「低カロリー・低脂質・高タンパク」という赤身肉は近年、「太らない食材」として女性たちを中心に注目を集めています。

しかし、メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で現役医師の徳田先生は、赤身肉に含まれる「飽和脂肪酸」の危険性について言及。

さらに、赤身肉以外にも「料理に使う油はどれがいいか?」「オメガ3脂肪酸は万能栄養素なのか」など、誰もが知りたい食の情報についてわかりやすく解説しています。

液状の植物性の油を選ぶ

脂肪分は上手に摂ることで健康的な食生活を楽しむことができます。つまり脂肪は健康に良くないので摂らない方がよい、ということはありません。大切なことはどのような脂肪分を摂るかということです。

それではかしこい脂肪の摂り方についてみてみましょう。

まず、料理で油を使うときには液状の植物油を使いましょう。オリーブオイルやキャノーラオイルなどの植物油は動脈硬化を予防する多不飽和脂肪酸を多く含んでいます。オレイン酸などがその代表選手です。

サラダを食べるときのドレッシングには、オリーブオイルをベースにしたフレンチドレッシングがオススメです。

地中海食は健康に良いといわれています。地中海食の調理ではオリーブオイルがよく使われております。パンを食べるときにはバターではなく、オリーブオイルを使ってみましょう。炒めものや焼きものでも植物油を使うことをオススメします。

フレンチパラドックスという疫学的現象があります。肉料理の多いフランス料理を食べているフランスの人々に動脈硬化症が他の欧米人と比較して少ないという逆説的な現象です。赤ワインを飲むことがその要因といわれています。

その他の要因として、フランスでは料理に使う油としてオリーブオイルなどをふんだんに使うこと、も挙げられています。

トランス脂肪酸は避ける

トランス脂肪酸は人工的に製造された油です。マーガリンやショートニング、クリーム、マヨネーズなどが代表的なトランス脂肪酸含有量の多い食品です。トランス脂肪酸は自然界には存在しません。

トランス脂肪酸を多く摂ると動脈硬化が進行することがわかっています。

世界保健機関(WHO)はトランス脂肪酸の摂取量について、総エネルギー摂取量の1%未満とするように勧告しています。重量ベースでは一人一日当たり約2グラム未満となります。

食品を買うときには、内容物ラベルに注意して、トランス脂肪酸を含まないものを選びましょう。トランス脂肪酸は「部分水素添加油脂」とも呼ばれています。食品ラベルにはその表現が使われているケースもありますので。

この用語も覚えておきましょう。ポテトチップスやカップラーメンにはトランス脂肪酸が多く含まれています

外食するときにはトランス脂肪酸を多く含むメニューをなるべく避けるようにするとよいでしょう。揚げ物、ビスケット、ケーキ、フライドポテト(フレンチフライ)などです。

アメリカのいくつかの都市のレストランでは、トランス脂肪の使用が禁止されています。ニューヨーク、サンフランシスコ、ボストンなどの街です。

日本も観光客が増えてきて国際化してきていますが、外食産業の健康志向度をアップさせて欲しいところです。完全禁煙に加えて、トランス脂肪酸の使用の禁止を実現して欲しいですね。

オメガ3脂肪酸を摂る

オメガ3脂肪酸に含まれる脂肪酸は必須脂肪酸の一種です。代表選手には、エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸などがあります。必須脂肪酸は人の体内で合成されないため、体外から摂取する必要があります。

オメガ3脂肪酸には健康に良い効果があります。悪玉コレステロールを下げます中性脂肪も下げます

魚の油やオールナッツカノラオイルにはオメガ3脂肪酸が多く含まれています。魚では、サーモンやマグロに特に多く含まれています。エスキモー最大の民族であるイヌイットには動脈硬化性疾患があまりみられません

その理由は、アザラシやシロクマの肉をよく食べているためとのことです。アザラシやシロクマは魚を食べて生きています。そのアザラシやシロクマを食べているイヌイットの人々は間接的にオメガ3脂肪酸をたくさん食べているのです。

エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸を多く含むが以前ブームになったことがありました。脳の発達に効果がある、そして認知症の予防に良い、という触れ込みでした。

確かに神経細胞の発達には脂肪酸が必要です。しかしながら、そういう卵を食べて頭が良くなるというエビデンスはまだありません

オメガ3脂肪酸を多く含む製剤も開発されており、処方箋を出してもらうことでそれを内服することができます。しかしながら、臨床研究ではそれほどドラマチックな効果を示してはおりません。自然界に存在する栄養素を摂ることが重要と思います。

イヌイットの人々には動脈硬化が少ないですが、脳出血が多いということがわかっています。塩分摂取量が多いことが関係していますが、オメガ3脂肪酸は万能栄養素ではありません。動脈硬化と出血は病態として対照的な特徴も持っています。

オメガ3脂肪酸を自然界の食品から適度に摂ることが重要と思います。

赤身の食肉は少なく

赤身の食肉とは牛肉や豚肉の赤身の部分です。ミオグロビンという色素蛋白を多く含むので赤くなります。飽和脂肪酸を多く含むのが特徴です。

以前いわれていたような、悪玉コレステロールを増加させる効果は少ないということが最近の研究で判明しています。しかしながら、過剰に摂るとやはり動脈硬化を進行させます

牛肉や豚肉をできるだけ魚や豆腐などに置き換えましょう。豆類やナッツ類もオススメです。ステーキハウスで注文をするときには、スモールサイズを選びましょう。そして、フライドポテトと白米やパンはなるべく少な目にしましょう。

そのかわりにフレンチドレッシングをかけたサラダを多めに食べるようにするとヘルシーになります。

出典:Naranjo MC,et al.Dietary fatty acids on aortic root calcification in mice with metabolic syndrome.Food Funct.2017 Mar 9.doi:10.1039/c7fo00143f.PMID:28276564.

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