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企業がせっかく人を採用しても、3年以内に3割以上の若者が辞める(出典:厚生労働省・学歴別卒業後3年以内離職率の推移)という話はたびたびニュースでも取り上げられてきた。

こうした現状に対し、「3年で会社を辞めるなんてけしからん」「転職先では給与は下がるものだから、すぐに転職しないほうがよい」という批判の声をよく耳にする。

だが、なかには新卒入社から3年以内で転職したにもかかわらず「給与」という側面では成功している者も存在する。

事実、厚生労働省の調査によると、20~24歳で転職した若者のうち45%が賃金増加を達成しており、特に近年では、就職市場が売り手市場になっていることもまた、その追い風となっているようだ。

では、20代前半の転職で給与アップするためにはどうしたら良いのだろうか。実際に転職先で給与アップに成功した3人の話からその秘訣を探っていこう。

◆東証一部上場のSEからジャスダック上場のWeb会社営業職へ

年収:350万円(転職前)→500万円(転職後)

江藤麻理恵さん(仮名・26歳・女性・明治大学卒・岐阜県出身)は明治大学の商学部を卒業後、新卒採用で東証一部上場の大手システム会社のSEとして就職したものの仕事内容が合わず、本人の希望により1年ほどで同じ会社の営業部へ異動した。

女性の営業が少ない業界だったこともあり、人当たりが良く愛嬌のある江藤さんは取引先から可愛がられ、次々と契約を重ねるまでに成長。

しかし、それが原因でストレスを感じるようになった。そして、ここが転機となった。

「私の営業成績はほぼ毎月トップだったのですが、会社が年功序列で営業成績に連動するインセンティブもありませんでした。だから、やる気のない社員も多かった。自分はこんなに稼いでいるのに、仕事ができない先輩たちのほうが給与が高いと思うと虚しくなってしまって」

結局、彼女は業務自体に不満はないものの、会社の体質への不満と、モチベーションの低いチームから抜け出したいという要望から転職活動を開始。

わずか2週間で急成長中のWeb会社に内定をもらい、月給は額面25万円から31万円にアップした。がんばった分だけインセンティブが入るボーナスを含めると年収は500万円弱となった。

「SEの基本知識と営業職での実績という二本柱がWeb会社で働く上で強みになったんだと思います。前の会社に比べて社員数は少ないし、保養所など福利厚生も充実していませんが、モチベーションが高いメンバーと仕事ができることが嬉しいです。インセンティブもあるので、頑張った分だけ年収に反映されるのも大きいですね」

◆近しいが異なる業界で年収2倍に

年収:230万円(転職前)→560万円(転職後)

大学時代にバックパッカーをしていたこともあり、2年留年して社会に出た市原隆一さん(仮名・27歳・男性・早稲田大学卒・埼玉県出身)。佐藤さんが新卒で入ったのは、社員数20人ほどの編集プロダクションだった。

月給は手取り16万9千円。大学時代から住んでいる早稲田のボロアパートから職場のある千代田区まで歩いて通う生活を1年半続けた。

市原さんが携わった仕事は紙媒体が中心で、大手版元のムック本や企業のパンフレット、男性向け週刊誌などと多岐にわたった。社員数が少ないため、ジャンルを問わず取材をし、ライティングと編集まで一人で行うというブラックな職場だった。

「元々貧乏旅行が好きなタイプだし、お金のかからない生活をしていたので就職時は年収を気にしませんでした。本が好きだし、まあここでいっか、といったかんじ。でも、あっという間にアラサーに差し掛かってしまい、将来を考えると急に稼ぎのことが気になってきたんです」

そんな時、たまたま参加したマスコミ業界関係の飲み会で知り合ったのが、大手IT企業のWebメディアの編集長をしていた36歳の男性だった。

「自分の今の状況を正直に話したところ、うちに来ないかと言われました。大手企業なので待遇はいいのかなと思ったのですが、それが予想以上でした」

なんと、提示された給与は月給40万円(額面)。なぜここまで給与が上がったのか。

「昨年のDeNAによるWELQ(ウェルク)の問題により、Web業界では質の高いライターと編集者の取り合いが起きていたようです。体当たり取材もこなし、あらゆる分野でライティングと編集をしてきた自分の実績が役に立ちました。ちょうど退職者が出たようで人材不足で、来月までに穴を埋めなくてはいけないという環境的な理由もあったとは思いますが…」

こうして市原さんは、前職の2倍以上の給与条件で転職。勝因は、紙媒体からWeb媒体という近しいが異なる業界において、人材不足が起きているタイミングで飛び込めたという点だった。

◆イベント会社から大手映像会社へ転職成功。なぜ?

中井有香さん(仮名・25歳・女性・日本女子大学卒・東京都出身)も、転職先の業界ニーズにマッチしたことで年収が上がった一人だ。

中井さんは学生時代、女子大特有のキラキラした雰囲気に馴染めず、サークルやゼミにもほとんど顔を出さない4年間を過ごした。

そのため就職活動で語れるエピソードもなく、キャリアセンターの求人欄に掲載されていた資本金2000万円のイベント会社にエントリー。すぐに内定を勝ち取った。同期はゼロ。新卒で採用されたのは中井さんだけだった。

「手取りは月給18万円ほどです。やりたいことも特になかったのでここでいいやと思っていました。でも、就職してから仕事の楽しさに目覚めたんです」

実家暮らしということもあり、アルバイト経験もほぼ皆無だった彼女だが、働き始めてみると自分が仕事に没頭できるタイプだと気付く。

会社は、ある特殊な業界に特化したイベントの企画・運営で業績を伸ばしており、競合も少ない。責任のある仕事も任され、仕事への熱もますます高まった。

しかし、3年目を迎える春に転機が訪れる。

「同級生に誘われた飲み会に、たまたま大手広告代理店の人がいたんです。彼らの給与水準の高さやグローバルな仕事の話を聞いて、急に自分との間に差を感じました。新卒採用の時は、生きる世界も狭かったし、仕事の面白さを知らなかったけど、2年間仕事をしてみて、自分ももっと広い世界に挑戦してしっかり稼いでみたいと思うようになったんです」

すぐに転職サイトに登録したものの、キャリアコンサルトからは、業務が特殊であるため大幅な年収アップや大企業への転職は期待できないと言われた。

しかし最終的に彼女が内定を得たのは、誰もが知る大手の映像制作会社。どこが採用のポイントとなったのか。

「最近は映像制作会社も、単に映像を扱うだけではなく、他者と協業してリアル集客にも力を入れる必要があったようです。私が培ってきたイベント集客のノウハウやコツをとても気に入ってくださり、まさかの内定を貰ってしまいました」

現職に内定先を告げたところ、上司にも驚かれたという。給与は、年収で約100万円アップ。先に紹介した佐藤さんの事例も同様だが、大手企業でもピンポイントで具体的なニーズと合致すれば、内定を貰える可能性が高まる。

「とにかく、今の仕事をがんばっていると、会社の給料は上がらなくても、他社からは高い報酬で採用してくれると思いますよ」(中井さん)

20代の転職においては、在職期間が短いぶん、現職への貢献度や実績をアピールするのにも限界がある。特定のスキルを必要としてる企業や業界をうまく見つけることが、転職での大幅年収アップの秘訣のようだ。

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