『スキンシップゼロ夫婦』(まゆ/ワニブックス)

1000万PVの話題のブログを書籍化した、『スキンシップゼロ夫婦』(まゆ/ワニブックス)。私も「こ、これは…」と興味を持ち、実際に読んでみた。

簡単なあらすじを説明すると、夫がシャイ過ぎて、セックスはおろか、キスもハグも手をつなぐことすらさせてくれないまま、夫婦生活を送っている妻まゆさんの日常。

シャイって…シャイが過ぎやしないだろうか…。

まゆさんの苦悩は、察するに余りある。

義母からは不妊症疑惑を持たれ、「子どもを作ってこそ人間として一人前よ!」的なパート先のおばちゃんの子なしハラスメント。性欲をただ我慢する日々。世の既婚女性に対して、「旦那さんと当然のようにスキンシップあるんでしょ…」という嫉妬心。

おいそれと他人には相談できないことだし、「一緒に寝てもいい?」と誘った時に断られるみじめさ、哀しさ…。新婚旅行でさえ、部屋は別々だったそうだ(旦那、シャイも大概にしろ!)。

ついついまゆさんに感情移入をしてしまうので、どうしても旦那のみーさんに対して冷たい視線を送りがちになるが、それでもまゆさんがみーさんと別れないのは、みーさんがとっても温厚で優しくて、礼儀正しいから。そしてなにより、「好きだから」だ。

他の男性との子どもではなく、まゆさんはみーさんとの子どもがほしいのだ。

しかし、みーさんはスキンシップを拒むし、「子どもを育てること」に、経済的、気持ち的にも不安を抱いているようで、結局、まゆさんは「夫婦2人で生きる。子供はあきらめるって決めました」「仲良く暮らしましょう」とみーさんに告げる(ま、まゆさん…!)。

本作を読む前は「セックスしない夫への妻の恨み言」が述べられ、「離婚するか否か」を悩んでいるような内容だと思い込んでいた。

しかし、そういうギスギスした雰囲気は一切ない。むしろ、まゆさんは本当にみーさんのことを大切に想っているんだなぁと感じる。

結婚後、デートの際に体調を崩してしまったまゆさんを、みーさんはすごく心配してくれて(こんな時でも手はつないでくれなかったそうだが)、ずっと体調を気遣ってくれたそうだ。

そんなみーさんに、まゆさんは「ありがとう」と微笑む(スキンシップゼロという「苦しみ」を与えられているにもかかわらず…!)。

「スキンシップゼロ」ではなくとも、セックスレスに悩む夫婦なら、どこか共感できる内容にもなっているし、きっと、まゆさんの「経験」に勇気づけられている女性も多いのではないだろうか?

私が感動したことの一つには、まゆさんの母親の対応もある。夫と身体の関係がないことを知った娘の母。普通なら離婚を勧めたり、みーさんを責めたり、何らかのネガティブな行動を起こすと思うだろう。

だが、まゆさんのお母さんは違った。

「問題のない家族なんてね、ないと思う。みんな何かに悩みながら生きてるのよ」

「子供のこと…もしかするとこれがまゆの家庭の悩み…なんじゃないかしら。他の部分は満たされてるでしょ?」

「これで子供もいたら、満たされすぎててあとは欠けるだけかもしれない。お母さんは欠ける方が怖いわ」

…お、お母さん…!

物分かりがよく、なんて含蓄のあるお言葉。

まゆさんは、理解のある家族と、そして「大好きな」みーさんとこれからの人生を送っていく。これからも、彼女のコミックエッセイを読みたいと思う(みーさんとの進展もあれば嬉しい…)。

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