長谷川豊です。

4月17日のネットニュースにこんな記事が出ました。朝日新聞デジタルさんの記事です。

北朝鮮のニュースも大切ですが、私はこの記事はとても大切な話が多く含まれていると感じています。

記事内では「回答者の7割以上が持つ物を『必需品』とし、それを持つ生活を『普通の生活』と定義」したと記されていますが、この定義に違和感はありません。この感覚で大体いいのではないでしょうか?

調査対象は3000人。回答者たちのよく使うお店での価格調査なども行っています。

丁寧な調査の結果のためでしょうか。非常に手触り感のあるニュースに仕上がっていて、今の日本社会が抱える様々な問題の根本が垣間見えるような気がします。

30代は年収600万円でようやく「人並み」

記事では最初に30代のモデル夫婦の例を挙げています。こんな感じです。

【30代夫婦で小学生と幼稚園児】さいたま市郊外で月5万5千円の賃貸住宅(2LDK、約43平米)で暮らす1カ月の生活費は▽食費約10万8千円▽交通・通信費約3万8千円▽教育費約2万7千円などの計約43万円となった。

出典朝日新聞デジタルより

洗濯機や家具は耐用年数で割り算して月額を算出するなど、かなり信ぴょう性のあるデータです。

むしろ、「埼玉郊外で子供2人を抱えて、43平米の家賃5万5千円はむしろ狭い住宅では…」とすら考えてしまいますが、そのデータであったとしても、月収50万円=600万円なければ…そもそも「人並みの生活」ができない様子が浮かび上がってきています。

忘れてはいけないことは、この「人並みの生活」をしている間、年収600万円では「貯金ができない」という事実です。あくまで「人並みの生活」までの話なので。

50代になるとさらに壊滅的な格差が

では40代と50代はどうでしょうか?

【40代で中学生と小学生】30代より食費と教育費がそれぞれ約1万円増える一方、教養娯楽費は約1万3千円減るなどした結果、額面の月収は約54万円(年収約647万円)が必要。平均の485万円との差は少し縮まる。

【50代で大学生と高校生】東京の私大に通わせる前提で▽教育費が40代よりも約9万円多い約13万円▽交通・通信費も同1万1千円多い約5万円と大きく増える。教養娯楽費を30代より1万7千円余り少ない約2万8千円に抑えるが、全体の支出は約58万円で、税などを加えた額面は約68万円(年収約821万円)と、平均の545万円を276万円上回る。

出典朝日新聞デジタルより

こうしてみると、40代はまだマシとはいえ、50代になり子供が大学に行き始めると壊滅的な格差が生じ始めていることが分かります。

「人並みの生活」を送るためには、そもそも「年収821万円」が必要となり、実際の日本平均の545万円を276万円も上回っています。ここまで来ると…もうどうしようもない差です。

結婚“しない”ではなく、結婚“できない”若者たち

このニュース、私はとても大切なものが分かる記事だと分析しています。

今の日本は「少子化だ~」「経済が成長しない~」「北朝鮮が~」色々と言われているのですが、そもそも現場レベルの方々はそんなこと気にしていないと思うのです。

「日本が少子化だし、よ~し!じゃあ子供4人産むぞ!」

って発想になるはずがない。

少子化とかは本当にどうでもよくて、まずは私たちは「自分たちの生活が第一」じゃないでしょうか?経済がどうとか、全然興味ないと思います。

では、その「実際の生活レベル」で見たら…って言うのがこの記事。

そうです。

今の日本、あまりにも…「給料が安い」のです。手元に入ってくるお金が、あまりにも少ないのです。ここが本来の問題。特に「子育て世代」と言われる世代は、お金がいくらあっても足りないのです。その「最も大事な世代」に対してお金が全然投下できていないことが分かります。

あのね、実際の年収と人並みの生活をするための年収に200万近くの開きがあって…子供がどうのとか言う前に…そもそも結婚できますかね?

無理でしょ。

今の若者が結婚しない?

違いますって。物理的に不可能なだけなんです。

50代になったら平均が545万円。でも、そもそも「人並みの生活」は年収821万円必要な訳です。276万円足りない。

そんなもん、子供を大学になんて通わせられないですってば。そんな状況で誰が子供を無責任に産もうと考えます?

日本が「少子化」?
日本の「経済が成長しない」?

バカ言っちゃあいけない。せめて平均的な生活くらいさせてあげれば、日本なんて幾らでも回復できるんです。少子化も改善できるし経済だってどんどん回ります。

じゃあそれを何が止めてるんですかって話。

高齢者ばかりがお金をため込んでいる事実

少し古いデータなのですが、総務省が発表した「全国消費実態調査」という調査がありました。その時に衝撃のデータが明らかになりました。

高齢者夫婦世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの世帯)の平均住宅・宅地資産額は、3588万円であり、資産5000万円以上の高齢者世帯は日本全体の高齢者に対して…17%もいるということが分かったのです。

5000万円ですよ?資産だけで!

皆さん、貯金通帳に5000万円あったら何します?

高齢者は「老後が~」「年金が少ないし~」と言いながら通帳に5000万円以上そのまま使わずにほったらかしにしているんです。

私たち若者世代だって、老後が心配なことくらい一緒じゃないですか?みんな年金がもらえないことくらい分かっていますよ。

でも、貯金も全然ないですよ?生きるのに必死だから。生活のために使わなければいけないから。

ここなのです。

日本の大きな大きな問題点の根本です。

「血液の流れ」が止まっている今の日本

よく言われることですが、資本主義社会における経済=お金の流れって、人間の体で言えば血液の流れと一緒なんです。お金を動かし続けないと、身体は硬直しちゃうんです。

日本は「消費意欲」の減退している高齢者世帯にお金が偏りすぎているんです。これがあまりにも度を越した数値で固まっているんです。

なぜか?簡単です。

高齢者は、自民党の「大票田(多くの得票を見込める母集団)」だからです。

日本は、あまりにも長く自民党政権が続いています。

そして、高齢者はあまりにも選挙にしっかりと行ってくれるのです。時間があるからでもあるでしょう。

その高齢者を敵に回したらどうなるでしょうか?

政治家の先生方が必死になって守っている議員バッジが失われてしまうのです。大切な大切な議員利権が失われてしまうのです。

自分自身、選挙に挑戦することになって一番多くアドバイスを受けるのが「選挙に勝つためには高齢者を味方につけろ」ということ。

駅頭に立って挨拶するだけではなく、マメにゲートボール場などを回って握手をし続けろ、と。握手さえしていれば、老人たちが票を入れてくれるぞ、と。

そんなことばかり助言されるのですが…なんだか私には違和感があるのです。

もう今の日本は高度経済成長時代じゃないんです。

高齢者の方々にとって耳の痛い政策も取っていかなければいけない時代になっているはずなんです。そうでなければ、若者たちの将来がどんどん苦しくなっていく時代のはずです。

本当に資産1億円以上持っている高齢者世帯に、若者から徴収した年金を支払う必要ってあるのでしょうか?そんなかなり厳しい論調の意見も、今後は戦わせていく必要があるのかもしれません。

高齢者のための政治。置いてけぼりの若者たち。

これこそが日本の、最大のガンなのではないかと思っています。

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モノ申すフリーアナウンサーとして、テレビ・雑誌・講演と幅広い分野で活躍中。特に多くの取材経験からニュースを多角的な視点で見る文章に定評がある。現在は執筆や講演会など多方面で活躍中。

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