日本人にとって一番身近な実物資産といえば「マイホーム」。しかし最近では、超低金利や日銀のマイナス金利政策などの影響で、インカムゲイン(家賃収入)を狙った「不動産投資」が俄然注目を集めるようになっています。

果たして今後、日本のサラリーマンが資産を形成するには、マイホームを買うべきなのか?不動産投資をすべきなのか?けれども、もう今から不動産投資を始めても遅い可能性だってありますよね。いったい何が正解なのでしょうか?

そこで不動産投資のスペシャリストで、株式会社トライブホールディングス代表取締役の大山一也(おおやまかずや)さんに、最新のマイホーム事情から今後の不動産業界の動向、成功する投資法まで、じっくりとお話を伺いました。

(※この記事はMONEY VOICE5/16初出、メルマガ「俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編」5/6号より一部を抜粋しています)

不動産投資をする前に知っておきたい予備知識

まずは、不動産投資を行うにあたっての予備知識からお伝えします。知っている内容も多いかもしれませんが、人は投資をする段になると目の前のことに気を取られ、基本を忘れがちになるもの。

今一度、確認しておくことにしましょう(以下、本文中について名前が出てこない限り同一話者、敬称略)。

【抑えておこう!不動産投資のメリット・デメリット】

俣野:それでは改めて、専門家の方から不動産投資のメリット・デメリットをご説明いただけますでしょうか?

大山:不動産投資とは、個人が資産形成を実現する上で有効な手段の1つです。私が考えている不動産投資の主なメリットとは、次の5つです。

1. 本業が多忙でも兼業できる
2. 将来にわたって安定的な収入を得られる
3. リスクが限定的である
4. 自己資金を抑えながら大きな投資ができる
5. 単なる投資にとどまらない相乗効果が見込める

簡単に説明しますと、(1)はすでにおわかりですね?不動産は、購入前こそ煩雑な手続きが必要ですが、購入後は運用面にそれほど手間はかかりませんし、それも基本的には管理業者に任せることが可能です。

(2)はインカムゲイン(家賃収入)による収益が見込めます。きちんと物件を選び、投資金に見合った収益の上がる物件に投資を行えば、家賃収入だけで暮らすことも不可能ではありません。

(3)は、衣食住は人間にとって生きていく上で必要不可欠です。よって他の投資商品に比べて不動産はリスクを低くすることができます。ただしそのためには、物件をよく選ぶ必要があります。

(4)はレバレッジ(借金)による投資が可能という意味です。これは不動産投資の大きな魅力の1つです。

(5)は、不動産事業主としての実績が信用となって、次の物件を購入する際にプラスに作用します。また、不動産を所有することによって節税にもなります(詳しくはメルマガVol.25「税金」などを参照)。

続いて、不動産投資におけるデメリットです。

1. 空室リスク
2. 物件の老朽化
3. 金利の変動による返済額の増加
4. 流動性が低い

(1)はすでにご承知だと思いますが、不動産投資は家賃収入がローン返済の原資となるため、空室はもっとも怖いことです。こうならないためには、一にも二にも物件選びをおろそかにしてはいけません。

(2)も資産価値の下落を意味しますので、まめなメンテナンスが欠かせません。質の低下が空室リスクにつながります。

(3)は変動金利にした場合、物価の上昇とともに金利が上がる可能性があります。固定金利にすれば避けることはできますが、それだともともとの設定金額が高くなります。

(4)はすぐに現金化できないというリスクです。

こうしたことを考慮し、投資を検討していく必要があります。

【実物資産としての不動産はどうか?】

俣野:以前、当メルマガではVol.46で「実物資産」特集を組みました。その際、すでにこの特集は予定しておりましたので、不動産については少ししか触れませんでした。

大山さんは、実物資産としての不動産と、投資対象としての不動産の違いについてどう思われますか?当メルマガの読者の大半が「これから資産を形成していこう」という方ですので、そうなると、一番身近な実物資産といえばマイホームなのだと思いますが。

大山:これはあくまでも私個人の意見になるかもしれませんが、現在、マイホームは余程の一等地でない限り、負の遺産となりつつあるように思います。

かつて、日本が高度成長に沸いていた頃は、誰もが「マイホームは正しい資産だ」と信じていました。当時は家や土地を持っているだけでどんどん資産価値が上がりましたから、無理もないことです。

それが今では、特に遺産相続する際に、相続人にとって重い負担となる場合が多くなっています。遺産の査定額が現状の市場価格で算出されないからです。しかも、マイホームというのは買った瞬間から値段が下がり、物件も劣化していきます。

