大統領、首相など国政トップの名称はいろいろ。フランスではマクロン大統領が誕生し、首相にフィリップ氏を任命すると発表しましたが、その立ち位置と違いがよくわからない人も多いはず…。

日本の首相といえば国政のトップだけれど、フランスの場合は違うの?
教育系動画サービス「スタディサプリ」の社会科講師である筆者が、そもそもの仕組みをわかりやすく解説してみました。

【3つのポイント】
1. 日本やイギリス(議院内閣制の国)の首相は、立法と行政のトップ
2. 三権分立が厳格なアメリカ(大統領制の国)。トランプは行政のトップ
3. 首相も大統領もいる「“半”大統領制」のフランスは、大統領が首相を任命

1. 日本やイギリス(議院内閣制の国)の首相は、立法と行政のトップ

まず、世界の国々には大きく分けて「議院内閣制」「大統領制」というふたつの制度を採っている国が多いです。

日本やイギリスのような「議院内閣制」は、内閣と議会が連帯しています。…とか書くと難しそうに見えますが、簡単にいえば、内閣のトップ(安倍首相も、英メイ首相も)が、議会第一党のトップだということ。

昔授業で習ったはずの「三権分立」でいうと、「議会=立法(法律をつくること)」「内閣=行政(その法律をもとに政治を動かすこと)」なので、三権のうち“二権”が近い関係にあるということですね。安倍首相は法律案・予算案の作成から条約締結・自衛隊の出動命令までできるわけです。

2. 三権分立が厳格なアメリカ(大統領制の国)。トランプは行政のトップ

アメリカのような「大統領制」の国は、首相を置きません。トランプ大統領は、(日本とは違う)厳格な三権分立のもとで、「行政」の代表であり軍の最高司令官ですが、「立法」の府である議会を解散させるようなことはできません

3. 首相も大統領もいる「“半”大統領制」のフランスは、大統領が首相を任命

では、今回話題となっているフランスのように大統領と首相が両方いる国はなんなのか…? 実は「大統領制」と「議院内閣制」の中間である「半大統領制」(!)なのです。ちなみにプーチン大統領とメドベージェフ首相がいるロシアと似ています。このような国では、大統領は議会の解散権をもち、軍の最高司令官であるなど、権限は強いです。

首相はその大統領から任命され、政策を実行。大統領がいながら、その下に日本のような議院と内閣の関係があるカタチになります。フランスの首相はなんだか中途半端な役職なんですね…。

日本でも、大統領を置くとまでいかないと思いますが、国民が首相を直接選挙で選ぶ「首相公選制」にしてはどうか、という議論があります。議会や他の大臣のしがらみにとらわれない、強力なリーダーシップを発揮する国政トップが必要かどうか? 日本の政治家にそれができるのか? 我々も考えておきたいところですね。

伊藤賀一(いとう・がいち/スタディサプリ社会科講師)

【参考資料】

・『最新図説 政経』(浜島書店)
・『用語集 政治・経済』(清水書院)

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