初のアジア歴訪を終えたアメリカのティラーソン国務長官。しかし、最重要課題である「北朝鮮問題」に対する中国とのあまりの「認識の違い」に愕然としたようです。

無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんは、「中国にとって北朝鮮は、南北統一の歯止めとなる存在で、しかも中国に向けて攻撃してくる可能性もないという、非常に都合の良い存在である」との見方を示しています。

中国は、北朝鮮問題を解決する気が全然ないという現実

アメリカのティラーソン国務長官が、日本、韓国、中国を訪問しました。最重要課題は、「北朝鮮問題」です。

やる気満々だったティラーソンさんですが、北京へ行き、「中国には北朝鮮問題を解決する意欲がゼロ」であることを、思い知ることになりました。

ティラーソン「軍事行動」に言及

3月17日、ティラーソンさんはソウルにいました。そして、「忍耐の時代は終わった」とし、「軍事行動の可能性」に言及します。

米国務長官、北朝鮮対応で軍事行動も「選択肢」

ソウル(CNN)東アジアを歴訪中のティラーソン米国務長官は17日、韓国の首都ソウルで尹炳世(ユンビョンセ)外相との共同記者会見を行い、挑発行為があれば北朝鮮に対する軍事行動も検討するとの方針を明らかにした。

米政府が採用していた「戦略的忍耐」の政策は終わったと言明した。

出典CNN.co.jp 3/18(土)13:40配信

ところが、実際に「軍事行動」について考えると、「簡単ではない」ことが見えてきます。まず、北朝鮮は、明らかに「を保有している。それだけでなく「化学兵器も保有している。

もし、アメリカが北朝鮮を攻めれば、アメリカ本土は無傷でいられても、韓国は火の海になる可能性が高い。日本本土にもミサイルが飛んでくる可能性が高い。

金正恩は、韓国や日本に向けて発射するミサイルに、「核」を搭載しないでしょうか?少なくとも北朝鮮は、「小型化できている」としています。

アメリカは、「北がアメリカ本土を核攻撃できる大陸間弾道ミサイルを獲得する前に、叩いてしまえ!韓国は、仕方ない。犠牲になってもらおう」と考えるでしょうか?実は、「考えてもおかしくない」のが、アメリカです。

しかし、もう一つ、超巨大なファクターがある。そう、中国。アメリカが北朝鮮を攻撃した際、(朝鮮戦争時のように)中国が北朝鮮側に立って戦えば????第2次朝鮮戦争が、米中戦争に発展する可能性が出てくる。

これは、米中共に回避したいことでしょう。ティラーソンさんは、「中国の協力」を求め、北京に向かいました。

中国は、「北朝鮮問題」を解決する気がゼロ

ティラーソンさんは18日、楊潔チ・国務委員、王毅外相と会談しました。中国側の反応はどうだったのでしょうか?

王氏は米国に対して、北朝鮮との緊張には「冷静」に対処し、核ミサイル開発問題の外交的解決を図るよう呼び掛けた。

出典CNN.co.jp 3/19

要するに、「今までどおりにやれ!」といっている。しかし、今までどおりではうまくいかないこと、明らかです。

アメリカは、アフガン戦争、イラク戦争で忙しく、北朝鮮の核開発を事実上放置した。そうこうしているうちに06年、初めての核実験が行われた。その後北は、核の小型化も実現し、ミサイルの飛距離もますます延ばすことに成功しています。

そして、王さんは、決定的な言葉を口にします。

また、本来これは米国と北朝鮮の間の問題だと強調した。

出典CNN.co.jp 3/19

要するに、「中国は関係ないよ」と。

中国国営の英字紙「環球時報」も17日の社説で、米韓の対北朝鮮戦略に巻き込まれれば中国と北朝鮮が敵対することになると懸念を示し、「北朝鮮の核問題は米国との対立が原因であり、中国が全責任を負う義務は全くない」と主張していた。

出典CNN.co.jp 3/19

なぜ、中国は、「北朝鮮問題は関係ない!」と主張するのでしょうか?「実際その通り」だからです。

考えてみてください。北朝鮮は、核兵器をもっている。ターゲットはどの国ですか?そう、日本、アメリカ、韓国です。北朝鮮が、中国やロシアに核ミサイルを撃つなど考えられません。だから、中国やロシアは、「気楽」なのです。

それに、北朝鮮の存在は、中国にとても役立っています。金正恩は、確かにわがままで中国のいうことを聞かない。しかし、韓国中心に朝鮮半島が統一され、北朝鮮に米軍が駐留するよりマシです。

さて、ティラーソンさんは19日、習近平と会談しました。

習主席はティラーソン国務長官に対し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領との先月の電話会談で「中国と米国の協力推進に共同で取り組む」方針を固めたことを明らかにした上で、「(両国の)関係を新たな時代に、建設的に進めていく形にできると確信している」「それができる限り、関係が正しい方向に向かうのは間違いない」と述べた。

出典AFP=時事 3月19日

習近平との会談でも、北朝鮮問題進展なし」だったようです。

現状を整理してみると

もう一度北朝鮮問題を整理しておきましょう。

1. 北朝鮮は、近い将来、アメリカ本土を核攻撃できる能力を手に入れる可能性が高い。北は、核兵器を保有している。ミサイルに搭載できるほど小型化もできている。アメリカ本土に届く「大陸間弾道ミサイル」も、間もなく完成すると宣言している。

2. アメリカは、北が同国本土を「核攻撃」できる能力を手に入れる前に、問題を解決したい。

3. 経験上「話し合い」は効果がないので、「軍事力行使」も検討中。

4. しかし、北を攻撃すると、韓国は火の海になる可能性が高く、日本にもミサイルが飛んでくる可能性がある。

5. そして、中国が北側について参戦すると米中戦争になってしまう。

6. 困ったアメリカは、中国に協力を求めるも、中国はまったくやる気なし。

7. 「対話を継続しろ!」「米韓は演習による挑発をやめろ!」「これはアメリカと北の問題であり、中国は関係ない」などといい、まったく動かない。

皆さん、一体この難問、どうやって解けばいいのでしょうか?トランプさんの決断に注目ですね。

権利侵害申告はこちら