毎年米カリフォルニアで開催されるApple主催の開発者向けイベント「WWDC(Worldwide Developers Conference)」。

その会場にティム・クックCEOから直々に招待された、82歳のアプリ開発者として注目される日本人女性がいたことをご存知でしょうか。

今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、著者のスマホジャーナリスト・石川温さんが「コンピューターおばあちゃん」のマーちゃんこと、若宮正子さんに実際に遭遇したWWDCの様子をレポートしています。

ティム・クックCEOから直々にWWDCに招待された、82歳のマーちゃん

今回のWWDCにおいて、一躍、アイドル的な存在となったのが、82歳の最高齢開発者として、基調講演で紹介された日本人女性、マーちゃんこと若宮正子さんだ。

会期中、一度お会いしたいなぁと思ってたら、2日目に隣接するホテルのロビーで遭遇。思わず、一緒に記念撮影をお願いしてしまった。

WWDCの感想を聞こうとしたのだが「すぐにSwiftのセッションに参加しないといけないので」ということで足早にその場を去ってしまった。本当にアクティブで、カッコいい82歳なのであった。

その翌日、ライター陣とサンフランシスコにある、元エバーノート創業者であるフィル・リービン氏の新オフィスを見に行くことになり、迎えのクルマをホテルの前で待っていると、そこに再び、マーちゃんが通りかかった。

今度こそ、ゆっくり立ち話をしようと思ったら、なんとそのオフィス見学ツアーに同行することになっていたという。

ということで、ライター陣5人とマーちゃんを乗せたテスラで、サンノゼからサンフランシスコまでドライブの旅となったのだった。

マーちゃんは銀行を定年退職まで勤め上げたあと家族の介護のために自宅にこもることになるのだが、人との繋がりがなくなるのが嫌でパソコンを始めたのだという。

iPhoneアプリの開発を始めたのは昨年からで、「シニアでも楽しめるゲームアプリを作りたい」ということで、今年の春に「hinadan」というアプリのリリースにこぎつけた。

アプリの開発で「世界が変わった」

それにより、アップルから「WWDCに来ませんか」というお誘いを受けたのだが、当初は、マーちゃんはその誘いを断っていたという。なぜなら、6月11日からロシアに旅行をすることになっていたのだ。

丁重にお断りするとアップル側は大慌て。確かに、WWDCに誘われて、断る開発者はあまりいないだろう。

するとアップル側はマーちゃんに対して「シーイーオーがどうしてもマーちゃんに会いたいと言っている」と伝えて来たという。

マーちゃんは「シーイーオーって誰?」と思ったそうだが、よくよく考えると「CEOのティム・クック」だったことが判明。そこで、WWDC行きを決断したとのことだ。

しかし、それによって、マーちゃんのスケジュールは、6月9日にサンノゼを出発し、10日に成田着。成田で一泊して、翌日にロシアに発つスケジュールとなってしまった。

ちなみに、ロシア旅行はマーちゃんの86歳の兄に付き添うためなんだという。

サンノゼ滞在中は、各国のメディアから取材攻勢にあっていたようだ。日本のテレビ局からも取材依頼があり、なかには現地時間夜22時から対応したものもあった。

マーちゃんは「日本のテレビ局から取材依頼があったので、Facetimeで対応しようとしたら、テレビ局のスタッフはFacetimeの使い方を知らなかった。テレビ局の若いスタッフは意外と機械音痴なのね」と不思議がっていた。

マーちゃんもアプリを作ることによって
これほど世界が変わるとは思っていなかったようだ。

マーちゃんから発せられる言葉の数々が、82歳とは思えない内容で本当に驚かされた。なかなかこんなに年齢を感じさせない82歳はいないだろう。

マーちゃんとお話しすると元気をもらえる気になるから不思議だ。自分もいまからアプリを作ってみようかな、という気持ちになってきた。

今回の取材でマーちゃんに出会えたことが一番の収穫だったかも知れない。

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