2月25日に行われたサッカーチェコ1部リーグ、「ボヘミアンズ・プラハ1905」対「1FCスロバーツコ」の一戦。この試合である1人の黒人選手が、意外な形で世界中から注目と賞賛を集めることになりました。

サッカーにあまり詳しくない方のため簡単に説明しますと、チェコのプロリーグである「シノト・リガ」は、2015年度の世界のプロサッカーリーグランキングで世界15位に入るほどの強豪リーグです。(※ちなみにJリーグはこの年度では33位)

プレミアリーグ(イギリス)やリーガ・エスパニョーラ(スペイン)などと比較すると、クローズアップされることも多くはないですが、欧州各国、南米、アフリカなど各国からさまざまな人種、優秀なプレーヤーたちが集まっています。

なお、実際に海外のスタジアムでの試合観戦の経験がある方はイメージできると思いますが、現地サポーターたちの熱の入りようって並大抵じゃありませんよね!観客席からは容赦なく相手チームへの罵倒、怒号がスタジアム内に響きます。狂気にも似たチーム愛には、戦慄を覚えることも…。

それは「シノト・リガ」においても例外ではありません。さまざまな人種が集まっているということもあり、一部サポーターによるものではあるものの、海外枠選手への人種差別的な批判、ブーイングも目立つのだそう。

敵チームのエースFWはトーゴ代表選手。一部サポーターからは人種差別的発言も…

Licensed by gettyimages ®

この日もボヘミアンズの一部サポーターからは、スロバーツコのエースFWであるフランシス・コネ選手(トーゴ共和国代表)に、人種差別的要素から来る強烈なブーイングが浴びせられます。選手へのヤジは、アウェイゲームの洗礼と言えますが…。

試合開始後、ともに先制点を奪おうとしのぎを削る両チーム。互いに譲らない展開が続いていたのですが、前半30分にあるアクシデントが発生します

ボヘミアンズのGK、マーティン選手が味方DFと衝突!

出典 https://www.facebook.com

前半30分、ボヘミアンズの守護神であるGKマーティン・バーコベック選手(写真上)が、ハイボール処理の際に同チームの味方DFと激しく衝突。彼はそのままピッチに倒れ込み、意識を失う状態に陥ってしまったのです…!

出典 https://www.youtube.com

ハイボールを処理しようとする直前です。※写真赤丸枠の左側がマーティン選手。

その昔、漫画『キャプテン翼』の人気キャラクター・若林くんが「サッカーは格闘技のはずだぜ!」なんて名言を残していますが、サッカーは球技でありながら対人接触が非常に多く、ケガにもつながりやすい危険なスポーツと言えます。

味方DFと接触したあとのマーティン選手の勢いは止まらず、今度は後ろからボールを追っていたスロバーツコのFW・フランシス・コネ選手(※画像赤丸枠の青いユニフォーム)と重なり合うようにしてピッチに倒れ込んでしまいました。

接触後、コネ選手はすぐに起き上がるもマーティン選手はピッチに倒れ込んだまま。このときマーティン選手は「舌を飲み込んだ」状態にあり、意識不明に陥っていたのです。

マーティン選手の異変にすぐに気がついたコネ選手。真っ先に彼のもとに駆け寄ると…

口に手を入れ、舌を飲み込んでないかの確認と応急処置!

出典 https://twitter.com

「もしも舌を飲み込んで窒息状態になってしまったら、脳の活動停止の危険性が生じる。迅速な対処が必要だ」

試合中にも関わらず、瞬時に冷静な判断をしたコネ選手。医療スタッフが到着する前に、マーティン選手の口の中に手を入れて舌を抜き出すという応急処置に成功したのです!

