長谷川豊です。

THE PAGEの大阪・松井一郎府知事のインタビュー記事。

シンプルな言葉の数々ですが、日本を再生させるヒントがぎっしり詰まったインタビューになっていて、ぜひ共有したいなと思いました。

興味のある人は全文読んでみてください。共感できる部分が多いと思います。大阪で支持率60%を超える支持を集めている理由もよく分かります。

特集の第2弾では大阪の投資先としての可能性に言及し、第3弾では道州制へのハードルなど、日本の「仕組み作り」の難しさに言及されています。

いや、正直言ってかなり読み応えがありました。特に第3弾の記事内では、日本がどうして変われないのか、なぜ異常な状態が放置されているかが分かりやすく解説されています。

大阪では今、「大阪都構想」という形で、先ほど申し上げた大阪府と大阪市の二重行政を解消して、大阪府域内の広域を一元化するための制度の変更。要は、東京都のように、大阪市を特別区につくり替えるということをやっていますけど、これもなかなか、非常に難しい。難しいというか、非常にハードルが、乗り越えるハードルが高い、壁が厚い状況です。

これは何かというと結局、制度を変えると政治家の身分も変わるわけです。道州制はもう何度も、国政選挙において、どの政党も道州制を推進するという公約を掲げていた。共産党以外はね。

でも、できないのはなぜか。例えば、道州になると、今の47都道府県が9つぐらい、6つから9つぐらい州に再編されます。ということは、知事の数が47人から、6~9人にぐっと絞り込まれるというわけなんです。自分の身分を失うわけです。これはなかなか。やろうという人は、総論ではいるけど、各論では反対ばかりです。

出典 https://thepage.jp

端的に言えば「政治家が自分の身分と権力を手放したくないから変えませんよ」って話です。私も取材をしてきて、感じているのがこの抵抗の話。

ある役所の中に、全く役に立たない部署があったとしましょう。

民間であれば、当然、そんな部署は解体です。経費の無駄使いは株主への背信行為になるからです。法律で善処しなければいけないことが決まっているワケです。

でも、公共ですと「あなたはたいして必要じゃありません」と言ってリストラすることはとても難しいです。その部署の人間から抵抗され、結果「うまく部署をまとめられていない」という判断をされてしまう可能性も生じます。査定や出世に影響するかもしれません。

民間の場合は、明確に「これだけの人材をリストラすることにより、利益が上積みされました」という結果を出すことができます。しかし、公務員たちはそうはいかない事情があるのです。

「当たり前」のことにたどり着けない現状

そうなれば、リストラされる側は抵抗し放題です。「未来の可能性」をでっち上げればいいのです。

「こんな不安があるかもしれない!」
「どんな未来が待っているか分からない!」
「ひょっとしたら大変な問題が起きるかもしれない!」

上記松井知事のインタビューの中にもありますが、道州制のメリットに関しても、みんな頭ではわかっているわけです。「いや、さすがに明治時代以来の廃藩置県のシステムはもう時代遅れだろ」と。

今はもうSNS、IT技術の発展で、さまざまな情報が瞬時に地球上で行き来する、そういう時代ですので。広域というエリアは、今までは都道府県単位が広域。でももう今の時代は、よくいわれる道州制の話になりますが、首都圏であれば首都圏域が広域で、関西であれば関西圏が広域という、そういう位置付けになってくると、こういうふうに思っています。

出典 https://thepage.jp

この話に誰か反論ができるでしょうか?

できないはずです。普通のことしか言っていないからです。当たり前のことしか言っていないのです。

それなのに、できない。誰だって分かっている「当たり前」にたどり着けない。

私はここに人間の「現状維持バイアス」が関係していると考えています。

「現状維持バイアス」の怖さ

「現状維持バイアス」とは、文字通り「大きな変化や未知なるモノを避け現状を維持したくなること」のことを指します。

どう考えてもすぐに辞めた方が良いブラック全開の就職先。
浮気を平気でする上にDVを振るう彼氏。

すぐに辞めるべきだし、すぐに別れた方がいいですよね?

でも、なぜか前に進めない。これも「現状維持バイアス」です。皆さんにも経験があるのではないでしょうか?

これらは専門的には「プロスペクト理論」における「損失回避性」が働いているからといわれています。損失回避性は、「人は利益から得る満足度より同額の損失から得る苦痛の方が大きいと判断する」という心理作用です。

残業を強いるのに給料は安い。当たり前ですが、全ての人にとって、そんな就職先はすぐにでもやめた方がいいはずです。にもかかわらず、人間は「無職になって収入がなくなったらどうしよう」というリスクを先に考えます。そして、冷静な対応ができなくなってしまいます。

浮気をされてDVをされても、人間ですから多少の情は残ってしまっています。情があると、別れた時に寂しい思いをするでしょう。今殴られた痛みより、浮気された心の傷よりも、将来の寂しい思いやこの先新しい恋人ができないかもしれない可能性を危惧してしまいます。

飛脚時代のシステムが新幹線が走る現代に残っている

今は、新幹線で2時間半で東京から大阪まで行ける時代です。

Amazonで注文したら、その日の夕方には商品が届きます。

海外に駐在している日本人は、日本の会議にSkypeで参加できます。

そんな現代に、明治時代に作られた都道府県のシステムを残すメリットなんてありますか?飛脚が走ってた時代ですよ?車なんて影も形もなかった時代に作られた行政形態なのです。

ないんです。そんなものは。

でも、変えられないんです。変えたくないんです。だって「現状を維持したい」から。単にバイアスがかかって怖いから。「なんとなく」という理由で今のママがいいんです。

そうやって本当に明治4年のシステムをいまだに保っているのが日本です。ある意味すごい。

バイアスの存在を疑う意識が必要

しかし、これはさすがに限界が来ている気がします。

今はもう高度経済成長時代ではありません。色々と変えてイノベーションを起こしていかなければいけない時だと思います。

多くの日本人にとって大切なことは、当たり前の中に「バイアス」が存在しているのではないかと疑うことです。明治4年のシステムは変えていいんじゃない?というのはごく普通の意見だからです。

前に進まなければいけない日本。
勉強しないままに変えることを怖がり、前に進めない日本人。

政治の理想と現実の難しいところです。

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モノ申すフリーアナウンサーとして、テレビ・雑誌・講演と幅広い分野で活躍中。特に多くの取材経験からニュースを多角的な視点で見る文章に定評がある。現在は執筆や講演会など多方面で活躍中。

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