世間ではよくマイホームに関して「持つべきか、持たざるべきか」持家派vs.賃貸派の議論が話題になりますが、私でしたら賃貸を推しますね。

なぜかと言うと、マイホームを買うためのお金を使って投資を行い、それで家賃が払えるキャッシュインがあればいいワケですから。

しかも、賃貸ならいつでも新築に住み替えられるし、場所も移り変われます。マイホームは、あるだけでそこから動けなくなり、仕事や行動範囲が狭められます。

もし、4000万円の家を買うのであれば、そのお金でアパートを購入し、そこから上がる家賃収入の一部で部屋を借りて住んだほうがいいのではないでしょうか。

もしくは、自分の物件の一室に自分で住んだり、そこで開業するという手もあります。マイホームは返済が終わっても建て替えが必要になるだけで、1円もキャッシュは生んでくれません

「自分のものなら安心」「老後に住むところがないと困るから」「家賃を払うのと同じ額で家が持てる」など、マイホームを勧める謳い文句はいろいろありますが、日本の住宅は30年もすれば資産価値がゼロになります。

マイホームを買ったのはいいけれど、歳を取って子供もみんな巣立って行き、配偶者に先立たれ、だだっ広い家に1人で住んでいる老人も郊外には多いと聞きます。今の世はすでに「所有する時代ではない」のです。

不動産投資の「真実」

マイホームが「正しい資産ではない」という、衝撃の事実。

大ベストセラー『金持ち父さん貧乏父さん』のロバート・キヨサキ氏も「資産とは、自分のポケットにお金を入れてくれるもののことであり、ポケットからお金を奪うものはすべて負債だ」と述べています。まだまだ、大山さんの話は続きます。

【「年収が低い人でも不動産で稼げる」は本当か?】

俣野:収入が増えない昨今において、サラリーマンの間でも、不動産投資は特に注目を浴びている分野の1つなのではないでしょうか。

今年は副業が解禁になるとはいえ、なかなか時間がない中で、もっとも取り組みやすい投資手段として不動産を検討する人が増えています。

そろそろ核心に入りたいと思いますが、「日本のサラリーマンは、不動産投資をするべきか否か?」その辺はどうお考えでしょうか?

大山:個人的な見解を述べるのであれば、「年収700万円未満の方は、不動産投資をするにはまだ早い」。これが私の意見です。

なぜなら、国内でのスキームに則って申し上げると、節税の面からも借り入れの面からも、年収が700万円未満の方は、リスクに見合ったリターンが十分に得られるとは言い難いからです。

俣野:そうなんですね?確かに税金などは、「払ってる額が少ないということは、そもそも返ってくるものがない」ということではありますが。

大山:その通りです。元来、国内不動産の2大メリットと言えば「節税」と「レバレッジ」の2つです。しかし、700万円未満の方となると、この恩恵を享受しきれません。

もともと、不動産投資をするためには自分の貴重な財産である信用枠を使って借り入れを行い、多額の借金を背負うことになります。借り入れをすることによる心理的負担は相当なものです。

それだけのことをするからには、それ以上の見返りが期待できるものに投資をすることが大切です。残念ながら不動産投資では、規定額以下の年収の方の場合、背負うもの以上に還ってくるものが少ないのです。

俣野:メディアでは、「年収400万円でもアパートを○棟持てる!」とか「これであなたも夢のサラリーマン大家になれる!」的なタイトルの特集記事を目にします。あれはどういったカラクリになっているのでしょうか?

大山:あれは雑誌を売りたいがための特集ではないでしょうか。もちろん、彼らがウソをついているということではないでしょうが、実際、当人をずっと付きっきりで追跡取材しているワケではありません。

今は成功しているように見えても、将来はわからない
ということです。

俣野:少なくとも、買おうと思ったらあの年収でも購入はできる?

大山:いや、容易ではないと思います。

俣野:容易ではないけれど不可能ではないと。たとえば誰かの名義にするとか?

大山:共同名義というやり方もあるとは思いますが。金利が高くてもいいのであれば、膨らまそうと思えば膨らませることはできるかもしれません。けれど――。

俣野:できたとしても物件価格の、いわゆる債務があるってことですよね。

大山:そうです、資産=負債です。大事なのは利益です。単に棟数だけ増やして、借金を雪だるま式に膨らませて何になりますか?それで「資産○億」とか言ったところで虚構でしかありません。

俣野:そこは警鐘を鳴らしておいたほうがいいということですね?

