『大学では教えてくれない 信頼される保護者対応マニュアル』(多賀一郎/明治図書出版)

まもなく新年度を迎える。この時期になると、子どもたちの進学や進級にあたり学校との関係に胃を痛める親たちもいるのではないだろうか。

教育現場からはモンスターペアレントへの悩みが聞かれる一方、親たちからは学校への不平不満が聞かれるなど、なかなか双方の折り合いが付かない印象もある。

ではなぜ、そのような現状があるのか。それはひとえに、何らかの齟齬が生まれているからだと思われるが、どのような実態があるのかを明らかにするべくここはひとつ教師向けの「保護者対応マニュアル」を参考にしてみたい。

今回紹介したいのは『大学では教えてくれない 信頼される保護者対応マニュアル』(多賀一郎/明治図書出版)だ。

新任教師向けのこの一冊をまとめたのは長年、小学校の教師を経験し、現在は小学校で講師として活躍する一方、親や教師向けのセミナーも数多く主催する著者である。

教師向けに書かれた一冊であるが、その中身からは、親たちの目にふれない教育現場での苦悩がにじんでくる。

金八先生や泣き虫先生など、熱血教師の存在も今は昔。現在は「理想の教師像」が変化していると著者は語る。本書によれば、現在求められるのは熱意だけではなく「熱さと冷静な賢さ」を持った教師だという。

あくまでも教師からの視点でまとめられた本書だが、そのマニュアルを読むと、学校側はどうやら“サービス業”のようにきめ細かな対応が求められているのが分かる。

例えば、教師が保護者たちの前でその力量を試される大舞台のひとつ「参観日」は最たるものだ。

教師としての経験から、参観日は保護者が「特別な日」と考えていると実感を伝える著者。

しかし、特別だからこそその一日が基準となり、万が一失敗してしまった場合には「参観日でこの程度なら、普段はどれだけつまらない授業なんだろうか」と思われてしまう例もあるようだ。

また、保護者が子どもたちの日常を知る機会として、教師と一対一で話し合う「個人面談」もある。

本書のマニュアルを読むと、実際に保護者と視線を合わせないまま話す教師もいるようで、そういった人たちは「ことごとく保護者から信頼されていない」と著者はいう。

他にも、こと細かな言葉遣いへの注意などをみると、学校側と保護者の間にピリピリとした緊張感が流れているのが伝わる。

その経験から、教師はそもそも「保護者相手に偉そうなことを語る仕事」とみられていると語る著者であるが、これまでを振り返ると「保護者は教師を支えてくれる存在」でもあると語る。

本書はあくまでも教師向けのマニュアルであるが、保護者の目線からみると、表からはみえない学校側の見解にもふれることができる。

そして、忘れてはならないのがそれぞれの間には“子どもたちがいる”ということだ。たがいを理解することにより、学校と保護者がよい関係を保てるようになればと願う。

権利侵害申告はこちら