最近ネットでドラマに関する話題をチェックすると、目立つのが“怪演”の二文字。かいえん、怪演。辞書を引くと「不気味でありながら、奇妙な魅力のある演技」と出てきます。

ドラマ鑑賞にも共感が求められるこの時代に、あえて怪演が人気を博すのはなぜなのでしょうか?

【ドラマヒットのカギを握る“怪演”を知るための3つのポイント】

1. 菜々緒と木村佳乃が怪演ブームの火付け役に
2. 怪演の総本山に君臨する水野美紀
3. 震える声が本気でヤバい『あなそれ』の東出昌大

『サイレーン』の菜々緒、『僕のヤバい妻』の木村佳乃が火付け役に

2014年放送『ファーストクラス(フジテレビ系列)』で悪女役のイメージが定着した菜々緒が翌年挑んだのは『サイレーン(関西テレビ系列)』の橘カラ役。猟奇殺人事件の裏で暗躍するサイコパスとも言える女性を演じて話題になりました。最終回近くの放送で、何度倒されても蘇ってくる姿はまるでジェイソンのようでした。

そして2016年放送の『僕のヤバい妻(関西テレビ系列)』でも木村佳乃がやってくれました。木村演じる望月真里亞が周囲の人間を巻き込んで、猟奇的に愛している浮気中の夫を自分のところへ取り戻すストーリーでした。

「ねえ、幸平〜!」と、迫ってくる様子が忘れられません。前出の菜々緒が片っ端から人を殺して行ったことに対峙するように、誰も殺めることのなかった木村。笑顔で人をビビらせるとは天晴れの一言。

怪演の総本山に君臨する水野美紀

出典 http://www.tv-asahi.co.jp

『奪い愛、冬』公式HPより

「ここにいるよ〜」このセリフを覚えている人も多いはず。2016年冬、視聴者の間に戦慄が走りました。大映ドラマのようなドロドロ恋愛劇を描いた『奪い愛、冬(テレビ朝日系列)』で水野美紀が演じたトラウマレベルの怪演に多くの人がある意味、虜になってしまったのです。

夫を愛するがゆえの妻・蘭役の奇行の数々は全てが想像の範疇を超えてしまうものの連続。夫の不倫現場を抑え込もうとしてクローゼットに隠れてみたり、「三つ子をはらませてえええええええ!!!」と衝撃発言を交えながらセックス中に喘いだり、瞳孔をグッと開いて迫ってくる様子…あれはもう獣の目でしたね。

思えばヒロイン&ヒーローだったはずの2人(倉科カナ、大谷亮平)が霞んで見えてくるほど、他の出演者も怪演を披露。三浦翔平がいい感じに狂っていたんですが、怪演者の総本山・水野には敵わなかった、というところでしょうか。あのドラマは後世に残したいほど面白かったので、密かに続編を期待しています。信の子どもを妊娠した蘭さんの子育てぶりを見てみたい…(ブツブツ)。

震える声が本気でヤバい『あなそれ』の東出昌大

出典 http://www.tbs.co.jp

『あなたのことはそれほど』公式HPより

現在放送中のドラマ『あなたのことはそれほど(TBS系列)』でじわじわと怪演者の頭角を現し始めているのが、主人公・渡辺美都(波瑠)の夫・涼太を演じている東出昌大です。

勤勉で料理が得意な愛妻家。でも妻の浮気に気づいてしまった瞬間からレッツ、豹変スタート! 瞬きもせずに妻のスマホを盗み見、決定的な証拠を発見しながらも口にはせず、妻の前では笑顔。そして食卓の下で拳を握りしめるのです。まだ怪演は序盤ですが、これから彼の愛はおかしな形でエスカレートしていくのだろうと、スナイパー小林予測。

1992年に放送されたドラマ『ずっとあなたが好きだった』に登場したキャラクターを重ね合わせ「冬彦さんの再来か」などと世間では騒がれていますが、マザコンでもストーカーでもない新たな歪んだ愛情を期待できるのではないのでしょうか。ちなみに私が注目しているのは、彼特有の震える声。妻の異変に気付くと震えだす涼介の声。そこからストーリーが動きはじめているのです…。

おわりに

今クールのドラマはそれだけではありません。他にも怪演を匂わせているのが『母になる(日本テレビ系列)』小池栄子。8年間我が子として育ててしまった少年への愛情が狂い咲きしそうなんですよね。小池姉さん、やっちゃって!

それから『リバース(TBS系列)』に村井隆明(三浦貴大)の妻役で出演中の趣里も見逃せません。怪演には付き物になりましたが、夫のゲス不倫を着火剤にして壊れていきます。さあ、今クールは他にどんな怪物が飛び出してくるのでしょうか。

ここで狂った原因を並べてみて気づきました。不倫の匂いがしたらそれはもう怪演のサインなのかもしれません…。

【文/スナイパー小林】

出版社2社で女性ファッション雑誌、情報誌の編集部員を経て、まんまとフリーランスのライターに。すぐに会話へ取り込めるエンタメ記事と、心を少しだけ動かす読み物を得意です。テレビドラマを20年近く愛していたらいつの間にかドラマ評の仕事も舞い込むようになった幸せ者。 静岡県浜松市出身。目指せ、一流のノマドワーカーが最近の口癖。ツイッターは@hisano_k

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