記事提供:日刊サイゾー

またしても時事ネタで始まります。清水富美加さんの芸能界引退騒動は、おそらく視聴者の方々以上に、我々マスコミ側が本気で食らいついています。

若手女優が事務所にケンカ売ったと思ったら、背後には有名宗教団体、“守護霊本”出版、その直後に「性をウリにすることを強要されてた」と告発する自伝も発表ってもうフミカ!どんだけタブー犯しちゃうの!?

でもってこの騒動、ネット見てるとフミカバッシングもあるっちゃありますが、レプロさんへのブラック企業批判が多いこと!

そりゃレプロは嫌われてますよ、私もある所属タレントさんのマネージャーと番組で絡んだとき、死ぬほど上から目線でマジウザかったですもん。

でもね、レプロ批判=幸福の科学擁護という図式が成立しかねないことは、みんなもうちょっと考えてほしいんだ。ナカムラからのお願い!

しかし芸能界に対して一般社会の「労働基準」を当てはめるというのもナンセンスですが、エイベックスやら電通に、管轄の労働基準監督署の監査が入ってしまうこのご時世。我々マスコミも、きっとやり玉に挙げられる日は近いでしょう。

そんな訳で今回は、私たち女子アナを雇う、テレビ局側のブラック話をお送りしましょう(前フリ長い!)。

ここでタイムリーにも、同じアナウンサースクールの同級生だったMちゃんと、たまたまお茶してきました。

彼女は日本のかなり西寄りの地域の局に入社した後、結婚・出産を経てフリーアナとして活動し続けること十数年。私みたいな爪はじき女子アナとは違って、もはや局の顔的存在です。

そんなMちゃんが大学を卒業後、新卒で就職した局について。話を聞いてると名前を明かしてやりたい気持ちにかられてしまいますが、人生の8割以上を守りで固めてきたワタクシナカムラ、そんな愚行は犯しません。

月150時間強の残業にも負けず、「基本給よりか残業代のほうが高い」状況で頑張っていたMちゃんが産休を取ろうとしたのは、20代なかばのこと。

逆算して私の年齢を割り出そうとするバカ(冗談ですよ)がいそうなので、ハッキリとは書きませんけど、彼女はまだまだ仕事をするつもりでした。しかしここで、地方局ならではのパワハラが炸裂します。

「産休取るくらいだったら辞めちゃいなよ。どうせ君、いつかは辞めるんでしょ?」

多少オブラートには包んでいますが、これとほぼ同じことを役職付の人間から、Mちゃんはハッキリと言われたそうです。

そして「女性扱い、というか人間扱いされていない」と思ったMちゃん、出産後にガッチリと退職金を受け取った後に、その局を去りました。

旦那さんの仕事の都合もあって、別の地域へ引っ越すことになったのですが、契約社員として入社した別の地方局でも、やはりぞんざいすぎる扱いを受けることになります。

その局でアナウンサーとして同期入社したのは、Mちゃんの他にもうひとり、同じくアナウンサー経験のある男性。彼も契約で、Mちゃんと同じく期間は3年間。

しかし、彼はあまり要領がよくなかったのか、Mちゃんの方が多くの番組を担当していたようです。しかし正規雇用ではないだけに、どれだけ働いても、もらえるお給料は以前よりも相当下がってしまったとか。

そして契約期間満了となる3年後、Mちゃんはまたしても衝撃を受けます。その要領が悪い男性は、正社員に昇格したのですが、Mちゃんは昇格どころか契約延長もなく、期間満了で局から切られるハメになってしまったのです。

失意のMちゃんでしたが、お別れ会で一番仲が良かった先輩から、その局の“体質”を告げられます。

「地方なんてどこもそうだけどさ、男性は雇用するけど、女性はさっさと辞めさせたがるんだよ。ウチの局は特にひどくて、いまは女性っていうだけで、新卒も中途も正社では絶対採らないから」

時代錯誤も甚だしい、昭和の男根主義そのものです。しかし、彼女は担当番組を複数持っていたこともあって、完全フリー転身したものの、今でも同局の番組をこなしています。

余談ですが、Mちゃんが仕事をしている某局、現在では女性でも社員昇格や新卒を採るようになったそう。というか、契約社員制度そのものを排除したんです。ようやく時代に合わせることができるようになったのか…と思いきや、その理由もお粗末なもの。

「怪しいお米 セシウムさん」という、テレビ史上類を見ない、最低最悪の放送事故を覚えていますか?

2011年の震災直後、スタッフがふざけて入れた仮テロップがそのまま放送されたというトンデモ事案ですが、この件がきっかけで地方各局に、監査が立て続けに入ったんです。その時、地方局の老害たちはようやく気付きました。

「あ、ウチって女性差別してるんじゃね?」

ほんの少しだけ時代が違えば、Mちゃんは今頃、局アナとして活躍していたに違いありません。私にしても決して他人事ではありませんが、それにしても芸能人はみんな、個人事業主なわけじゃないですか?

私たちはテレビ局という企業に就職している、れっきとした被雇用者のはずなのに、このありさまですからね。

きっとすべてが是正されるのは、私が引退した後の時代の話になることでしょうが、ブラックなのはテレビ局周辺全体なので…という諦めを、私たちはみんな持っています。

(つづく)

■ナカムラ

20××年、某局に局アナ入社したアラサー。一応レギュラー番組を複数持ってる“実力派”。夢はフリー転身だが、ぬるま湯と天秤にかけ続けて早ウン年。何か面白いことないかな~と夢想していたところ、こんなコラムを書くことになってしまいました。

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