米・オハイオ州在住のキャシー・ディヴィンチェンツォさんは、もうすぐ4ヶ月になる男の子と3歳の女の子の母親です。キャシーさんのSNSには、子育てに追われながらも、可愛い二人の子供に囲まれた幸せ溢れる毎日が投稿されていました。

しかし、現実のキャッシーさんが暮らしているのは、写真の中のようなキラキラとした世界だけではありませんでした。投稿される写真とは全くかけ離れた、まるで光の見えない暗闇の中で暮らしているような日もあったのです。

キャシーさんは、そんな自分の本当の日常を思い切って公開しようと思い立ち、友人である写真家のキャシー・ディビンセンゾさんに頼んで、ある写真を撮影してもらいました。

「本当はどちらの写真も公開したくなかった」

公開された1枚は、綺麗に片付いた部屋でいつものように満ち足りた表情で子供との時間を過ごすキャシーさんの姿が写ったものでした。そしてもう1枚には、散らかった部屋の中で、ヘアメイクもなく服装もみだれたまま、虚ろな表情で座り込むキャシーさんの姿がありました。

実はキャシーさんは、産後うつを患い、日によって違う自分の状態に対応しきれずに辛い日々を送っていたのです。

「頭のおかしな母親と思われるが嫌だった」

キャシーさんは、その写真に添えて「狂ってると思われる事、自分が母親として失格だと思われることが恐ろしかった」と綴りました。

「まさにSNS的な」穏やかな気持ちでいられる日もありました。しかし、そうでない日でも、自分の中の暗闇が公になることへの大きな不安から、SNSには笑顔の子供たちの写真を投稿し続けていたのです。

けれどある日、ふとこう思ったのだそうです。「私の投稿する写真が、産後うつに苦しんでいる母親たちを追い詰めているのではないだろうか。私が、今の本当の状況を公開することで救われる母親がいるのではないか」

産後うつと戦っている時は、まさにその症状を人に知られないようにするということが大きな苦しみとなります。そんな人たちが、今の自分の姿を見て勇気をもつことができるかもしれない…。

そしてこの写真をFacebookに公開する事に決めたのです。

「誰かに話すことが重要なの」

APAの統計によりますと、米国では母親の7人に1人は産後に大きな不安やうつ症状で苦しんでいるといいます。そしてそれを誰にも言えないことが、さらにその苦しみを助長しているのです。

この写真は、5月2日にキャシーさんのFacebookで公開され、10日現在4万7千のいいねがつき、7万を超えてシェアされています。また、写真を撮ったダニエル・ファンティスさんのSNSにも投稿され、更に多くの人々がこの投稿に心動かされ、世界中でシェアされ続けています。

「私も同じ。自分のことかと思って泣いてしまったわ」

「勇気を出してこの写真をシェアしてくれてありがとう」


「赤ちゃんができるって聞いた時は幸せいっぱいの日々が待ってると思ったけど、実際はそうじゃなかった。そのギャップでより苦しくなってしまった。この写真は、多くの母親に助けを求める勇気を与えてくれたはずよ。ありがとう」

「自分の子供の顔をみることもできなくなった時があるの。母親失格だと思って、耐えられなかった。私はこの苦しみを誰にも言えず、2人目の子供を持つ事を諦めてしまったの。あの時に、ちゃんと助けを求めればよかった」


「先日、妻が子供を生んだんだ。母親である妻をもっとサポートしなくてはって思ったよ」

日本でも「母親神話」のようなものがあり、子育てにおいて精神的な不安定さや苦しみがある事を、否定的に見る人もいます。しかしそれらは、母親の子供への愛情の大きさや深さとは全く関係ありませんし、母親として失格なわけでもありません。キャシーさんは、投稿した写真に添えてこう綴っています。

「今、この苦しみの中にいる時に、この写真を投稿することに意味があると思ったんです。一番大切なのは誰かの助けを求めること。けれど、苦しんでいる母親にとって、それが一番難しい事でもあるんです

「産後うつは、1人目の時だけではありません、2人目だったり、20人目の時に起こるかもしれません。そして家族や友人、その誰でも産後うつになりえるという事を知って下さい。あなたの周りにも、この問題を抱えて誰にも言えずにいる人がいるかもしれません。それに気付いてあげて下さい


そして、写真のコメントの最後に、キャシーさんは子育て中の母親に向けてこう書いています。

「あなたは素晴らしい仕事をしているし、愛されてて価値があるの。そしてなにより、あなたは決して一人じゃないわ」

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