大山:はい。それはメディアのせいと言うよりは、もともと、そうでもして売りたい不動産業者がいるということです。

普通に考えて、そんなことは今の日本の状況下で、なくはないにしても、本当に稀な例なのではないでしょうか。そんな一か八かに賭けるような行為はオススメできません。

【マイホームと投資用物件の購入は同じではない】

俣野:実は前号メルマガのVol.48「マネースクール1周年」の中で、業者にダマされて投資用不動産物件をマイホームローンで購入させられそうになった人がいて、当マネースクールが思いとどまらせた、という話を紹介しています。

最近、サラリーマンに信用枠を使わせて、マイホームローンで投資用物件を買わせる手口が流行っているそうです。もちろん、契約をした本人はそのことを承知していますが、危険に対する認識度が低いと言わざるを得ません。

大山:知識のない方を食い物にしている、ひどい話ですね。マイホームであれば、普通に年収400万円のサラリーマンの方でも数千万円のマイホームを買えるので、混同してしまうのでしょうか。

そもそも、投資用物件とマイホームでは金利も全然違いますし、信用枠もまったくの別ものです。ですから家を買える信用枠と金利を、不動産投資に充ててはいけません。居住目的だからこその優遇金利だということです。

俣野:年収400万の人が、1億円は無理でも1000万、2000万円の投資用物件だったら購入は可能でしょうか?

大山:難しくはないと思います。ただし、買えはしますが、それでは十分な利回りを出せる可能性が少ない、ということです。

「労多くして実少なし」というやつです。それなりの運用利回りを期待したいのであれば、私は「最低年収700万円以上」を推奨いたします。

俣野:年収700万円というのは源泉徴収ですから、前年度の年収が700万円以上であれば、「権利を得られる」という考え方で良いですね?

もし、それ以下の年収の方で、「それでも不動産投資をしたい」という人がいた場合は、どういったアドバイスがありますでしょうか?

大山:そういう方が、どうしても不動産投資をなさりたいということであれば、「中古物件を狙う」といったことになるのではないでしょうか。

俣野:そうすると、やはりリスクが高まりますよね。

大山:誤解を恐れずにあえて申し上げますと、不動産投資を行う際に、もっとも効果的なのは「本業での収入を上げる」ことです。

収入が少ない時に無理をしたり、買える範囲内で何とかしようとすると、同じ価格帯の競争相手が多かったり、十分な収入もなく借金が足かせとなり、かえって遠回り
をすることになりかねません。

投資のプロを目指すならともかく、不動産投資を副業と捉えた場合、結局のところ、本業に力を入れるのが一番の近道だということです。

俣野:今後、不動産投資を目指す方が、収入を上げること以外に、今のうちから考えておくべきこと、やっておいた方がいいことなどはありますか?

大山:貯金はなくてもいいですが、不要なキャッシング等をしないことですね。

俣野:カードローンや消費者金融、リボ払い、そういう履歴を残さないようにする、と。住宅ローンはあっても良いが、クレジットカードは延滞を起こさないようにする、ということですね。

大山:それは我々の条件と言うよりも、融資を出してくれる銀行の条件ですね。

不動産投資で成果を出すために必要な考え方

「メディアの扇動に惑わされてはいけない」という、大山さんのお話。私たちは「プロがそう言うのであれば大丈夫」と思いがちですが、相手は「不動産を販売することによって生活している」という事実を忘れてはいけません。

【年収を上げるには、段階を踏む必要がある】

俣野:御社は以後、もっと事業を拡大させていきたい、というお話でしたが、今後はより広い範囲にサービスを拡大するご予定、ということでしょうか?

大山:いや、我々はむしろ、もっと範囲を狭めていくつもりです。広げすぎて万一、アフターフォローなどに漏れが出てしまってはいけませんから。

幅広い顧客層をターゲットにするためには、それだけのフォロー体制が必要です。残念ながら、今の弊社にそこまでの力はありません。

通常、車でも日用品でも、幅広い層を対象とした商品を提供しているのは、たいてい大企業です。彼らにはそれだけの余力があるということです。

ですから投資をする際にオススメなのが、まずはご自身の年収向けのサービスに特化した商売をしているところへ行き、そこで経験を蓄積することです。最初は不動産よりも、もっと少額で始められる投資の方が良いと思います。

たとえば年収400万円の人が、いきなり1000万円を狙っても失敗することが多いのは、それまでの蓄積がないからです。

そもそも年収400万円を600万円に上げる方法を知らないのに、突然1000万円にできるでしょうか?
人は必ず段階を踏む必要があります。400→600→800→1000というようにです。

確かに、中にはそれをしなくても、急にできるようになる人もいます。けれどそれは、その人がその分野において、何かしらの才能を持っているからです。

俣野:学ばなくても生来、備わっている能力のことを才能と言います。どんな人も何かしらの才能を持っていて、その才能に努力が加われば、その人はその分野においての天才になれます。

大山さんが習ったこともないのに、いきなり営業で天性の才能を発揮したように、です。

大山:ありがとうございます(笑)。多くの人が年収を上げられないのは、能力がないのではなく、上げ方を知らないだけだと思います。

ですから、たとえ今は不動産投資ができる年収に達していない方であっても、この特集をお読みいただき、ぜひその世界を目指していただきたいと思います。

俣野:これから「不動産投資を目指そうかどうか?」とお考え中の読者に代わってお尋ねしますが、今後の日本は少子高齢化が進んでいきますよね?

