数ある経済指標のなかで、特に重要とされるGDP(国内総生産)。日本は11年ぶりに5四半期連続でプラス成長するなど、最近好調を維持している。牽引役となっているのは、日本のGDPの約6割を占める“個人消費”の伸びらしい。でも、「GDPがプラス成長」とか「個人消費が伸びている」といわれても、当の消費者には全然実感がない人も多いはず…。本当に日本の経済は好調なのだろうか?

【3つのポイント】
1.好調なGDP。キーワードは「輸出」と「個人消費」
2.個人消費が伸びている…も、街角調査では実感ナシ?
3. 好景気を実感するまでにはタイムラグがある!

1. 好調なGDP。キーワードは「輸出」と「個人消費」

GDPとは、「国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額」のこと。この「付加価値」とは「国内の人や企業が稼いだ金額」を意味する。つまり、「GDP=日本全体が稼いだ金額」と考えればいいかもしれない。

内閣府が5月18日に発表した2017年1~3月期の速報値によると、物価の変動による影響を差し引いた“実質GDP”は2016年10~12月期に比べて0.5%増。年率に換算すると2.2%増だという。このうち、GDPを押し上げる大きな要因となったのが「輸出」と「個人消費」の伸びだとか。

富士通総研の主席研究員・米山秀隆氏は、「まず輸出に関しては、日銀の金融緩和(円の供給を増やす)で円安が持続した結果、好調になりました。そして『ドルで稼ぐ』輸出企業にとっても、円安=ドル高は追い風。さらに、米国や欧州など世界的な景気が良く、スマホのメモリや部品といった日本が得意とする製品の需要が伸びているのも大きい」と語る。

2. 個人消費が伸びている…も、街角調査では実感ナシ?

たしかに輸出が調子いいのはなんとなく理解できる(輸出が伸びれば、自動車産業などを中心に日本経済は潤う)。問題は、もうひとつの要因とされる個人消費だ。内閣府は「個人消費が持ち直した!」と胸を張るけれど、消費者にはそんな実感なんてない人のほうが多いのでは? 実際、タクシー運転手など景気に敏感な職業を対象にした「景気ウォッチャー調査」では、今年3月時点で身の回りの景気について「悪い」と答えた人が3カ月連続で増加していた。

でも、米山氏によれば「現在はいい流れにあります。景気は少しずつ、確実によくなっている」そうだ。

「物価自体はむしろ全体的に上昇傾向にあるため、景気回復を実感しづらいのかもしれません。しかし、物価以上に、じつは賃金の上昇率のほうがギリギリ上回っている。賃金が上がれば消費が活発になるため、物価も上がります。これは非常にいい兆候。全体的に、国内で購買力が伸びているのはたしかなのです」

3. 好景気を実感するまでにはタイムラグがある!

どうやら個人消費が持ち直しているのは本当らしい。そこに輸出の伸びも加わって日本のGDPを押し上げているようだ。では、消費者にその実感がないのはなぜだろうか? その理由は、「タイムラグ」にあるという

「現在、日本の有効求人倍率はバブル期と同程度の約1.5倍。人手不足の状況下では、賃金を上げないと人が来ません。そのため、パート、アルバイトなどから少しずつ賃金が上がり、正社員の給与もジワジワ上がり始めている。実感がないのは、まだ給与明細に大きく反映されていないからでしょう」

GDPのプラス成長を消費者一人ひとりが実感するためには、この好調な景気が来年、再来年まで続くことが条件になるそう。逆にいえばGDPがマイナス成長に転じたら黄色信号。GDPは、僕らの生活にとってけっこう大事な数値だったりするのだ。
(森江利子/清談社)

【取材先】
米山秀隆 : 富士通総研 – Fujitsu

【参考資料】
GDPとGNI(GNP)の違いについて – 内閣府
四半期別GDP速報 – 内閣府
景気ウォッチャー調査– 内閣府

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