコム)

こちらは「コンビニで外国人留学生の採用を強化しようとしている」というニュースなのですが、その背景には「そもそも日本人のアルバイトが集まらない(応募する人そのものが減っている)」といった問題があります。

なぜ日本人バイトが集まらなくなっているのか。今回はその実情を、様々なデータから読み解きたいと思います。

求人倍率の上昇でかさむ採用コスト

上の図は、平成17年度以降の有効求人倍率をグラフで表したものです。

最近ニュースで「バブル以来の高水準」ということで大きな話題になりましたが、有効求人倍率のほうは昨今の景気拡大の影響もあり、おおむね1.4倍あたりで推移しています。

平成21年度は0.4倍ほどだった
ことを思い起こすと、全く違った状態になりました。

この有効求人倍率ですが、さらに都道府県別で確認すると、人手不足が特に顕著な地域が見えてきます。

最も有効求人倍率の高い東京都では、1人の求職者に対して2件以上の求人があることになり、簡単に人が集まらないという現実が益々顕著になります。

募集をかけてもアルバイトがなかなか集まらなくなると、求人媒体のより目立つ場所に募集広告を掲載する必要が出てくるなど、採用コストもかさんでいきます。

他業種との間に存在する時給の差

求人倍率の上昇にくわえて、コンビニ業界にとって悩みの種となっているのが、時給の高騰です。

こちらの図を見てもわかる通り、最低時給は年々上がっており、それに伴って人件費も上がっています。特に東京は、人を集めるコストも高ければ、雇用した後のコストも上昇していく一方です。

さらにコンビニは、他の業種と比べて時給が低い傾向があります。

今回、アルバイトがなかなか集まらないエリアの代表格といわれる「東京駅周辺」にある居酒屋とコンビニの時給を確認したところ、居酒屋のホールスタッフは1,100円~1,200円(オープン~22時まで)だったのに対し、コンビニスタッフは1,000円~1,100円(9時~22時まで)となっていました。

アルバイトに応募する人たちは、まず最初に時給を確認し、その後に他の待遇を確認する傾向があります。

コンビニと他業種との時給差は今に始まった話ではないのですが、それが原因でアルバイト不足の解消がさらに困難になっており、業界に大きな影を落とす形となっているのです。

外国人採用に関する制限と現場での問題点

このように、最近は日本人のアルバイトが集まりにくくなっているため、コンビニ業界では外国人スタッフが増加傾向にあります。実際、東京の新宿エリアのあるコンビニチェーンでは、外国人アルバイトの比率が40%を超えたそうです。

ただ、外国人(留学生)が日本で働くには、業種と労働総時間に制限があり、具体的には下記の2つの条件を守らなくてはいけません。

・業種…次の業種を除く全て:パチンコ店、麻雀店、ゲームセンター、キャバレー、スナックなどの風俗関連の業種

・時間…1週間の労働時間が合計28時間以内

出典 http://www.mag2.com

コンビニの場合、業種は問題ないのですが、働ける時間がやや短くなってしまうのが、雇う側としてはネックとなっています。

外国人アルバイトを戦力化するためには?

また、外国人アルバイトを雇用し戦力化するためには、トレーニングが特に重要となってきます。

マニュアルとシステム化が進んでいるコンビニですが、外国人スタッフを接客ができるレベルにまでトレーニングするには、OJTを含めた店舗での教育が必要です。

外国人アルバイトに関してよく発生しているクレーム「接客態度が良くない」というものがあります。

これは日本語力の低さが原因となっているものもありますが、「お客さんの目を見て挨拶ができていない」「お金の受け渡しが丁寧にできない」といった、接客のポイントをよく理解できていないが故に発生するものも多いのです。

現場でも試行錯誤が続いており、例えば外国人アルバイトのトレーナーとして、同じ国籍を持つ先輩外国人アルバイトを指名するケースも。

コンビニで決まっているマニュアルやトレーニング方法を、同郷の先輩アルバイトが実践して(OJT形式)で教えることで、「なぜ、こうなっているのか?」「こんなとき、どうやるのか?」といった理由を、日本人が教えるより比較的容易に説明でき、納得させることができます。

求人倍率の上昇や時給の高騰、それに少子高齢化の問題も重なって、今後もアルバイト不足の状態は続いていくものとみられます。

コンビニの店舗数が右肩上がりで増え続けている今の状況下において、外国人アルバイトの採用強化は、安定したコンビニ経営のために不可欠な施策なのです。

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