Amazonの展開する実店舗の本屋「アマゾン・ブックストア」が遂にNYにも出店したそうです。NY在住で『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者・りばてぃさんがオープン時に訪問したところ、行列ができるほどの盛況ぶりだったとか。

りばてぃさんによると、米国ではAmazonだけでなく「Eコマースから実店舗へ」が最新のトレンドだと紹介しています。

NY1号店のアマゾン・ブックストア

先日、ブログでもお伝えしたが、ついに、待望のアマゾンのブックストアがニューヨークにオープン!!!

今年に入ってから各種メディアもいつオープンするのかと心待ちの記事を掲載し話題に。

うちのブログでも「今春オープン」(Opening This Spring)と書かれた看板を3月にご紹介していたので、ずっと気になっていた。

4月に入ってもまだまだ開く気配がない。

5月に入ってからも近くを通る度に見に行ってたが相変わらず変化なし。

アメリカではよくある予定どうりにオープンしないパターン??イギリス生まれのお寿司屋さんのワサビは1年以上オープンが遅れていたし、この新しいアマゾンのお店は店内工事にこだわってたりとかで遅れているのかも?

…なんてことをぼんやり考えていたらメモリアル・デー・ウィークエンドの連休直前の5月24日についにオープンしたのだ!

(ご参考)

今春、アマゾン・ブックスがNYにやってくる!?
アマゾン・ブックス(Amazon Books)NY1号店に行ってきました

さっそく行ってきた。この場所、何度も様子を見に来てるから慣れたもの。

さっさとエスカレーターで3階へ向かう。自然と早歩き。最短コースで現場に到着した。

アマゾン・ブックストアへのニューヨーカーの反応は?

入り口の『Amazon books』という白い電子看板が目立つ。ここでも最短コースで入り口に向かうも、そこにはなんと行列が!??

本屋さんで行列???

電子書籍の普及や、大手Eコマースのアマゾンのせいで地元の小さな書店は閉店に追いやられたなんて話はよく聞くし、今回のブックストアのオープンを報じるメディアでもその点に触れている。

小さい書店だけでなく、大型書店のボーダーズ(BORDERS)は2011年に倒産し店舗を次々と閉店。

後に同じく大型書店のバーンズ&ノーブル(Barnes&Noble)がトレードマークと顧客リストを買収している。

そのバーンズ&ノーブルですら近年、米国各地で店舗を閉店している。

(ご参考)

Barnes&Noble's Stores Provide Relief as Online Sales Plunge

ただ実際は、ニューヨークの場合、街角の小さな本屋さんのほうが個性があるので人気だったりする。

(ご参考)

電子書籍時代に、NYで街角の小さな本屋さん人気が上昇中なわけ

でも、アマゾンはボーダーズやバーンズ&ノーブルのような大手だ。しかもEコマースサイト。

そんなアマゾンがリアルな実書店を出した。興味が沸かないわけないし話題にならないわけがない。

そもそも、なんで?って思う人もいるだろう

一体どうして、この書店不況と言われる時代に行列ができるほど話題なのか?

日本のメディアでは、『書店「存亡の危機」、また本屋が消えていく』

なんてタイトルの報道が出ているほどで、なかなか大変な状況となっている。

(ご参考)

書店「存亡の危機」、また本屋が消えていく

この背景には、Eコマースビジネスが拡大を続けるからこそ、インターネットのバーチャル空間で成長を遂げたアマゾンのようなEコマースから始まった企業が近年、続々と実店舗をオープンするというトレンドに注目が集まっているからである。

なぜ、Eコマースから実店舗を展開する企業が多いのか?

Eコマース企業の実店舗展開は、大きくわけて、以下の2つの段階がある。

1. ポップアップ店の出店

2010年前後から、長期間ではなく短期間で店舗スペースを借りて実店舗を出す事例が増えている。

ニューヨークの5番街やSOHOなどの主要なショッピングエリアの家賃高騰などが影響しているが、そもそも世界中からアクセスできるEコマースサイトが実店舗を出す理由はない。

でも、Eコマースから始まった小売は、Eコマースでは提供しにくいパーソナル・サービスやそこでしか体験できないものを提供できる場として実店舗を活用しているのだ。

過去に話題になった代表的な事例では、ハンドメイト大手のEコマースサイトのエッツィがある。

ハンドメイド・マーケット最大手のEtsy史上初のお店がニューヨークに!!!

2. 常設店

その後、2013年ごろには、期間限定のポップアップ店ではなく、常設店を出すEコマースが続出

送料無料で返品やお試しができるとはいえ、気軽にお試しできる場として店舗があると便利だし、新たな顧客の獲得にも繋がるかもしれない。

代表的な事例では、メガネ専門のワービー・パーカーや、メンズ・ファッションブランドのボノボス。

最近、ブログで取り上げたイタリア製のシューズを取り扱うM.Gemiもその1つだ。

また、これらの人気Eコマースが出す店舗は、ニューヨークを中心にアメリカ国内で客が集まる人気都市であることも非常に興味深い。

(ご参考)

ワービー・パーカーのグランドセントラル駅店
たった1年でEコマースから実店舗へ、シューズ・ブランドのM.Gemi

今回、アマゾンが出したブックストアは、上述の2つ目の段階の常設店。

年内中に、ニューヨークと近郊にあと2店舗出店予定で、1つは、34丁目のエンパイアステートビルディング至近、もう1つは、お隣の州のニュージャージーにあるウェストフィールド・ガーデン・ステート・プラザ(Westfield Garden State Plaza)という新しいショッピングモール。

ここにはシェイク・シャックやアップルストア、ユニクロなども入居している人気のショッピングモールである。

(ご参考)

While Barnes&Nobles close,Amazon is opening real live bookstores
Westfield Garden State Plaza

Amazonが示す、小売業の未来の姿

Eコマースからはじまった小売ブランドは、以上の2つの段階を経て、新たな未来の小売の形を模索している。

特に、このアマゾン・ブックストアは単に体験やお試しをできる店というだけでなく、Amazon.com上のユーザー・レビュー数や平均スコア、アプリで検索できる仕組みや、メンバーになるとお得であるなどなど、Eコマース上の強みを実店舗で存分に活用した仕組みとなっている。

しかも、技術だけなら、きっと取り入れたらよいと思われるものはいろいろある。

例えば、本のレビューについては印刷した紙で表示されていたが、2016年に開催されたアメリカの小売業界最大の展示会であるNRFのリテールズ・ビッグ・ショーで、紹介されていた市場価格に応じてリアルタイムで売値が変わるデジタル値札は変化するレビュー表示に活用できそうだ。

(ご参考)

米小売業界最大の国際展示会、リテールズ・ビッグ・ショー2016(Retail's BIG Show 2016)

他にも、いろいろと取り入れられそうな新技術はあると思うけど、アマゾン・ブックストアのが凄いのは、そうした最新技術を使って『どうやって消費者に楽しんでもらうかということをちゃんと意識した店舗作りにしていることだろう。

この店舗が今後の小売店舗の仕組みを大きく変えていくかもしれない可能性は非常に大きく、ますますアメリカの小売事情から目が離せない状況となっている。

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