『宝くじで1億円当たった人の末路』(鈴木信行/日経BP社)

宝くじで1億円当たったら何に使おうか――という妄想は誰もが一度は通る道。そう、「無人島に何を持っていくか」「ドラえもんの道具を一つだけもらえるなら何か」に並ぶ日本人三大妄想の一つだ。

そして、ひとしきり妄想を楽しんだところで、やってくるのは虚しさ。この虚しさが人を大人にしていくものなのだろう。

しかし、今回はこの妄想にもう一歩踏み込んでみたい。実際に宝くじで高額当せんが叶ったらどうなるのだろうか。

よくドラマなどで聞くのは、大金を手にしたがために、顔も思い出せない親族・友人から金の無心を求める電話が止まらなくなる。しまいには強盗に狙われてしまう、というが…。

そんな、ちょっと気になる宝くじ高額当せん者の“末路”について言及しているのが『宝くじで1億円当たった人の末路』(鈴木信行/日経BP社)だ。

本書で取り上げるテーマは宝くじだけではない。キラキラネームを付けられてしまった人や事故物件に住んでしまった人、20代に自分探しに明け暮れた人といった、全部で23の“末路”を専門家・経験者の取材をもとに紹介している。

キラキラネームも事故物件も「良くないこと」が起こりそうだが、実際どんなことが起こってしまうのか、あるいは起こらないのか、ちょっと気になるところ。まずは、マネーの専門家が解説してくれた宝くじに当せんした人の“末路”を少し紹介したい。

結論から言うと、ろくなことにならない。先ほど、述べたように急に多額のお金が手に入ることで、家族・親族内トラブルが起こってしまうという。うん、これは予想の範囲内。

しかし、悲劇はこれだけではなく、生活の質を上げてしまうことで贅沢な暮らしが止められず、破産してしまうことも。多額の資金がある状態に慣れていないため、金銭感覚がおかしくなってしまうようだ。

まさに「悪銭身に付かず」。ギャンブルで得た臨時収入が、気づけば無くなっていた…という経験があればわかりやすいだろう。

専門家によれば、現状の生活は変えずに税理士やファイナンシャルプランナーなどに相談するのがベストなようだ。あまり夢のある話ではないかもしれないが…。

もう一つは「キラキラネーム」の“末路”。極端な名前になると就職試験で不利になるそうだ。会社で働く人間は会社の顔。ふざけた印象を与える名前だと企業・店舗のイメージは悪くなってしまうため、そもそも就活の段階でふるい落とすのだという。

さらに、「キラキラネーム」は受験でも不利になることがあるというから驚きだ。名前が奇抜であれば、その分イジメの対象となりやすい。一部の私立学校ではイジメ防止のために、そもそも入学を認めないという措置を取っているという。

いろいろな想いや願いを込めた名前なのかもしれないが、たかだか名前でハードモードの人生を歩まされるのはたまったものではない。大人になってから改名を…という気持ちもうなずける。

やってしまってから後悔してはいけない。そのためには、情報を得たうえで行動するべきである。目次をちょっと開いてみて、気になる項目を読んでみる、あるいはそうでなくても、「へぇ~」と思わず唸ってしまう情報が満載だ。

ちなみに私は、「体の硬い人の末路」の章を読み、慌てて入浴後のストレッチに勤しんでいる次第だ。

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