「(やりたいように)生きることに、特別な才能もお金もいらない。ただ、自分は何をしたいのか、何をしている時が楽しいのか。ソコを考えながら動き出せばいいだけのことだ」。

――楽しく自由に生きる自分に胸を張る、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さん。

出典 https://www.amazon.co.jp

『日本人失格』(田村淳/集英社)

現代日本に対する息苦しさやネット社会への疑問など、思うところをまとめた初の新書『日本人失格』(集英社)が発売された。タイトルに込めた想いとは。田村さんが若者たちに伝えたいこととは?お話をうかがった。

――Twitterでも本書でも、田村さんは思ったことを堂々と率直に発言していますが、何かをおそれることって、あるんですか?

田村淳さん(以下、田村) えっ、ありますよ!(笑)そんなの、いっぱいある。今回だって、老害芸能人についての項目は書き上げたあとに削除したし、“面白協定”について書いたところはちょっとニュアンスをやわらげたし。

――「これって面白いよね?」と芸人同士が探り合う“面白協定”があるせいで、笑いが均一化しているのがいや。だから最近は芸人同士で飲みにいかない、と書いていましたね。

田村 うん。ただ、口を閉ざしたというよりも、誰かの実名を出して、その人を陥れることでこの本がセンセーショナルになるのを避けたかったんですよね。そこだけを抜き出されて、ネットニュースとかで一人歩きするのが嫌だった。

それじゃ、Twitterと同じ。そもそもこの本を書いたのは、Twitterの140字制限では言いたいことがうまく伝わらないことが多かったから。僕自身が辛辣になりすぎたり、誤解されて炎上して、真意がどこかにいっちゃったり。

想いをきちんと伝えるために、バランスをとった部分はあります。まあ、いずれもっと掘り下げて書いてみたいですけど。

――本書では一貫して、現代社会に対する閉塞感や、同調圧力に対する危機感を語っています。

田村 もともと感じやすい質だけど、いちばん確証を持ったのがやっぱりベッキーの不倫騒動かな。マスコミは連日、彼女の謝罪をクローズアップしていたけれど、そもそもみんな彼女の謝罪を求めているのかな?と。

少なくとも僕は、謝ってほしいなんて一切思わなかった。もちろん、迷惑をかけた方々への謝罪は必要だし、会見で嘘をついたことについても謝らなくちゃいけない。

だけど、ベッキーを擁護すればその人が巻き込まれて叩かれて、誰もかれもが流れに乗って彼女を責め立てて。変な国だなあと。千眼美子さんのことだってそうですよ。

出家した理由をちゃんと言え、とか、みんなすごく怒っているけど、たいていの人には関係のない話ですよね。それなのに、迷惑こうむっていない人たちほど、怒りのギアをあげている気がする。そのモチベーション、どこから来るのかな。

苦しくならないのかなって思っちゃいます。

――本書でも、“怒り玉”の話をされていますね。怒りにとらわれて時間をロスするのはもったいないし、体にもよくないから、そんな玉は捨ててしまえ、と。

田村 この国の社会保障がこのままでは立ち行かなくなるぞ!ってことで怒り玉がふくれるならわかるんですよ。

それなら、みんなで声を荒らげればいいと思うんだけど、それについては静かなんですよね。…なんてことを僕がつぶやくと、炎上するんです。僕はただ「本当にそうなの?みんなどう思ってるの?」ってお伺いを立てているだけなのに。

――あくまで意見を伝えているだけで、押しつけているわけじゃないですよね。

田村 
そう!僕はただ、何かに気づいたり疑問に思ったりすると、自分の中だけにおさめていられない病気なんですよ。究極のかまってちゃん(笑)。俺と100%意見のあわない人がいても、あたりまえ。

でもそれだったら、あわない人の意見を聞かせてほしい。「淳の意見には賛成できないから、俺はこういうふうにしよう」っていうような。

以前、Twitterでつぶやいた言葉に「否定するなら代案が必要、現状維持なら理由が必要、賛成するなら覚悟が必要」っていうのがあって。

今のままでいい理由が見いだせないなら、賛成か反対か、やっぱり自分で決めなくちゃ。反対するなら「自分ならどうする」って意見が必要だし、流されるんだったらその先でひどく苦しいことが待っていても文句言っちゃいけないって思います。

――どうしても目立つのが怖くて物怖じしちゃう人は、どうしたらいいと思いますか?

田村 別に僕は、誰もかれもが大声を張り上げて意見を主張しなくちゃいけないなんて思ってないし、ワル目立ちするのが怖いのもわかる。

だったら、自分と同じ考えを持ったコミュニティは絶対どこかに存在するはずだから、探せばいいんじゃないかな。

一歩踏み出さないのに景色が変わるわけがないし、ずーっと同じところにいて誰かが助けにきてくれるのを待っている、みたいな生き方を僕は許さないですね。って、こうやって許さないとか言っちゃうからまた炎上する(笑)。

つくづく僕は“日本人失格”だなあと思う一方で、こうやって主張することが失格だとされるなら僕はそのままでいいし、流されて同調することが合格ならそんなものはいらないとも思う。このタイトルには、そんな気持ちもこもってるんです。

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