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『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』デラックスセット。

ポピュラー音楽の歴史を振り返って、最も重要なアルバムを挙げるとしたら何が思い浮かぶだろうか?

おそらく洋楽に詳しい人なら、音楽雑誌『ローリング・ストーン』が「マルチトラック使用などによる革新的な音楽表現を生み出し、ミュージシャン、パイオニア、ポップ・スターとしての資質を兼ね備えたビートルズが残した全ての作品の中でも最高の仕事」という最大級の賛辞を呈して、「偉大なアルバム500選」第1位に選出した、'67年のオリジナルアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を真っ先に思い浮かべるだろう。

つい先日、来日公演のあったポール・マッカトニーが収録曲の「ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト」を演奏したことも記憶に新しいが、本作はグラミー賞で最優秀アルバム賞を含む4部門を獲得。

イギリスのチャートでは27週連続で1位の座にとどまり、連続148週チャートにランクインするなど、まさに名盤中の名盤だ。

リリースから50年目を迎える今年、同作の50周年記念エディションがリリースされる。時を経ても色あせないその魅力や制作の裏話を、ユニバーサルミュージック制作本部主任の多田行德氏に話を聞いた。

――まずは今回の50周年記念エディションはこれまでとどこが違うのでしょうか?

「今回、記念エディションには新しいステレオ・ミックスが収録されています。当時のアルバムで、ビートルズのメンバーはモノラルのミックスにしか立ち会っていなかったそうです。

ステレオのミックスのときは、『マジカル・ミステリー・ツアー』('67年公開)の撮影が入っていたため、スタッフに任せっきりになったそうです。

今回の取り組みは、現在の最新技術を使って、当時メンバーが好んでいたモノラル・ミックスを参考にして新しいステレオ・ミックスに生まれ変わらせることで、モノラルのように前に出てくるパワーがある音でありながら、楽器がバランスよく配置された状態を目指しました」

――2CDやスーパー・デラックスには未発表だった音源も収録されています。

「もうひとつの聴き所としては、レコーディングのデモ音源が収録されていて、『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』などの新たな未発表音源も入っています。

発表された楽曲が誕生するまでに、メンバーがどういう制作過程をたどったのか、実際に耳で聴いて知ることができます。

また、これまで未発売だったドキュメンタリー映画も収録されています。DVD、ブルーレイには5.1chが、さらにブルーレイにはハイレゾオーディオも収録されているというように、あらゆるフォーマットで、とにかく音を楽しめるようになっています」

――改めてビートルズがここまで長く愛される理由は?

「まず『サージェント・ペパーズ』ですが、音楽史的にここから始まったことが非常に多いですね。アルバム自体を架空のバンドのショウに仕立てるコンセプト・アルバムのはしりであり、アルバムに収録曲の歌詞を載せたのも本作が初めてです。

今の日本の若いバンドたちが知らないところで、彼らがやっていることの根底にはビートルズの影響があるはずです。

たとえば学校の音楽の授業や、テレビやCMでもビートルズの音楽って必ずどこかで流れていますよね。たった8年間という短い活動期間にもかかわらず、ここまで長く愛されているのは、それだけ彼らの才能がスゴいという証左だと思います」

――収録曲からオススメを1曲選ぶとすれば?

「個人的にはまさにビートルズらしい、ジョン・レノンとポール・マッカトニーのコラボレーションの妙が楽しめる『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』ですね。曲としても面白いですし、改めて聴いていただくと、曲の大部分はジョンの手で作られていたということが分かると思います」

――制作に際して本国やスタッフとのやり取りはあったのでしょうか?

「海外とのやり取りは2月末から始まり、数多くのやりとりをしました。また、4月10日にビートルズが現役時代にレコーディングしていたイギリス・アビイロードで試聴会があって、そこで1CDのリミックスを聴くことができました。直接、話はできませんでしたが、(ビートルズのプロデューサーであるジョージ・マーティンの息子)ジャイルズ・マーティンもそこにいました。貴重な経験でしたね」

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