記事提供:日刊サイゾー

東急田園都市線渋谷駅と連結している、ブックファースト渋谷文化村通り店が2017年6月4日をもって閉店する。カルチャーの発信地であったはずの渋谷から、またひとつ書店が姿を消す──。

東急文化会館の三省堂書店、東急プラザの紀伊國屋書店、旭屋書店渋谷店、ブックファースト渋谷店、パルコブックセンター…。かつて渋谷駅周辺には、たくさんの大型書店が存在していた。しかし今、そのいずれもが姿を消してしまった。

三省堂書店が入っていた東急文化会館は「渋谷ヒカリエ」となったが、その中に書店はない。紀伊國屋書店は東急プラザの建て替えによって、西武渋谷店パーキング館1階に移転したが、フロアーは縮小してしまった。

旭屋書店渋谷店は30年にわたって渋谷第一勧業共同ビルの地下で営業していたものの、05年に閉店。07年からその跡地に入ったのが、ブックファースト渋谷文化村通り店。

大型旗艦店として存在感を発揮していたブックファースト渋谷店のビル建て替えに伴う形での移転だったが、前述の通り、それもあと少しの命だ。

パルコブックセンターもまた、ビル建て替えに伴い休業中。そのほかにも、渋谷駅東口明治通り沿いにあった文教堂渋谷店は10年で閉店。

ビルまるごとが書店だった大盛堂書店渋谷本店は05年、43年にわたった歴史に幕を閉じ、今はセンター街の入り口で規模が小さい大盛堂書店渋谷駅前店を残している。

書籍や雑誌の売り上げが減少するとともに、ここ10年ほどで次々と姿を消すこととなった渋谷駅周辺の書店。

現在営業している渋谷の大型書店といえば、東急百貨店本店7階のMARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店や、前述した渋谷西武1階の紀伊國屋書店渋谷店、渋谷マークシティ1階・地下1階の啓文堂書店渋谷店くらいだ。

しかも、かつての大盛堂書店渋谷本店やブックファースト渋谷店のように新刊以外の専門書や学術書が手に入るほどの品揃えではなく、欲しい本がなんでも手に入るとはいい難い状況なのだ。

渋谷で本が買えない時代の到来に、嘆く人も多い。40代の出版関係者はこう話す。

「私たちの世代にとっては、渋谷といえばカルチャーの街。レコードショップと本屋と映画館がたくさんあって、常にいろいろな情報を入手できる街でした。しかし、レコード店はどんどん消え、大型CDショップもタワーレコードくらいで、TSUTAYAのCD売り場もかなり縮小してしまった。単館系の映画館もだいぶ減ってしまいました。そして書店も同様です。単純に出版不況という問題だけでなく、渋谷カルチャーがいよいよ終焉に近づいているような気がします」

また、今の渋谷では漫画を買うのも一苦労だという。

「いま渋谷にあるどの書店も漫画フロアーがとにかく小さい。新刊しか置いていないというのも当たり前で、かろうじて全巻そろえられるのは渋谷TSUTAYAの漫画フロアーくらい。1990年代には渋谷109の5階にあった『旭屋書店コミックシティ』とか、東急文化会館の『三省堂書店コミックステーション』とか漫画専門店も多かったんですが、今や見る影もないです」(同)

パルコブックセンターについては、渋谷パルコの建て替えが完了すれば、営業を再開する予定だというが、それ以外に大規模書店が渋谷に開店する計画は聞こえてこない。

「渋谷で本を探すことは、もうないと思います。専門的な本はネットで買うでしょうね」(同)

ちなみに、ブックファースト渋谷文化村通り店の跡地には、ヴィレッジヴァンガードが渋谷本店としてオープンすることが決定している。業態はかなり異なるが、書店であることには違いない。

「以前のヴィレッジヴァンガードは個性的な品揃えでしたが、全国的に店舗が増えていったことで、個性も薄れていますよね。雑貨についても同様で、ヴィレヴァンでないと買えないというものは減っています。新たにオープンするヴィレヴァン渋谷本店が、個性的な品揃えをして、カルチャーを発信していってくれればうれしいのですが…」(同)

カルチャー発信地ではなくなってしまった渋谷に対する、出版関係者の嘆きは止まらない。

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