長谷川豊です。

情けない国会中継がテレビ画面を通じてお茶の間の皆さんに映し出されています。

情けない話です。必死になって「共謀罪」と名前を変えてレッテル貼り。名前くらい正確に言えばいいのに「テロ等準備罪」というと理解されてしまうので、名前を変えてのイメージ戦略。同じ世界に足を踏み入れている人間として恥ずかしい思いがします。

さて、先日

「共謀罪の件で国会大荒れしてましたが、議論はこれまで散々してきてたので、あそこは最後の多数決だけとる場ではないのでしょうか?当日の審議って何を議論してるんでしょうか?」

というご質問を頂きました。

そうですね。これは多少の違和感を感じる方は少なくないでしょう。

興味のない方も多いかもしれないですが、少し国会等のニュースに興味を持たれ始めている方のために、解説しますね。

採決は「ただの演出」

国会って皆さん、どんなイメージですか?

あの議場で声を張り上げている議員さん、それに対して心無いヤジ…など、テレビで映っているシーンを思い浮かべる方が多いかもしれないですが、実は国会の中での動きでいうと、これらはかなり限られたワンシーンでしかないんです。

国会議員の皆さんは、全員必ず「どこかの委員会」に所属することになります。文部科学省の委員会であったり、エネルギー政策系であったり、法務系であったり。

今回の「テロ等準備罪」は法律関係の話なので、法務委員会に所属している議員さんたちが関係している話になりますね。

で、まずは委員会で、「この法律はどう」とか「あの法律はこう」と議論をします。

議論が煮詰まったら採決ですね。で、その採決された法案の中身を国会に提出。賛成多数であれば、その法律が成立するって寸法です。

テレビでアナウンサーが「法案が可決しました」って言ってるでしょ?あれは最後の国会議事堂内での法案成立のシーンですね。あれはただの「セレモニー」です。だって、各政党の人数はもう決まってんだから。

今回の法務委員会のギャースカ騒動をテレビでよく報じられていましたが、あれは「法務委員会」での中…つまり、まだ検討している段階での騒動です。

委員長の紙などを奪って大暴れしていたのはね、法務委員会での「もう議論、いいだろ」⇒「じゃあもう国会に持って行って成立させましょうや」というシーンでの野党の暴動です。

暴れないとテレビに映れない野党議員

こうなると、ご質問者様だけではなく、普通の方にも素朴な疑問がわきますよね。

そうです。

「え?自民党が多数なんだから、多数決でもう決まんじゃねーの?」

という疑問ですね。

お答えしますと…はい、その通りです。

皆さん、国会ではいろんな強行採決が行われている…とかイメージ貼りをされているように見えるかもしれないんですが、実は国会では毎日様々な委員会で非常に有意義で充実した議論が行われているのが本当の姿だったりします。

でもここで大きな問題が生じます。

私が常に言い続けていることなのですが、まともな議論など…

「テレビのネタにならない問題」です。

厳しいことを言いますが、国会議員が国民の皆さんのために必死に議論することなど、あまりにも当たり前のことなので、ネタにならないんです。真面目な国会議員なんて、視聴率になりませんから。

ではどうするのか?

テレビを制作していた人間から言わせると「騒いでほしい」んですよね。叫び声が上がってるときって視聴率下がらないので。

ほら、野々村竜太郎さんって覚えてます?号泣議員とか言われてた。

あの人が号泣して騒いでるときってテレビ、こぞって取り上げてたでしょ?あんなの、どうでもいいニュースの典型なワケですが。なぜあれほどにテレビがしつこく取り上げたか?

簡単です。視聴率取るからです。大騒ぎしてるから。

国会でも同じなんです。普通に議論して、普通にやってしまうと、法案なんて、全部自民党の言うままに通るんです。だって議員数多いし。

ですがそうなると、野党の皆さんは地元の支援者に言われるわけです。

お前ら、何の仕事もしてないで!

って。だって、野党の皆さんの支援者って、自民党がキライな人たちだから。

そういう人たちの情報源って、テレビしかないから。なので、野党の議員さんたちが地元の支援者たちにアピールして次の選挙も通るためには、まず「テレビに映らなきゃいけない」わけです。

これが全てのからくり。

大暴れした後は廊下で談笑している議員たち

野党の議員さんたちだって分かってるわけ。無駄なことしてるくらい。

でも、そうでもしないと自民党の言うがままだからそれはまずいぞ、と。で、次の選挙も通りたいぞ、と。

そんなジレンマのまま、出来るだけ声を大きく叫んで、暴れて、テレビに映るように努力してる姿を、これまた視聴率が欲しいだけのテレビ局が垂れ流してるわけですね。

こうして全部ネタ晴らしすると心からバカバカしいでしょうが、議員の皆さんは必死にやってます。だって、それくらいすごい利権だから。国会議員って。

ちなみに、全部終わって大暴れして採決された後は、廊下で何事もなかったように談笑してます。野党も与党も。国会ってそんな風になってます。

ちゃんと取材すると結構いろんなものが見えます。でもそれが日本をよくするのかどうかは本当に不明。くだらないと思われた方、あなた方の感性の方が正しいと思いますよ。

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モノ申すフリーアナウンサーとして、テレビ・雑誌・講演と幅広い分野で活躍中。特に多くの取材経験からニュースを多角的な視点で見る文章に定評がある。現在は執筆や講演会など多方面で活躍中。

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