このままでいくと、不動産を買って運用していこうにも、人が少なくなって不動産物件自体が要らなくなる時代がくるのではないでしょうか?

大山:国内需給だけで考えるのであれば、確実にそうなります。ただ幸いなことに、現在は訪日客が増えており、今後も増加すると見られています。では、それに対して受け入れ態勢が整っているのかといえば、実質、ホテルは足りていません。

ですからこれからの「箱もの」は、アパートというよりホテル代わりとしての用途の方が増えていくのではないでしょうか。

そうなれば、当然そこには法律も関わってきますし、「新しい分野の需要にきちんと対応できる業者なのかどうか?」ということになってくると思います。

目下、民泊のAirbnb(エアービーアンドビー)などが世間を騒がせているのがまさにそうですが、一時的なブームに乗って小銭を稼ごう、という生半可な気持ちでは難しいですよね。

もし、「どこかの不動産会社とパートナーシップを組んで、不動産投資をしていきたい」とお考えの方がいらしたら、今後の市場の流れや需要の変化までを見通した上で、事業戦略を立てている業者とであれば、比較的安心して組めるのではないかと個人的には思います。

今の不動産バブルがどうなるのかと言ったら、おそらくどこかで弾ける
でしょうね。それは仕方がないことです。

【パートナー選びの鍵は「出口戦略」】

俣野:それではここから、不動産投資を行うための具体的な方法をお聞きしていきたいと思います。

まず、一番大事なパートナー選びのコツからお教えいただけますか?良い業者も悪い業者も、どちらも顧客の利益になることを話すので、多くの人はどれが本当なのかが見極められません。専門家から見て「こういうのはNG」とかありますか?

大山出口戦略を明確にできない業者はやめたほうがいいですね。出口戦略とは、不動産投資で言うなら「物件を売却して、最終的にどれくらい利益が出せるのか?」ということです。

計画をきちんと提示できた上で、それに対してどこまで効力があるものを約束できるかどうか、だと思います。

俣野:出口戦略とその根拠が明確かどうか、ということですね?読者の方の中には、おそらく出口戦略と言ってもわからない方が多いと思います。そういう人でも「この会社は、きちんと出口戦略を描いているな」とわかる方法はあるのでしょうか?

大山:手っとり早い方法は、業者に対して「物件を5~7年で売却することも検討しています。御社でお願いした場合は、どのような手段をお持ちでしょうか?」と聞いてみることです。

そこでこちらが納得できる答えや資料などを提示できるようであれば、割と信用できる業者なのではないでしょうか。私の経験から言うと、創業5年未満のところは、あまりオススメしません。

俣野:自分でしっかり確認し、選ぶことが大切、ということですね。

大山:それから、自分たちが販売する物件に対して、どれだけ責任が取れる体制を構築しているか、というのも大きなポイントになります。

これがマイホームだと、買った後は基本的に自分で住むだけですが、賃貸で回すとなった場合、万一「物件を売るだけの会社」から買ってしまうと後が大変です。投資用物件は買った後の対応のほうが大事ですから。

賃貸業者と契約する際なども、リフォームやリノベーションができる体制のある業者なのかどうかを必ず事前にチェックするようにしてください。

業者からしてみれば、物件の価値が落ちた時に、リノベーションをしても入居者が付くかどうかがわからないし、自分たちがやっていない限り、親切に教えてくれるワケではありません。

「物件を買ったり、賃貸を委託していれば、契約後も親身になって対応してくれるだろう」と単純に思わないことです。

後々のことまで考えて最初に業者を選んでおかないと、問題が起こった時にいちいち自分で業者を探さないといけない羽目になりますから注意が必要です。

俣野:トータルサポートができるかどうかが、業者を選ぶ際のポイントの1つということですね。

「長期保有で得をする」は間違い?業者が言わない不動産投資の成功法則

大山:投資家の方には、「物件を5~7年で売却することも検討している」と不動産会社に言うだけでなく、ぜひそれを実際に行っていただきたいと思っています。要は「不動産を持ち続けるというイメージを捨てて欲しい」のです――

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