私たちの身近にあるコンビニの知られざる裏話を、業界の内情に詳しいライターの日比谷新太さんが紹介していく当シリーズ。

前回の「モンスター・クレーマー」に続いて取り上げるのは、いわゆるコンビニ本部による「加盟店いじめ」について。本部側が悪者のように見なされることの多いテーマですが、実際のところは加盟店のほうにも落ち度があるケースも結構多いようで…。

直営店の新規開店で加盟店を追い込む?

コンビニには、FC本部が出資し直接経営にあたる「直営店」と、チェーンに加入したオーナーが経営する「加盟店」の2種類が存在します。

そんな直営店と加盟店の関係性にまつわるウワサとして、本部の意向に従わない加盟店に対して、その近隣に同じチェーンの直営店を開店させ、既存の加盟店を廃業に追い込む…といった話があり、皆さんのなかにも耳にしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。

本当にそんないじめのような行為が横行しているのかと、とあるチェーン本部の方に話の真偽を尋ねてみたことがありますが、その答えは「そのようなことはない」とのこと。

ただ、これまで私が取材で様々な店舗の開店から閉店までの経緯を見聞きしたなかで、結果的に同じようなことが行われていたケースは結構ありました。

販売期限切れ商品を値引きして売る加盟店

今回ご紹介するのは、チェーン加盟から約20年以上にわたって地域密着型の店舗として愛されていた、とある店舗のケース。

この店の本部側から見た問題点は、加盟店主であるオーナーが店にあまりいない点でした。店舗オペレーションはアルバイトで一番勤務歴が長い60才超えの女性にまかせっきり。オーナーがお店に来るのは月に一度程度だったそうです。

FC加盟店の経営は本部とは独立したものであるため、オーナーが店に出てこないといっても、それに関しては口出しは出来ません。

ただ、チェーンとして行っている取組みを無視したりすることは許されませんし、当然ですが加盟店として守るべきルールに違反することも許されません。

実はこの店舗では、「販売期限切れ」の商品を「賞味期限切れ」前まで販売を継続するという、明らかなルール違反を犯していたとのこと。

近隣の店舗に勤務しているパート主婦が、「ねぇねぇ、あのお店。夜になるとパンが値引きされてるみたいですよ」と、そのエリアを担当する社員にこっそり教えたのがきっかけで、そのことが明るみになったそうです。

問題のある加盟店の真ん前に…

FC本部としてもこれは見逃せない事態なので、さっそく実態調査として深夜時間帯にその店を訪店し、販売期限切れの商品が値引き販売されている事実を確認。

証拠の写真を撮影したうえで、その翌日に加盟店オーナーに連絡をし、販売期限を過ぎた商品を販売することはルール違反である旨を伝えたそうです(商品の値引き販売に関しては、価格決定権は加盟店オーナーが持っているため、本部側としてはダメとは言えないのです)。

その場では、「守ります」「申し訳ない」と約束したというオーナー。

しかし後日、本部の担当者がお店に行き、店舗オペレーションの責任者に確認したところ、依然オーナーからは「販売期限は守らなくて良い」という指示が出ていて、実際に深夜時間帯になると、販売期限切れ商品が値引き販売されていたそうです。

そこで本部側は再度申し入れを行い、「三度目はない」と通告。しかし、その場で加盟店オーナーが逆ギレしてしまい、ついに対話が決裂してしまいました。

その後、にわかに持ち上がったのが「新規出店」の計画でした。出店予定地は偶然にも問題の店舗と道路を隔てた反対側。しかも大きな駐車場も備えられる、かなり広めの土地だったそうです。

同じ商圏内に同チェーンの新規店舗が開業すると、既存の店舗は売上が30%近く落ちると言われています。その後、新店舗が計画通りオープンすると、元からあった店舗はたちまち苦しくなり、その約半年後にあえなく廃業となってしまったそうです。

文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで:u2_gnr_1025@yahoo.co.jp

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