40歳を越えてもなお現役メジャーリーガーとして活躍するイチロー選手がウェイトトレーニングをしないことはよく知られています。

無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では、著者で現役弁護士の谷原誠さんが、イチロー選手が筋トレをやめた理由とその考え方を紹介しつつ、「英語学習」を例に取りビジネスパーソンとしての自己研鑽のあり方について持論を展開しています。

イチローはなぜ筋トレしない?

こんにちは。

弁護士の谷原誠です。

今回は、おなじみ、メジャーリーガーのイチロー選手のお話をします。

イチロー選手は、42歳となった今もトップ選手であり続けています。バッティングはもちろん、走力、フィールディング、送球などに衰えは見えず、大きなけがもありません。

また、ベテラン選手になると体つきが変わってしまうものですが、イチロー選手の体は見るからにシャープかつ柔軟。どのような体作りを行っているのか、プロの間でも興味の的となっています。

イチロー選手も、トレーニング方法には試行錯誤があったといいます。一時期、メジャーリーガーのパワーに対応するため、ウェイトトレーニングでの筋力アップに力を入れていた時期があったといいますが、それをやめたそうです。

その理由は、ウェイトトレーニングを行うと目に見えて筋肉が大きくなるので、うれしくなって続けるものの、実際の野球のプレイをすると、体の回転が鈍くなり、スイングスピードが落ちてしまう事に気づいたから。

また、筋肉を大きくすると、それを支える関節や腱など、自分がもともと持つ、鍛えにくい部位とのバランスが崩れ、故障しやすくなるとも感じたからだそうです。

結局、行きついたのは、野球で行われる動作を、正しいフォームで反復して行うシンプルな練習。打つ、走る、投げるといった動作を研ぎ澄ませることに集中し、良いコンディションを保っているのだそうです。

イチロー選手は、冗談めかして、面白い表現をしていました。

「トラやライオンは、(獲物をとるために)ウエイトトレーニングはしないでしょう」。

このイチロー選手の考え方、ビジネスにおける自己研鑽にもいえることだと思います。ビジネスパーソンは、仕事に生かすため、さまざまな研鑽をします。しかし、その能力が本当に必要なのか、ということを見失ってしまいがちです。

イチローの考え方を「英語学習」に当てはめてみると…

多くの人が学ぶ「英語」を例にします。現在のビジネスはグローバル化しており、英語が必要な仕事は国内にも増えているのは間違いありません。しかし、個々のビジネスパーソンが、実際にそれを必要としているのかは別問題です。

英語を習得するのは膨大な時間がかかります。とくに、「ネイティブみたいに英語ができるようになりたい」と漠然と考えるのであれば、1日のうち、かなりの時間を英語に割かなければならないでしょう。

しかし、一口に英語といっても様々なスキルがあります。たとえば、英語の論文を読み、書く研究者には、会話などのコミュニケーションはそれほど得意ではない人も多いといいます。

学術用語を使った文章の構成には一定のルールがあり、読み書きに必要なスキルは限られるからです。

もっと言うと、最初から英語の勉強は捨て、ほかの自分の仕事に関する能力の向上に時間を使ったほうが良いこともあるでしょう。

自分が下手な英語を話すより、優秀な通訳を探し、その人との信頼関係を深めることに時間を使ったほうが、目的達成に近づくこともあるかもしれません。

弁護士業界でも、英語の必要性が声高に語られています。企業の海外進出や海外取引が増えているためです。「これからの弁護士は、英語を扱えないようではダメだ」と言われることも多いです。

しかし、私は英語の勉強をしていません。英語の勉強で必要となる膨大な時間を考えると、現在、私に必要な実務的な知識をつける時間に投下した方が価値が高い、と考えているためです。

今後、もし多くの弁護士の仕事が英語で行われることになるかもしれません。そうなると、ほとんどの弁護士は英語の勉強に膨大な時間を割くことになるでしょう。

その時、私は、英語の必要ないコアな日本語による法律業務の習得に膨大な時間をかけるのではないか、と予想します。

ビジネスにおいて、自己研鑽は必須。しかしその技術や知識が何を目的としているかを問いかけることは忘れてはなりません。限られた時間と自身の適性から、鍛えるべき「筋肉」を見極め、それを徹底して磨いていくことが大切なのだと思います。

今回は、ここまでです。

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