子どもを取り巻く環境は日々変化し、その弊害として子どもの心身の健康への影響が懸念されています。少々古いデータですが、北海道大学の研究室によると以下のような結果がみられました。

2003年には、札幌市、千歳市、岩見沢市の小中学生3331人に対しうつ病評価尺度を施行し、わが国の小中学生の13.0%(小学生7.8%、中学生22.8%)が抑うつ傾向をもっていたことを明らかにしました。

出典 https://www.hs.hokudai.ac.jp

このことは、日本のみならず世界中で大きな課題となっています。オーストラリアでは、なんとティーンエイジャーの16人に1人がうつ病を経験しており、6人に1人が不安症、4人に1人が精神的ストレスを抱えているといるといいます。

シドニーの中学教師ブレイク・レナードさんも、この問題に心を痛めている1人でした。そして、自分に何かできることはないかと考え、ある挑戦を思いついたのです。その挑戦とは…

海パン一丁で真冬の雪山に登ること!

まさにひと脱ぐ決意!イモトアヤコさんも真っ青の、このぶっ飛んだ挑戦。しかし、どうしてそれがティーンエイジャーの心を救うことになるのでしょうか?プロジェクトページにはこう綴られていました。

家族や友人たちとの関係がうまくいかなくて、ストレスに感じたり、不安症やうつに苦しむ子たちを見てきたんだ。だから自分たちの姿を見て、わかってもらいたかったのさ。

僕たちはみんな、ハッピーに挑戦することで、お金も誇りも手に入れられるんだってことを

そして26歳〜35歳の中学教師5人で、海パン一丁冬山登山プロジェクトKOSSIE IN COSSIESを始めました。そして、このプロジェクトを通じて心の病を抱える人をサポートする団体『beyondblue』への寄付を募ることにしたのです。

海パン一丁で登れる身体を手に入れるために

目指すはオーストラリアの最高峰コジオスコ山。2228mのコジオスコ山は、多くの人が登頂に成功しているとはいえ、真冬に海パン一丁で登るには過酷な場所。そこで彼らは、半年前からトレーニングを開始。

例えば、冬の雪山に対応できる身体を作るため、氷水で満たした大型ゴミ箱の中で冷たさに耐える訓練など。

まるでダチョウ倶楽部のネタのようなこの光景。始めたばかりの頃は、あまりの冷たさにすぐに飛び出してしまいましたが、特訓を続けて6カ月後には、なんと首まで浸かった状態で13分間も耐えられるように!

つ…辛そうだ!でもなぜか、見てると思わず笑っちゃいます。

実は今回の挑戦を思い立ったのには、ある人物の存在がありました。アイスマンの異名を持つヴィム・ホフさん。ヴィムさんは、寒さへの耐久に関するギネス記録をなんと26個も持っており、パンツ一丁で雪山のキリマンジャロの登頂に成功しているまさに世界で一番寒さに強い男!

レナードさんたちは、彼の挑戦を見てこのプロジェクトを思い立ったのです。

ヴィムさんに指導を仰ぎ、寒さへ耐えうる心身のため「自分への挑戦」を続けた5人の教師たち。自然の寒さを体感するため、氷点下でお酒が楽しめるアイスバーに水着で行ったことも。想像すると、やっぱり若手芸人がやらされている企画物みたいです。

またある時には、心を清めるために、雪が降る中で流れる川の冷たさに身を委ねたり。後ろで呆然と見守る厚着の人たちとのギャップが!

そしてついに、2016年7月8日、5人は真冬のコジオスコ山への登頂に挑戦します。

彼らのこの日のスタイル、それはもちろん
海パン一丁!

しかしこの日は、予想外の悪天候に見舞われました。風速は25〜30m、山頂付近の気温は氷点下4度!まさに寒風吹き荒れる中での挑戦となったのです。しかし、彼らはひるみませんでした。なぜならこの日の為に、まるで罰ゲームコントのような必死の努力をしてきた日々があったから。

そしてついに、海パン一丁で真冬の雪山への登頂成功!

そこには誇らしげな海パン姿で、笑顔の記念撮影をする5人の姿が。

山頂でのこの写真からは、肌に突き刺さる寒風も、氷点下の気温も全く感じさせない底知れぬパワーが伝わってきます。

海パン一丁で、雪山に登るなんて本当におバカです。意味なんか全くない気がします。何やってんだって感じです。けれどだからこそ、この挑戦がかっこよく見えてきたりもするのです。

残念ながら、寄付は目標金額の10万ドル(約1100万)には届きませんでしたが、3万9000ドル(約440万)という大金が集まりました。ごく普通の地元の中学教師である彼らの挑戦が、これだけ多くの人の関心を集めたというのは、本当に素晴らしいことです。

登頂後、彼らはABC Newsのインタビューにこう答えています。

「どんなにバカげて見えることでも、本気を出して必死に取り組めば、見えない不安や大きな障害も、自分の力で跳ね返して乗り越えて行くことが出来るんだ。それを生徒達に、見せることができたんじゃないかな」

この挑戦、生徒達からは予想以上の反応があったそうです。そして、5人の教師のこのおバカでカッコイイ挑戦は、生徒達だけではなく、世界中の人々心に、笑顔と勇気を与えてくれたのではないでしょうか。

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