田園調布、芦屋、成城学園前といった「憧れの高級住宅街」が今、ゴーストタウン化の危機に陥っているようです。

無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者の廣田信子さんは、近年これらの地区が抱える高級住宅街ならではの苦悩を紹介し、「これは都市部の住宅問題の象徴」であると警鐘を鳴らしています。

「田園調布」がゴーストタウンに?

こんにちは!廣田信子です。

田園調布に家が建つ」。そんなギャグが流行ったことがありました。調べていたら1980年のこと、星セント・ルイスという漫才コンビによるものです。そのくらい田園調布に家を持つというのは成功の証、誰ものあこがれだったわけです。

その田園調布の高級住宅街に空き家が増えゴーストタウン化するのでは…と危惧され、最近、その様子がテレビなどで取り上げられています。何だか、感無量です。

田園調布に限らず、誰もが知っている高級住宅地である芦屋、成城学園前、目黒なども、土地が高くて売れない家が放置され、高級住宅街としての質を維持するのが危ぶまれる状況があるのです。

そこには高級住宅地ならではの苦悩があります。

むしろ「高級」がアダに。マンションも建てられぬ高さ制限

まず、これらの地域は、「第一種低層住居専用地域」で、低層の住宅地として用途が限られています。住宅の用途以外のものに対しては、非常に条件が厳しくなっています。事務所も店舗も建てられません。

高さ制限があるので、事実上3階以上の建物も建てられません。ですから、住宅であってもマンションの建築も難しいのです。

さらに、地域の環境を守るために、土地を小規模に分割して販売することを禁止していたり、生垣や庭に確保の規制があるところもあります。だからこそ高級住宅地であり、その環境を維持するための規制なのですが、時代は変化していきます。

住民が亡くなった後、売りに出されても、広い敷地の住宅は、販売価格も高額で、それを購入できる人も限られていてなかなか売れません。

しかも、不動産価値が高かった故、不動産に抵当権等がたくさんついていたり、相続人が多数いたりして、価格を下げての処分が簡単にはできない物件も多いと言います。

では、価格を下げれば購入者がいるかというと、それも簡単ではないのです。本当の高級住宅地は、住んでいる人は車で移動するのが基本で、日常の買い物はお手伝いさんが…。そんなところですから、決して、交通の便がいいところにありません。

車の送り迎えが当たり前じゃなく、電車で移動するには、交通の便が悪く、決して住みやすいところじゃないのです。そしてコンビニすら近くにはないのです。で、協定等を守るための生垣等の維持に掛かる費用も多額になります。

さらに、空家が増え、手入れの行き届かない区画が増えると、高級住宅地としてのブランドにも影が差し、治安の不安もあり、市場での流通が難しいのです。

田園調布の苦悩は、これからの住宅問題の象徴だ

そんな状況ですから、宗教法人の合宿所として購入されたり、シェアハウスとして活用が検討されるという話も出ています。

もともとその地を愛して暮らしている方々は、それをどう思うでしょうか。

せっかく守って来た環境を、開発で台無しにするような都市計画の見直しはあまりにも残念過ぎます。しかし、人口減少社会の現実は厳しいものがあります。

田園調布が抱える現実は、人口減少社会に都市が抱える問題の象徴であり、都市に暮らす住民すべてが無関係ではいられない未来の住宅問題の出発点とも言えるのではないでしょうか。

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