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大手企業を中心とした新卒採用の選考活動が解禁となった。そろそろ選考が進み、面接が始まる時期ではないだろうか。

面接を受けるとなれば、合否が人生を左右しかねないため、その緊張は相当なもの。フレンドリーに会話をしてくれるところに当たれば幸いだが、運悪く「圧迫面接」に遭遇してしまうこともある。

圧迫面接とは、わざと面接官が意地悪な質問を投げかけることで志望者のストレス耐性などを見るとも言われる方法。その響きを聞くだけでも胃が痛くなってしまいそうだ…。

では、就活の先輩たちは圧迫面接をどのようにくぐり抜けてきたのだろうか。今回は、実際に新卒入社や転職活動の際に圧迫面接の地獄を経験したことのある20代の社会人を取材。その様子を詳しく教えてもらった。

◆ケース1. いきなりアドリブでプレゼンさせられる

紙媒体の広告代理店からWebの世界へ転職を試みたAさん(29歳・男性)の例を見てみよう。面接先は、IT系のマーケティング会社で、Webサイトの制作などを担当する部署だった。

IT系のベンチャーということで面接官もまだ30代前半(推定)。Aさんとそこまで変わらない年齢に見えたという。だが、若くして成功をおさめたからなのか、漂うオーラは自信に満ちあふれていた。

その面接内容は、いきなりクライアントの特徴を指定され、どういったサイトを作るのか、アドリブでプレゼンさせられるというもの。

「街のメガネ屋さんのサイトを作るとしよう。だが、このクライアントは同業他社に比べて、価格も質もすべて負けてしまっている。君ならどのように突破口をひらく?」

現在、Web上には大小様々なサイトが日々新しく誕生している。だが、そのほとんどは似たようなもので、差別化が非常に難しいところではある。

Aさんは頭をフル回転させ、これまでの広告のキャリアを思い返してみた。だが、本当に“すべて”の条件が劣っているとは考えにくい。密にヒアリングを行うことで、なにかしら勝ち目が出てくるものだ。

そこで念のため、「本当にすべてが劣っているのですか?」と聞いてみる。

面接官は少し考えた素振りを見せたのち、「そうですね」と返す。それならば、と。Aさんはサイトのビジュアルをとにかくぶっ飛んだものにすることを提案した。すかさず面接官が突っ込む。

「それで、たとえば?」

「たとえば…」

もちろん、たった今言われたばかりのクライアント像である。その場で考えるしかない。Aさんは前日に観たバラエティ番組を思い浮かべ、「TKO木下のコントで“しゃべれるようになったオモチャ”がメガネを欲しがっているイメージ」をホワイトボードを使って提案した。

Aさんにとっては、咄嗟に出た渾身のネタである。ふざけているわけではない。大マジメにやるからこそ、面白いと確信していた。

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だが、面接官はクスリとも笑わず、無表情にこう言い放った。

「それで…?」

さすがにAさんも閉口するしかない。沈黙の時間が重苦しい。そして約1分後、面接官が勝ち誇ったように言う。

「はい、時間切れ。たしかに、ビジュアルで押すのは紙媒体の広告ならアリかもしれません。ですが、Webの世界ではビジュアルでは検索にかかりません。大手クライアントが奇をてらってやるならまだしも、街のメガネ屋さんだからね。意味不明です」

では、面接官の正解とはなんだったのだろう。

「価格も質も負けている、と言いました。でも、じつは別売りのレンズの値段だけは同業他社よりわずかながらに安かったのです」

「…(そ、そんなん知らんがな!)」

「うちならば、そこを全面にプッシュして作ります。もしもクライアントが提案を拒んだら、こちらから仕事を断りますね。それだけ私たちは、自分たちのノウハウにプライドをもっているのです」

選考結果は、不採用。圧迫面接だった挙句、不採用というのでは、たまったものではない。とはいえ、Aさんは面接を受けた会社がなかなか強引なやり方でビジネスをしていることがわかり、むしろ今では不採用で良かったと感じているそうだ。

◆ケース2. 恋愛観をしつこく聞かれる

アパレル企業へ新卒で入社したBさん(25歳・男性)が就職活動中に遭遇したのは、「恋人」に関する圧迫面接だ。

「中小企業のメーカーの役員面接で聞かれたのが、『恋人の有無』でした。会社への志望度や、他社の選考状況などを聞かれると思って構えていたので、正直拍子抜けしましたね」

素直に、「今はいません」と答えると、面接官から真顔で「いつからいないのか」「気になる女性はいないのか」「いるなら何故アプローチしないのか」などプライベートな恋愛事情を矢継ぎ早に詰問されたという。

Bさんは、面接官が場の雰囲気をなごますためにジョークで言っているのだろうと受け取っていたが、恋愛事情に関するツッコミは10分以上続いたという。ウンザリしていたところ、極め付きはこうだ。

「君になぜ恋人がいないのかわかる?」

「…(そ、そんなん知らんがな!)」※本記事で2度目!

果たして、それに対する面接官の答えとは。

「情熱が足りないんだよね。仕事も同じでしょ」

そのとき、心のなかでは仕事と恋愛は別だと思ったそうだが、何も言えず…。結局ナゾの説教をされて面接は終わった。Bさんはひどく傷ついたという。

志望動機や自己PRではなく、個人的な事情ばかり聞かれたことに違和感を覚え、知人に相談してみたところ、「プライベートなことを根掘り葉掘り聞くのは立派なパワハラで、立派な圧迫面接だ。100%ブラック企業だから、内定をもらっても辞退したほうがいい」とアドバイスをされたそうだ。

この企業からはどういうわけか内定通知をもらったそうだが、友人の助言通り辞退したとのこと。そして、Bさんは圧迫面接のなかった現在の企業へ就職することに決めた。

◆就活生の間では、圧迫面接=ブラック企業が常識になっている

そのほか、転職活動で出版社を受けた際、延々と現職を否定されたり、ガス会社の事務職の面接なのに、「お世話になっております!」と大声で叫ばされた挙げ句、「声が小さい!!」と体育会系の部活さながらに怒られる、といった圧迫面接を経験した人もいた。

面接を控えている就活生や転職希望者に、これらの情報は少々酷かもしれない。しかし、今回取材した中で多かった意見は、「最近、圧迫面接をする企業は減ってきている」というものだった。

その背景にはネットの普及がある。企業側は、SNSに「◎◎社に圧迫面接をされた」と投稿され、マイナスイメージが広がってしまうことを恐れているのだ。

圧迫面接を受けたとき、「録音しているんで」と逆にプレッシャーをかけ、その場で謝罪させたというケースも話題になった。

就職活動を1年前に終えたばかりの新卒社会人にも取材してみたが、「大手ほど圧迫面接などの悪い噂を聞かない」との声があがっていた。いまの時代、圧迫面接はもう古い?

【三崎りの】

レースクイーンをする傍ら、フリーライターとしても活動。「日刊SPA!」「週プレNEWS」などで執筆中。ミス東スポ2017ファイナリスト。

Twitter:@neneeeeee_cha

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