処置後、仰向けになっていたマーティン選手の体勢を横にして呼びかけるコネ選手。ただ事でない様子にボヘミアンズの選手、医療スタッフ達が慌てて駆け寄ります。

迅速な応急処置の甲斐もあって意識を取り戻したマーティン選手は、担架でピッチ外へと運び出され病院へ搬送。後半途中にはスタジアムのアナウンスにて、「命に別状はない」と発表されると、両チームのサポーターからは大きな拍手と歓声が。

その後マーティン選手は、自身のFacebookページにコネ選手への感謝のメッセージを投稿。さらに命の恩人との面会もセッティングされたことを発表していました。

▼意識不明の敵GKに駆け寄り、迅速な処置で救命!(約30秒)

出典 YouTube

なおコネ選手は「医学的な知識、教養があったわけではない」と某報道のインタビューにて答えていたそうですが、以前にも今回と同じようなケースに直面していたことがあり、「こうした際、舌を飲み込んではいないかは常に確認するようにしている」のだそう。経験と心構えが出来ていたからこその冷静な対応だったのですね!

緊急を要する人命救助においては、わずか数秒のロスが致命的な事態に発展することだって往々にしてあると思いますが、もしも自分がいざこのように事態に直面した際、彼のような冷静な対応ができるだろうか?と考えると、本当に感服しますね。

また試合後、ボヘミアンズの公式サイト、マーティン選手のFacebook、日本でのニュースサイトなどには、試合を実際に観戦していたサポーターや、チームのファン達からのコメントなどが数多く投稿されていました。その一部も紹介します。

「ライバル?黒人?いや、同じ1人の人間だ」

Licensed by gettyimages ®

・「感動的。これこそスポーツマンシップ。」

・「国籍も肌の色もサッカーのレベルも関係ない。この人は正しい考えをもって育ってきたことがよくわかる。」

・「とっさの判断と勇気ある行動素晴らしいです。どんな顔立ちでもどんな肌の色でも…人なのは変わりない。いい人もわるい人もいる。差別する理由がわからないよ。

・「自分がその場にいて、こんなに迅速な対応はできないと思う。凄い。尊敬の一言。

・「問題なのは差別する側だ!

・「泣けてきた。こういう人は本当に素晴らしい人だと思う。自分ならきっと動けない。

・「コネはすばらしい人間だ。マーティンの命を救ってくれて本当にありがとう。」

・「コネはきょう、大切なことを教えてくれた。そう感じたのは自分だけじゃない。」(現地サポーター)

・「スコアなんてどうでもいい。コネが彼を助けた。ライバル?黒人?いや、同じ一人の人間だ。」(現地サポーター)

上記はSNSや公式サイトに寄せられた声の一部です。これらの反響の大きさから、コネ選手の行動が試合を観戦していたサポーターやファンたちに、深い影響を与えたのかが窺い知れますね。

誰かの損得勘定のない一途な行動が、別の誰かの“気づき”になる

Licensed by gettyimages ®

コネ選手の英断と行動は賞賛に値する行動ですが、多くの報道では「人種差別の対象から一転して英雄に」といった見方が多くされていました。たしかに彼がアフリカ圏の選手でなかったのなら、ここまで大きく取り上げられることもなかったかもしれません。

彼からすれば咄嗟の行動であり、そこには敵GKだとか人種だとかそんなのは何の関係もなかったでしょうし、試合を決定づけるゴールを決めたのならともかく、このような形で賞賛を浴びることなど微塵も予想していなかったでしょう。

ただその人にとっては特別でもない行動や損得勘定のない一途な想いが、それを目の当たりにした誰かの心を打ち、それまでの概念を変えるようなことになったり、忘れていた何かを思い出させてくれたりする“気づき”になることもあります。

コネ選手の勇気ある行動が教えてくれたのは、「人間としてとても大切なこと」。あなたもきっと感じることが出来たのではないでしょうか。

この記事を書いたユーザー

Hi-raku0999 このユーザーの他の記事を見る

ヘタクソなくせに執筆もします。読み手の発見、驚き、笑顔へつながる内容を心がけています。

得意ジャンル
  • インテリア
  • マネー
  • 動物
  • 海外旅行
  • 国内旅行
  • おでかけ
  • グルメ
  • 料理
  • テレビ
  • 恋愛
  • 美容、健康
  • ファッション
  • キャリア
  • おもしろ
  • ニュース
  • 音楽
  • 話題
  • 社会問題
  • スポーツ
  • インターネット
  • ライフハック
  • 広告
  • 育児
  • 暮らし
  • ゲーム
  • カルチャー
  • エンタメ
  • 感動
  • コラム

権利侵害申告はこちら