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『コイズミシングル~小泉今日子と50のシングル物語』

『なんてったってアイドル』で新時代のアイドル像を作り出し、90年前後には近田春夫とのタッグでハウスミュージック、藤原ヒロシと組んだアルバムでクラブ・ミュージックに接近。

その後は自身の作詞、小林武史の作曲・編曲による直球のJ‐POP『あなたに会えてよかった』でミリオンヒットを記録し、2013年には『潮騒のメモリー』でオリコンデイリーランキングで1位に…。

1982年3月のデビュー以降、誰も予想ができない変化を続け、今も第一線で活躍を続ける小泉今日子。その歴代シングルを完全網羅した『コイズミクロニクル~コンプリートシングルベスト 1982‐2017~』(ビクターエンタテインメント)がリリースされた。

3枚組50曲収録という音源だけでも豪華だが、本作の見所といえるのが、初回限定盤プレミアムBOXに収録される書籍の一つ『コイズミシングル~小泉今日子と50のシングル物語』だ。

同書は、全シングル制作に携わった関係者への総力取材で、小泉今日子の音楽史を紐解いていく全368ページのメイキング本。

『なんてったってアイドル』の作詞で有名な秋元康から、二代目のディレクターとして彼女の大ブレイク~黄金期を支えた田村充義、さらには松本隆、藤原ヒロシ、高見沢俊彦、宮藤官九郎、横山剣まで、約70人ものミュージシャン、作詞家、作曲家、編曲家、ディレクターなどがコメントを寄せている。

面白いのは、小泉今日子の音楽史を紐解くなかで、その当時勢いに乗っているミュージシャン、クリエイターやアイドルの名前が次々と登場し、日本の音楽界の状況までもが俯瞰できることだ。

たとえば、デビュー曲『私の16才』や、初期の『ひとり街角』『春風の誘惑』などがディスコ歌謡路線なのは、当時のディレクターが小泉今日子を“石野真子の後継的なアイドル”として期待していたからだそう。

また、『なんてったってアイドル』が、同年の4カ月前にリリースされたおニャン子クラブ『セーラー服を脱がさないで』をバリバリに意識して作られた楽曲だったり…なんて逸話も面白い。

そのほか『渚のはいから人魚』というシングル曲のタイトルが、はっぴぃえんどの『はいからくち』からの引用であること、『快盗ルビイ』でよっちゃん(野村義男)が2小節だけシタールを弾いている…なんて音楽好きが喜ぶ小ネタも満載。

『オトコのコ オンナのコ』のコーラスに草なぎ剛が参加しているという話も、知らない人が多いのではないだろうか。

また、関係者の証言の中には、以下のように小泉今日子の魅力の本質をついたものも多い。

「小泉さんの魅力である『スピード感』、僕流に言うと、それは『捕まらない素早さ』です。(中略)ファンが彼女を捕まえたと思った瞬間、もうそこにいない。権威や価値観でラッピングしようとしても、笑いながらすり抜ける。『どこ行くのー』と聞くと、『分かんないー』って笑ってる、そんな感じ」(康珍化)

興味のある人はぜひチェックしてみてほしい。

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