「お前のパソコンとデータは我々が人質にした!」

なんと未来的でハラハラする展開…!映画やドラマの中のストーリーでしょうか? いやいや、今まさに世界中で起こっている事件です。パソコンを人質に取り身代金を要求するランサムウェア「WannaCry」が今、世界中で猛威を奮っています。私たちが生きる現代は、思っている以上に未来的で、さまざまな脅威にさらされているのです。

しかし、それを黙って見過ごすほど政府を始めとする各機関も甘くはありません。不正アクセスやサイバー攻撃、そのほか多くの脅威に対して、さまざまな角度からの対策が講じられています。その一環としてスタートしたのが、セキュリティシステムを生み出せる人材「ホワイトハッカー」を育てようといったプロジェクト。そして驚くことに、その受講生には小中学生も含まれているのですから現代的です。

でも、ホワイトハッカー?ハッカーを育てる? …うーん、いまいち想像できません。これは何をどうするプロジェクトなのでしょうか。

1.「ホワイトハッカー」=正義のハッカー
2.養成プログラムの肝は、「製品を開発できる人材」を育てること
3.採用は年齢を伏せて実施!「熱意」と「発想力」重視

1. 「ホワイトハッカー」=正義のハッカー

まず大前提として、「ハッカー=悪」というわけではないのです。

この言葉には「コンピューターで悪さをする人」といったネガティブなイメージが付いていますが、もともとの意味は「コンピュータやネットワーク、電気回路などに関して、常人より深い技術や知識を持っており、それを活用できる人」のことを指す言葉。わかりやすく言い換えれば、ITの「スペシャリスト」に近いのかもしれません。

ここで「ホワイトハッカー」と呼ばれているのは、こうした知識・技術を「善良な目的」に活かす人々のこと。つまり、正義のハッカー(カッコイイ!)ですね。

ただし、このホワイトハッカーという呼称は喩え方のひとつ。今回スタートした、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が主催する「SecHack365」は彼らを育てることが目的ですが、その内容と目的はもう少し複雑かつ、本格的なプロジェクトのようです。

2. 養成プログラムの肝は、「製品を開発できる人材」を育てること

育成プログラムの正式名称は「SecHack365」。講習の内容としては、ハッカソン(IT技術者の集まりによる開発・アイデアの提案会)や先端企業の見学、一流の研究者・技術者との交流。同時に、インターネットを介した遠隔開発環境が提供され、仕事や学業を続けながらでも参加できるようですよ。

重要なのは、単にセキュリティソフトなどの既製品を「運用」できるだけでなく、自ら新たな製品等を「開発」していくことができる人材を育成するというコンセプト。つまり、セキュリティの基盤を構築できるスペシャリストを育てていきたい、といった狙いがあるのですね。

3. 採用は年齢を伏せて実施!「熱意」と「発想力」を重視

今回の受講生は合計47人の採用となりましたが、応募倍率はなんと8倍! そしてその中には小中学生も含まれるというから更に驚きです。その選考基準…気になりますよね?

NICTの担当者によると、選考で重視したのは「熱意」。プロジェクトを理解した上で興味をいだき、経験を伸ばしたいといった熱意を感じられるかといったところ。もう1点は発想力のユニークさなどのようです。

ちなみに、この選考は年齢や個人情報を伏せて実施したとのこと。ということは、小中学生が選ばれた理由は、低年齢枠があったからではなく、彼らには、それだけの熱意やアイデアがあったからなのです。発想力やアイデアは、年齢に関係ない。いや、もしかしたら若い彼らの方がさらに柔軟な発想ができるのかもしれませんね。

あらゆるモノがインターネットに繋がる時代。便利な反面、安全に利用できるのは、そこにセキュリティが施されているからです。

2017年、本当に大事なプロジェクトがスタートしました。10年後、20年後。街に光が灯り、私たちがいつもどおりの生活を送れているとしたら…。そこにはひょっとして、今年選ばれた47人の見えざる活躍があるのかもしれません。

がんばれ、新世代の四十七士!
(小暮ひさのり)

【参照資料・取材協力先】
SecHack365
NICT - トップページ |NICT-情報通信研究機構

この記事を書いたユーザー

Spotlight編集部 このユーザーの他の記事を見る

Spotlight編集部の公式アカウントです。

権利侵害申告はこちら