とあるラジオ番組で紹介された、とある弁当屋に現れた理不尽なクレーマーからの要求。

無料メルマガ『幸せを呼ぶ!クレーム対応術』では、件の店主のその対応について「大きな間違いを2つも犯している」として、すべての職種に共通する、経営者に伝えたい「正しいクレーム対応術」を紹介しています。

サービスのふりかけをタダであげてはいけない理由

埼玉県には、FMナックファイブという、ラジオ放送局があります。ここでは、月曜から木曜の13時から「GOGOMONZ」という、帯番組を放送しています。

パーソナリティは、三遊亭鬼丸さん。毎日、ちょっとネガティブなお題に沿った、リスナーの投稿を、面白おかしく伝えてくれる番組です。

ここで、先日募集されたお題に、人生の「腰の曲げ方90度」シリーズ。「『腑に落ちない』『納得いかない』『なんかモヤモヤ謝罪の記憶」というものがありました。一件、気になった投稿をわたしの記憶をたどり、皆さんにも、お伝えします。

何年も前に、お弁当屋さんでバイトしていた、あるリスナーからの投稿です。そのお弁当屋さんでは、購入された人へのサービスで、ふりかけを無料でつけていたそうです。

あるとき、年配の男性が、ふりかけをくれと言ってきます。リスナーは、「購入者へのサービスなので、何も買わない人にはあげられない」と、いたってまともに断ります。

ところが、この年配の男性は、「わかってる。だからこれを持ってきた」と言い、なんと「タッパーに詰めた白ご飯」を、リスナーに見せてきたのです。「?」となるリスナー。

そこに、「いいか?確かに、お前らだけ、ふりかけを負担するのはおかしい。だから、俺は自腹を切ってご飯を用意した。ご飯の分は俺のマイナス、ふりかけはお前らのマイナス。これでどっちもマイナスだ」という年配の男性。

さらに「???」となるリスナー。

理解不能な最凶のクレーマーに、店長はどう応じたか

年配の男性はいらだったように、「お前らだけが損するわけじゃないんだからいいだろう?ほら、ご飯が冷める前に、はやくふりかけをよこせ」と言い放ちます。

ここで我に返ったリスナーは、「いや、うちでは何も買っていないので、ふりかけは差し上げられません」と断りますが、「何してるんだ、飯が冷めるだろう。いいから早くよこせ!」と年配の男性は一歩も引きません。

そこに、不穏な空気を察して、裏から出てきた店長。事情を理解すると同時に、なんと、こう言ったんだそうです。「申し訳ございませんでした。ふりかけはどうかお持ちください」。さらに、「ほら、●●君もお詫びして」。

この投稿を受けてパーソナリティの三遊亭鬼丸さんは、「今、世にはびこるクレーマーは、面倒ごとから早く逃れたい、穏便に丸く収めたいという、店側の『事なかれ主義』によって、これでいいんじゃないかと、調子に乗ってしまった結果、増えたのではないか」と言った趣旨のコメントしていました。

わたしも、このコメントに、おおむね賛成です。

ところで、読者さまは、この弁当屋の店長が犯した、とても大きな間違いが、わかりますか?

1. 経営方針をぶれさせた
2. スタッフを理不尽な要求に屈させてしまった

この2つです。

1. 「経営方針をぶれさせた」

「ふりかけ無料」は、店の経営方針として、「購入者へのサービス」だったはずです。ところが、店長はこれを破り、ただの無料にしてしまいました。

たった一度でも、買わなくてもあげたなら、そちらにあわせるしか、ありません。もし、この後も、「ふりかけ」サービスを続けたいなら、「だれでも無料にするべきなのです。それがコスト的に無理なら、やめてしまうしかないでしょう。

小さく見えることであっても、一度経営方針にぶれが出ると、大きな会社でも危なくなります。たとえば三菱自動車は、2000年、2004年と立て続けに「リコール隠し」が発覚し、経営危機に直面しました。

そこで懲りず、昨年4月には、軽自動車の燃費データを不正に改ざんしていたことがバレてしまいます。

三菱自動車には、「所期奉公」「処事光明」「立業貿易」というとても立派な三綱領が、基本理念として掲げられています。

さらに、リコール発覚前の、2000年当時の社是には、

一、誠実を旨とし、和を重んじて公私の別を明らかにする。

出典 http://www.mag2.com

という一文もありました。「処事光明」「誠実を旨」という経営方針がぶれたのです。

もし、読者さまが経営者なら、どうかご注意ください。もし、従業員なら、経営方針のぶれに気づいたら、上司に指摘できますか?指摘できたとしても、それを言われた人の、その後の態度が悪かったら、三菱自動車のようになる、兆候かもしれませんよ。

2. 「スタッフを理不尽な要求に屈させてしまった」

読者さまの中にも、理不尽な要求をのまされた経験がある方は、少なくないでしょう。一度でも経験すると、リスナーさんのように、何年も消化できず、気持ちが悪い記憶となって、残ってしまうものです。

わたしは、悪いことはできるだけ忘れるように、しています。しかし、それでも、理不尽に屈服させられた記憶は、忘れられません。

頭を下げた相手にではなく、自分に理不尽を強いた上司や店長経営者層に対して、恨みや憎しみに似た、ネガティブな感情が、残っているのです。

理不尽を強いられると、まず、仕事に向かう気持ち、やる気、会社や組織に貢献している自覚、組織に対する一体感が失われ、気持ちが「折れて」しまいます。

さらに、一度気持ちが折れた人は、ミスが増えたり、ほかのクレームを誘発したり、他のスタッフに事情を話して、離職率が上がる結果になったりと、良いことは一つもありません

では、このケースの場合、どのように対応するのが、良かったのでしょうか。

たしかに、断り続ければ、ほかのお客さまの注文や会計の、迷惑になる可能性がありますね。また、こんなことくらいで、警察を呼ぶのも、はばかられます。

おそらくは、やはりタダでふりかけをあげて、おとなしく帰ってもらうのが落としどころになるのでしょう。ただし、その時は、必ず店長が対応し、言い方にもポイントがあります。対応例です。

このふりかけは、お客さまへのサービスですが、あなたはお金を払っていないので、お客さまではありません。いいですか?あげられないとことわった、●●君は間違えてないんですよ。

今回だけは、ご飯がもったいないので、ふりかけをあげますが、次来ても、絶対にあげませんからね。約束してくださいね。

出典 http://www.mag2.com

こう言っていれば、スタッフであるこのリスナーは、当時の店長に対して、何十年もネガティブな想いを抱かずに、済んだはずです。

「困ったおじいさんでしたね」「そうだね~塩撒いておこうかね」とかなんとか言って、かえって絆が深まりもっと良い関係になれたのではないか、そう思うのです。

結果、経営方針も曲げておらず、スタッフも理不尽を強いられず、年配の男性はふりかけをもらえる。

次からは、約束どおりきちんと断り、それでもしつこい場合は、この年配の男性の家族に相談して、ふりかけのお金を払ってもらう、近くの交番から、おまわりさんに来てもらうなど、対処法もいろいろ準備できますね。

・経営方針は曲げない
・スタッフ>クレーム客

これら2つに気をつけるだけで、誰かが理不尽な思いをすることが激減します。ぜひ覚えておいてください。

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